【世間の常識とは?普通とは何か?】映画『はじまりへの旅』

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教育、家族の在り方とは何ぞや? ぶっ飛んだ家族の感動ロードムービー

自給自足で森林で暮らす大家族、大自然から2400キロの旅に出発!

現代社会から切り離されたアメリカ北西部の森で、独自の教育方針に基づいて6人の子どもを育てる父親ベン・キャッシュ(ビゴ・モーテンセン)。厳格な父の指導のおかげで子どもたちは皆一流アスリート並みの体力を持ち、古典文学、哲学、宇宙理論までマスター。さらに6カ国語まで操る。頭良すぎて、もはやぶっ飛んでるスーパーキッズが6人も。さらに18歳の長男は、義務教育なんて受けていない。森で鍛えられ育ったおかげで(?)数多くの名門大学にも余裕しゃくしゃくで合格しちゃう。

しかしある日、入院中の母レスリーが自殺。キャッシュ一家は母親の葬儀に出席するため、そして母のある願いをかなえるため、2400キロ離れたニューメキシコを目指してバスで旅に出る。世間知らずな子どもたちは、生まれて初めて経験する現代社会とのギャップに戸惑いながらも、家族の絆を深めながら前向きに成長していく作品。

ロードオブザリング三部作(01~03年)アラゴルン役やグリーンブック(2019)の主役を務めたビゴ・モーテンセンが大家族の父親役、長男役にサム・メンデス監督の戦争映画「1917 命をかけた伝令」(2019)で主演を務めたジョージ・マッケイ。監督は「アメリカン・サイコ」などの俳優でもあり「あるふたりの情事、28の部屋」で監督としても高く評価されたマット・ロス。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門の監督賞を受賞、世界で数々の映画賞を受賞している。

 

多くの都道府県が3月から現在も休校中だけど、家庭教育について悩んでいる人にとっても何かしらヒントや気づきがあるのでは?

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一癖も二癖もあるちょっとへんてこな家族に終始クスクス笑いが止まらない。そんな、”へんてこ家族”に誰もが自分のどこかを投影してしまうのかもしれない。だから、気づけば途中で泣いている。

父親のベンが長男を空港で見送るときにいった言葉。『大胆に挑戦にして楽しめ。すべては一瞬だ』『日々、人生最後の日と思え』

しばらく旅行は難しいかもしれないけれど、この映画でキャッシュ家と共に2400キロを旅している気分になるかも!?

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作品名:はじまりへの旅
監督:マットロス
キャスト:ビゴ・モーテンセン、ジョージ・マッケイ
原題:Captain Fantastic
製作:2016年アメリカ PG12
配給 松竹
公式サイトhttps://hajimari-tabi.jp/

KANSAIPRESS編集部から

スーパーエリート6人兄弟を育てているシングルファーザー「ベン」。社会から切り離し森で暮らし、いったいどうやって育てたらそんな子たちが育つのか。ベンよ、是非とも教えてほしい。きっとベンも亡くなった妻も賢いのだろう。ちなみに私も2歳差三人の子を育児中、ワンオペ育児経験者だ。この映画を観た2017年、ちょうど子育てについて悩んでいる時期だった。日本に根強く残る母性神話、根拠のない3歳児神話など・・いわゆる世間でいう”良いお母さん像”に囚われていたのかもしれない。「ちゃんとしなきゃ」が私を苦しめていた。大学で児童教育を専攻していたにも関わらず、本気でわからなくなり、育児本や教育本を読み漁ったりもした。ただこの映画を観て、”世間の常識や価値観”に疑問を持つようになり、「そんなに必死で育児を頑張らなくても、私とは別人格の子どもは勝手に育っていくもの。放任はだめだけど、干渉もよくない。ただ子どものすることを温かく見守ることと、抱きしめて育てること」正解なんてないからこそ、私のやり方でいいんだって背中を押してくれた 忘れられない作品。

文/後藤麻希