【6/12公開映画・不朽の名作が蘇る】「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

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100年以上の時を経ても変わらぬ人々の本質を丁寧に描いた作品

世界中から愛される古典「若草物語」を新たな視点で2020年の若草物語として「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督が蘇らせた。「若草物語」は、19世紀後半を舞台にマーチ家の四人姉妹の成長を描いた、「ルイーザ・メイ・オルコット」による自伝的小説。南北戦争という暗い時代背景を持ちながらも、優しい心を忘れずに健気に暮らす温かな姉妹の物語は、多くの読者の心を揺さぶり、これまでもアニメ化やミュージカル化、映画化を実現している。

今作では次女のジョーにフォーカス、女性が表現者として活躍することが困難だった時代「結婚は経済である」「結婚が女の幸せではない」と主張する作家を目指すジョー、実は劇中の台詞の90%が原作小説に書かれたもの、または、ルイザ・メイ・オルコットの綴った手紙や日記からの引用なんだとか。ってことは、原作が書かれた時代と現代の私たちが考えていることや、模索して生きる姿は昔と何も変わっていないんだなと。

この作品はニューヨークに暮らしていたジョーが出版社に自身の小説を売り込むシーンから始まり、その後すぐに7年前の4姉妹がマサチューセッツ州で暮らしていたシーンに切り替わる。過去と現在が行き来する作品である。この時間差に混乱してしまう人も中にはいるかもしれないので、ここを予め知って鑑賞したほうがよいかも。

豪華なキャスト陣

なんといってもキャストの顔ぶれが豪華。

主人公次女のジョー演じるのはシアーシャ・ローナン『レディ・バード』に出演。

長女のメグは美しくてしっかりもの。ディズニー映画『美女と野獣』のエマ・ワトソンが演じている。

三女のベスを演じたのはエリザ・スカンレン
ピアノが上手、繊細で心優しいく体が弱い。

画家志望の四女のエイミーはお転婆でいたずらっ子。『ミッドサマー』で大注目のフローレンス・ビューが演じる。

資産家のローレンス家の息子ローリーには今大注目のティモシー・シャラメが抜擢。ジョーに恋するもまさかの展開に・・・

慈愛にあふれた4姉妹の母を演じたローラ・ダンの存在感は際立っていた。

他にも書ききれないほど脇役も名優ばかり、映画好きの人なら、この人もあの人も出てるってちょっと嬉しい発見があるはず。

第92回アカデミー賞では「衣装賞」を受賞、19世紀の衣装を含め映像美、音楽、絵画のような景色など全てにおいてパーフェクトだった。

監督: グレタ・ガーウィグ
キャスト:シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、フローレンス・ピュー、ティモシー・シャラメ
製作:2019年製作/135分/G/アメリカ
原題:Little Women
配給: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
KANSAIPRESS編集部から

そういえば、おとぎ話や、女の子が好きなプリンセスシリーズは必ず「素敵な王子様と結婚していつまでもいつまでも幸せに暮らしました」で終わる。ジョーも出版社から「もっと売れるものを」「ヒロインは結婚しないのか」などと言った言葉を浴びさせられる。この頃の時代の女性に対する社会的圧力から随分と生きやすくなった2020年、私たちは多様性が認められる時代に生きている。幸せの形は人それぞれであって正解などないのだから、自分らしく好きに生きるべきなんだと改めて感じる。

文/ごとうまき