【吉幾三の集大成がここに!】『芸能生活50周年 吉幾三特別公演』新歌舞伎座で6月4日から

吉幾三
EVENT
「芸能生活50周年 吉幾三特別公演」が大阪・新歌舞伎座で6月4日(土)〜12日(日)まで上演される。公演に先立ち、吉幾三さんにインタビュー。約3年ぶりとなる新歌舞伎座公演への意気込み、芸能生活50周年を振り返っての思いや、故・志村けんさんとの思い出などを語ってもらった。ユーモアたっぷりの“吉イズム”が取材会でも炸裂!
本公演は第一部にお芝居「親はがっかり!子はしっかり!」第二部に歌のステージ「50th
Anniversary in 新歌舞伎座 頼り…頼られ…ありがとう」の二部構成でお届け。

第一部の見どころについて

第一部の「親はがっかり!子はしっかり!」は笑いあり、涙ありのハートフルコメディー。原案・音楽を吉幾三が、潤色・演出を岡本さとるが手がけた。
本作は13年前に妻を亡くし、娘2人に頼りっぱなしの主人公 安藤万作(吉幾三)が娘の幸せを願い葛藤する姿を描いた下町人情溢れる物語。感涙必至のようだ。
ーー自身と役柄が重なる部分は?
吉さん
私の長女が出戻りです!………そこだけです!(奥さんを亡くした役だが)そして女房はまだ生きてます!だけど、もし女房が死んじゃったらガクッとして、何もかもやめちゃうだろうな…。いや、ちょっと待って、修正してください、僕は僕で生きていく!家に帰ると血圧が上がるんだよ(笑)
と冗談めいて話す吉さんに取材陣全員大笑い。
吉さん
もちろん、子を持つ親として、オーバーラップするところはありますよ。
息子一人、娘を二人持つ自身と重なるという。第一部の舞台には吉さんの次女・寿三美さんも出演する。
ーー舞台の見どころは?
吉さん
一番の見どころは、娘2人の幼少期や妻との日々を懐古し、娘たちと3人で仏壇に向かって泣くシーンです。名古屋公演では、客席から男性の嗚咽が聞こえました。皆さま、拍手をすることも忘れるほど、感動されたのでしょうね
また、本作には吉さんのアドリブのセリフも多く、3日に1回は物語の舞台を違う場所に設定する即興演出もあるという。
吉さん
吉本新喜劇とまではいきませんが、喜劇の要素もたっぷり詰まった作品なので大阪の方には特に楽しんでもらえるはずです。大阪公演から佐藤B作さんが参加。中本賢ちゃん、島崎和歌子さん、芳本美代子さんも皆ゲラで、一生懸命やっているのは私だけ(笑)それこそ、私がしっかりしないとダメな芝居なんですよね(笑)
吉さん
あとは、まだまだ感染者が多いので、大阪公演でも「あまり出歩かないように」と注意喚起しています。食事も少人数に分けて行ったりと気を付けていたお陰で、名古屋公演でも一人も感染者を出さなかった。大阪でも実行して千穐楽までやり切りたい。
吉さんの魅力と、個性溢れる豪華共演者たちとの化学反応がどのように昇華されるのか、期待に胸が膨らむ。

第二部歌のステージについて

第二部の歌のステージでは、「雪國」「酔歌」「酒よ」ほか、新曲の「頼り頼られ…」「天空へ届け」、故・志村けんさんに捧げた歌「二人のブルース」などが予定されている。
“家では頼りっぱなし”と話す吉さんの新曲「頼り頼られ…」は、自身が50年を振り返り、これまで“頼り頼られて”生きてきたこと、1人では生きていけないことを改めて実感し制作された。また本曲のミュージックビデオでは、千葉県の無人駅がロケ地となっている。
吉さん
15歳で夜行列車で青森から上京してきたこともあり、線路や駅というものに惹かれるんですよね。
吉幾三の原点と軌跡が新曲にも投影されている。
またカップリング曲の世界平和を願った歌「天空へ届け」は、世界中に不穏な空気が蔓延している中でのタイムリーな歌。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まる前にレコーディングされた曲となる。
吉さん
戦争反対!悪いのは大人で、子どもたちの涙は見たくない。第二部のステージでは地球儀の中に内戦や戦争で親を失った子ども私がボランティアで行っているタイの子どもたちとの写真などをスライドで流せたらと思っています。

昔馴染みのバックバンドがステージを彩る

また本公演でも40年近く吉さんを支え続けるバックバンドのメンバーたちが、歌のステージを華やかに奏でる。
吉さん
全員60後半から70歳。バックバンドのメンバーも若い人を入れようとしても、誰も辞めやしない。『舞台上で死んでもいい』と腹を括っている70幾つの人もいる。ドラムも早かったり遅かったり、「雪國」やってもベースは別の曲弾いてるしね(笑)。身体に鞭を打ってもバンドをやりたいって言う連中ばかりなんです。有り難いですよ、彼らとギリギリまで一緒に仕事ができたらいいなと思っています。
冗談を交えたり毒づきながらも、その言葉の裏には仲間たちへの深い敬意と愛が感じられる。

