【MV撮影を取材!】葵かを里 世界遺産・吉水神社からの‟一目千本”バックに華麗に舞う

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日本舞踊を舞いながら歌う“艶歌歌手”葵かを里の新曲『吉野 千本桜』が3月1日(水)に発売される。歌手生活19年目となる今作は、桜の名所である奈良県・吉野が舞台に。世界遺産・吉水神社(「吉」の正確な表記は「Tsuchiyoshi.svg」(「土」の下に「口」、つちよし)でMVの撮影が2日間かけて行われた。
奈良県吉野山といえば、大峰山脈の北端に位置し、東西を急俊な谷に挟まれた馬の背のような尾根に、金峯山寺の寺内町として発展してきた地域。修験者の聖地として信仰を集め、源義経と静御前の悲話や、後醍醐天皇をはじめとする南朝の哀史など、数多くの歴史の舞台となった場所だ。
『吉野 千本桜』はそんな吉野山を舞台に、源義経と静御前の2人を彷彿とさせるような、愛し合う2人の悲しい別れを描いた作品である。作詞を麻こよみ、作曲を影山時則が手がけ、カップリング曲の『明日への虹』では、茶野 香として葵が作曲を担当している。

撮影が行われたのは1月11日。春を思わせるような暖かな気候と快晴に恵まれ、MV撮影がスタート。葵は吉野山の桜をイメージしたような桜の柄の着物に身を包み、吉水神社から望む「一目千本、一目十年」と呼ばれる絶景スポットに立ち、撮影に臨んだ。新曲のアレンジでは、法螺貝の音色が効果を生み、これまでにないスケール感たっぷりの曲へと昇華されている。

——世界遺産・吉水神社での撮影はいかがでしょうか?

葵さん
前作『諏訪の御神渡り』でのMV撮影では凍え死ぬかと思うほど寒かったので、今回も防寒対策を万全にしてきましたが、今回は暖かく、お天気にも恵まれたのでカイロもつけていません。吉野山を訪れたのは今回で2回目。7年前の桜の時期に訪れ、この地を舞台にした歌を歌いたいと待ち望んでいました。まさか吉野山の桜と静御前が合致して、歌にしていただけるなんて!大変光栄で、忘れられない大切な日となります。

静御前を、葵かを里20周年集大成のテーマに。

——実際に吉水神社に来て、静御前の面持ちを感じていますか?

葵さん
“舞いながら歌う演歌歌手”として、踊りをコンセプトに19年間続けてきました。歌手生活20周年間近、葵かを里の集大成として、何か大きなことができないかと考えていました。そんな時に踊りの名手で、魅力的な歴史上の女性・静御前の名が挙がりました。調べていくうちに、静御前は源義経との間に、歴史に翻弄された悲しいドラマがあることを知って…。こうした題材を踏まえながら、吉野山を舞台に曲を作っていただきました。私の想像していた以上の楽曲ができて大満足です。

——楽曲の舞台について、今回も沢山調べておられるのですね。

葵さん
静御前のような女性になれるようにと、私自身沢山勉強させていただいています。先日は鶴岡八幡宮の舞殿に行き、彼女がどのような気持ちで義経を想い舞ったのか…など思いを馳せました。またMV撮影前に一度吉水神社を訪れましたが、実際にこの場所から見える壮大な景色に感動。“一目千本”の通り、実際に桜が咲くと燃えるような美しさに圧倒されるのだろうと想像しました。だけど、この美しい桜も自然に咲くものではありません。桜を守ってくださる方たちのお陰で、この絶景が何百年と続き、眺められることを教えていただきました。

——カップリング曲『明日への虹』が出来上がった背景は?

葵さん
茶野香として初めて作らせていただいた曲『おんなの花を咲かせます』、第二弾の『人情酒場』に続く第三弾となります。これまでに歌ってきた曲は、悲しい女性の心情やしっとりとした曲が多いこともあり、カップリング曲は明るく元気の出るような歌を歌いたいと、今回も前向きな歌詞を書いていただきました。曲を作るにあたって、メロディーが重ならないように気をつけて、ワルツのリズムで力強さを意識しながら作りました。

奈良を舞台に歌った曲は、10th記念曲『二月堂』に続く2曲目。3月1日に発売される4曲入り12CDS〈タイプA〉には、葵のセカンドシングル『夢さくら(2016年1月13日発売バージョンを収録)』と『二月堂(2014年11月2日発売)』も収録されている。ちなみに、〈タイプB〉は12CDS +DVD付きとなっており、MV、舞踊映像、字幕入りカラオケが収録。どちらも充実した内容となっている。

前作の『諏訪の御神渡り』でも諏訪地方に何度も何度も足を運んだという。今年は吉野に沢山訪れ、関西との縁も深くなりそうだと、葵は目を輝かす。

葵さん
今作では、静御前の縁の地にも沢山訪れながら、静御前の想いを乗せて歌い踊りたい。桜の名所として有名な吉野の桜の美しい情景の裏には、悲しい歴史の恋物語があるということを知っていただきたいし、吉水神社にも参拝していただきたい。違った角度からでも吉野山を楽しんでいただけたなら…。ご当地の歌を歌うことによって、その土地の魅力を多くの人にお伝えできるのが嬉しいです。この曲が私にとっての新たなスタート。そんな気持ちで取り組んでいけたらと思います。

取材・文・撮影/ごとうまき