【12/3 遂に開幕!】ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪 ゲネプロレポート

News

ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』が12月3日(土)から15日(木) まで、なんばグランド花月地下1階「YES THEATER」にて上演される。本公演は、累計70万部超のベストセラー絵本「えんとつ町のプペル」のミュージカル版。原作の⻄野亮廣(脚本・演出)と日本ミュー ジカル界を牽引するキャスト・スタッフによって行われた2021年11⽉の初演に続く第2弾。

脚本・音楽は初演を踏襲し、演出・ダンス・キャストは一新。演出に、気鋭の若手として注目を集める劇団四季出身の高橋伊久磨を迎え、振付には数々の名作を生み出した加藤敬二が加わる。関西中心に活躍するフレッシュなキャストや、劇団四季をはじめとする数多くの舞台で経験を積んだキャリア、実力ともにトップクラスの俳優たちが顔をそろえる。本記事では、大阪を盛り上げる珠玉のミュージカル『えんとつ町のプペル』大阪のゲネプロ公演を取材。この感動を伝えたい!

陽気な音楽「Chimney Sweep (煙突掃除屋の歌)」が鳴り始めると、皆の愛されキャラ・スコップの登場によって幕が上がる。スコップを演じる阿部よしつぐは、映画、ミュージカル初演でスコップ役を務めた藤森慎吾の後を演じるということもあって、インタビューでも“プレッシャーである”と話していた。しかし、さすがは超実力派俳優!スコップの内面の深い部分まで追求し、唯一無二のスコップを体現している。スコップの内面…、舞台上で見せる表現や表情にも注目して欲しい。

主役のルビッチを演じるのは、21歳の末谷玲乃。“10歳の男の子を演じるために試行錯誤している”と語っていたが、彼女の持つ可憐さと無邪気さが巧く掛け合わさり、魅力的なルビッチに。伸びやかで優しい歌声から、力強い歌声まで幅広く歌いこなし、観客をえんとつ町の世界観へと誘ってくれる。

プペルとブルーノの二役を演じる近藤真行は、深みのある歌声で観客を魅了。プペルとブルーノ、どちらにも“愛と温かさ”が感じられ、近藤プペルも期待以上の魅力を発揮している。ルビッチとプペルのクスッと笑えるコミカルな掛け合いにも目が離せない。

また、本作での悪役として重要なポジションを担うのは、ベラールを演じる下村青。歌・踊り・芝居と三拍子そろったミュージカル界屈指の“怪優”と呼ばれ、圧倒的な風格や威厳から只者ならぬ雰囲気を放っている。本公演で見せる怪演ぶりにも注目したい。ベラールが歌で表す心境の変化にも、思いを馳せてみてほしい。悪役には、悪役になってしまった背景があることを…。

スーさん演じる山科諒馬、ダン役の松原剛志にも注目したい。32歳の山科が、50代のスーさんをどのように演じているかも、見どころの一つ。スクリーンの中のスーさんを見事に演じ切っている。また堺市出身の山科は、地元・大阪の舞台に立てることにも喜んでいる。

優しく真面目なダンを演じた松原剛志は、今作でもバリトンの声域で、これまで演じたことのない役にも挑み、新たな魅力を発揮。2人の歌声も格別に素晴らしく、人々の心に響くこと間違いなしだ。

また、ローラ役の谷口あかりの存在も際立っている。息を呑むほどの圧倒的な歌唱力には脱帽。台詞は少ないものの、母としての優しさと強さ、ブルーノとルビッチへの愛を、歌で表現している。

映画と初演では女性が演じていたアントニオ役に、初の男性となる黒川賢也が務めるが、成人男性が男の子を演じる上で“男臭く”ならないことを意識しているとのこと。自身も映画『えんとつ町のプペル』によって背中を押され、鼓舞されたからこそ、本作に対して特別な思いで臨んでいる。

レベッカ役の伊藤稚菜は、末谷や黒川らと同じダンススクール出身。ルビッチとの距離感を大切にしながら、街の人々の意見を担う大切な役を丁寧に演じている。

そして各シーンを彩り、欠かすことができないダンサーたちに、主にダンス界で活躍する松井英理、齋藤駿、政田洋平らが顔を揃える。華やかで切れ味あるダンスが実に美しい!!

ラスト30分間は、会場に魔法がかかったかのような演出に、息をするのも忘れてしまうほど。歌、音楽、演出、ストーリーが掛け合わさり、わたしたちを感動の渦へと巻き込んでいく―—。

それにしても、脚本と演出が心憎いほどに素晴らしい。何度見ても、新しい発見と感動が生まれるのが本作の魅力の一つ。物語とキャストたちが奏でる美しいハーモニーが、観るもの達の心の煙を晴らすことだろう。

そして、大阪公演のスタッフ・キャストが大切に、大切に、私たちに届けてくれる本公演は、少し早めのクリスマスプレゼントになるはず・・・!ファミリーミュージカル『えんとつ町のプペル』は、12月3日(土)から15日(木) まで、なんばグランド花月 地下1階「YES THEATER」にて上演中!

公式サイト・チケット:ミュージカル「えんとつ町のプペル」大阪 (poupelle-musical-osaka.com)

撮影/ピーマン

取材・文/ごとうまき