故・志村けんさんとの思い出

国民的タレントの志村けんさんが急逝してはや2年、志村さんが亡くなる1、2ヶ月後には2人がテレビ共演し、一緒にコントをする予定だったという。プライベートでも親交が深かった吉さんは、志村さんとの思い出を優しい眼差しで語った。
吉さん
朝までよく一緒に飲んだんです。いつも「吉さんありがとな、朝になっちまったな」って頭を下げて帰る礼儀正しい人。あの人は良い意味で二重人格、普段はちっとも面白くない人なんですよ(笑)。私がC型肝炎でお酒飲めない時にね、志村さんに銀座に呼ばれて行ったんです。俺飲めないって言ってるのにワインを出してきて。で、飲んだら中身は葡萄ジュースだった。そういった配慮ができる優しい人。飲んだ席で歌うとなると、いつも照れながら「歌っていい?」って、私の歌ばっかり歌ってくれて。
会ってないだけで、亡くなった実感がないと話す。さらにこんなエピソードも。
吉さん
私が青森にいる時にテレビの取材でうちに訪ねてきてくれて、車椅子の母も大喜び。志村さんが(許可を取って)打ち上げ花火を上げてくれて。本当に優しい人でした。いまだに彼の番組も色々見ますがやっぱり何やってもすごい人ですよ。歌は私が勝ってますけどね(笑)。
語り終えた吉さんの目には涙が浮かんでいた。名古屋公演では志村さんの大きな写真のパネルをバックに「二人のブルース」を歌ったとのことだが、涙できちんと歌えなかったと話す。新歌舞伎座公演でも感動的なステージとなりそうだ。

50周年記念アルバムについて

吉幾三芸歴50周年を記念して、これまでにリリースしてきた約400曲強の作品の中から、吉さんが選曲した50曲を、キーを変えずに歌い直した「50周年記念アルバム」5枚が、1年にわたってリリースされる。すでに発売中の「50周年記念アルバムI 〜ピアノと吉と〜」に続き、5月18日には第二弾の「50周年記念アルバムII 〜ギターと吉と〜」が発売。今回のアルバム制作のために6年前にタバコをやめたという渾身の作品だ。
吉さん
アルバム曲は第二部の歌のステージでは歌いません。CDを買ってもらわなきゃいけないので(笑)。第1弾から第5弾まで、それぞれテーマを設定して思い出のある歌を収録しています。
第3弾のアルバムは、北海道から沖縄 日本各地を舞台にした10曲を、第4弾は、思い出の残る曲に、イントロに語りを入れながらの「〜語りと吉と〜(予定)」、さらに来年発売予定の第5弾のアルバムは演歌からレゲエといった幅広いジャンルのオリジナル曲が収録される予定とのこと。

師匠 米山正夫は偉大である!50周年を振り返って。

1973年にヤンマディーゼルのCM曲「恋人は君ひとり」(芸名・山岡英二)で歌手デビューし、1977年に吉幾三に改名、シンガーソングライターとして活躍する一方で作詞・作曲家としても数多くのアーティストに楽曲を提供している。
 
ーー芸能生活50年を振り返り思うことは?
吉さん
節目節目で何かしらやってきたのもあるのか、50年長かったと言った気持ちはない。つまり、とても良い環境にいたのでしょうね。とりわけコロナ禍はコンサートが全て白紙になったりと何も実感がなく、銀行と何度も会ってた記憶しかない(笑)。だけど色んな経験をさせてもらいましたし、死ぬまで勉強だと思っています。

師弟関係にも変化が・・・

吉さん
50年経って自分が教える立場になり、弟子への教え方も変わりました。今までは弟子が歌が上手くなるためには、蹴飛ばしたりもしていた。だけどやっぱりこれではいけないんだなと。
これまでの師弟関係を振り返ることが多く、改めて身が引き締まると話す。
吉さん
米山先生には人生とはなんぞや、生き方とは何か?という本質を教えて頂いたなと、この歳になって気付きました。もっと大らかに物事を考えようと。やはり米山正夫は偉大です。
と恩師に感謝の気持ちを述べた。
愛弟子で2020年には第62回日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞した注目の若手演歌歌手 真田ナオキの活躍に対し“師匠冥利に尽きる”かと聞かれると…
吉さん
絶対にありません!真田ナオキは敵ですから!(笑)いや、可愛いですよ。彼には「どんな方にも必ず頭を下げなさい」と伝えてきました。バカ正直なところもありますが、礼儀正しい子です。
と愛弟子を褒め称えた。公演期間中、まだ日程は未定であるが真田さんも舞台に駆けつけるかも!?
冗談を言って毒づいても、隠しきれない優しさと人情。そんな吉さんの人柄が見えた取材会だった。多才でユーモア溢れる吉さんの集大成『吉幾三特別公演』は大阪・新歌舞伎座で6月4日(土)〜12日(日)まで。

公演概要・チケット

芸能生活50周年 吉幾三特別公演
公演期間 2022年6月4日(土)~12日(日)
料金 (税込)
1階席 12,000円
2階席 6,000円
3階席 3,500円
特別席 14,000円
◎新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)
取材・文/ごとうまき