2026年3月25日(水)、関西から新たな演劇文化を発信するプロジェクト「関西演劇企画」の第2弾、舞台『奇喜怪快(ききかいかい)』大阪公演が25日に幕を開けた。小泉八雲の怪談をモチーフに、SNS社会の闇や現代人の孤独を描き出す本作。初日にプレスコールと囲み取材が行われた。
1ヶ月の大阪合宿で磨き上げた「心の演劇」
囲み取材に登壇したのは、主演の宮脇優、里中将道、2丁拳銃の小堀裕之と川谷修士、そして演出の高梨由。彼らはこの公演のために約1ヶ月間、大阪に滞在して稽古を重ねてきた。
川谷が「いよいよ始まるということで、びっちり稽古しました。やっとお見せできる」と手応えを語れば、演出の高梨も「バラバラのフィールドで活躍する役者たちが集まり、それぞれの武器を持ち寄って一つの魅力的な作品になった」と自信を覗かせる。
特に地元・大阪出身の宮脇は、この作品への思い入れが強い。「関西は東京に比べて演劇に触れる機会がまだ少ない。自分の学生時代にこういう作品を見たかったと思えるような、そんな作品になった」と、地元の観客へ向けて熱く呼びかけた。
笑いと恐怖、そして世代を超えた共感
本作の魅力は、怪談というフィルターを通しながらも、現代社会が抱えるリアルな問題に切り込んでいる点だ。SNSでの誹謗中傷や匿名性に傷ついた人々が、不思議な寺「善幸寺」で再生していく物語について、登壇者たちは「幅広い世代に見てほしい」と口を揃える。
宮脇は「最初は学生などSNS世代に見てほしいと思っていたが、親子で楽しめる作品。世代の違う人と一緒に見てほしい」と語り、2丁拳銃の二人も「僕らを応援してくれていた世代や、その子供たちの世代にも、元気な姿を見に来てほしい」と、ベテラン漫才師らしい軽妙なトークで場を沸かせた。
また、作品のテーマにちなんだ「ホラー体験」の質問では、宮脇が高校時代に目撃したという心霊体験を語った。周囲から「見える派なんや!」と突っ込まれるなど、和気あいあいとしたカンパニーの雰囲気の良さが、作品の完成度を支えていることを感じさせた。
異色のキャストが共鳴する、新たなエンターテインメント
「2丁拳銃のことは昔から知っていたのでリスペクトがある」と語る宮脇や、「お二人に毎日ご飯に連れて行ってもらった」と懐く里中など、若手キャストとベテラン芸人の間には、1ヶ月の稽古期間で育まれた深い絆があるようだ。
川谷は、妻である野々村友紀子が観劇に来る可能性について触れ、「怒られないように頑張る(笑)。漫才以外のこともフルで頑張っている姿が伝われば」と照れながらも意気込みを語った。
現代の孤独、怪談、そして再生。笑いと涙が交錯する舞台『奇喜怪快』は、今を生きるすべての人へのエールとなるだろう。大阪公演を皮切りに、彼らがどのような「心の声」を届けてくれるのか、期待が高まる。
【公演概要】
舞台『奇喜怪快(ききかいかい)』
• 出演: 宮脇優、里中将道、川谷修士(2丁拳銃)、小堀裕之(2丁拳銃) ほか
• 脚本・演出: 高梨由(PandA)
• 公式サイト: https://w-engekiproject.com/
文:ごとうまき