【屋良朝幸インタビュー】新たなスタートに向けて── 「THE CIRCUS!は僕のホーム。命をかけてパフォーマンスをしている。」

インタビュー

屋良朝幸が主演を務めるSpecial Entertainment Show THE CIRCUS! presents『The Agent』が 2024年1月13日(土)〜14日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される。

「The Agent」は、屋良と演出家のTETSUHARUがタッグを組んで制作していた“ニュースタイルダンスエンターテイメントショー”「THE CIRCUS!」のチームが、2019年以来 再集結した新作で、激しいダンスとアクションで届けられる新感覚のエンターテイメントとなっている。2024年1月31日をもって、「SMILE-UP」(旧ジャニーズ事務所)を退所する屋良にとって、SMILE-UPタレントとしての舞台出演は今作が最後。

今回、兵庫公演に先立ち、東京公演真っ最中の屋良にインタビューを実施した。作品やカンパニーへの思い、そして2024年2月からリスタートを切る自身の“これから″について沢山語っていただきました。

ダンス×アクションで魅せる新しいエンターテイメント

── 東京公演でのお客さまの反応や手応えはいかがでしょうか?

屋良
東京公演では、ライブ会場じゃないかっていうくらいにお客さまが声を出してくださって。それが本当に嬉しくて、キャスト陣はつい調子に乗ってしまいます(笑)。カーテンコールもまるでライブのような感じです。「THE CIRCUS!」のコンセプトの一つでもある“枠にとらわれないエンターテイメント”が実現できていると、お客さまの反応を見ながら実感しています。兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールに立つのは今年の9月と今回で2回目。ステージはもちろんのこと、客席から聞こえる音響もめちゃくちゃ良いので、この作品の良さがより伝わるだろうと期待しています。

── 今回激しいダンスとアクションも見どころの一つとのことですが。

屋良
ダンスはストリートダンスがメインで、TETSUHARUさんにしか表現できない世界観を存分に楽しんでいただけるのではないでしょうか。なんといっても今回は、アクションとダンスがミックスされているので、そこがまさに「The Agent」の世界観。戦いながら歌うのでかなり体力を使いますし、難しかったです。

屋良
楽曲のジャンルもキャラクターによって違っていて、幅広いジャンルの音楽を楽しんでもらえます。僕はR&Bをベースに、内面を大切にしながら歌っていきます。

── 屋良さんが演じるのは、自分のミスで相棒を殉職させたことで自堕落な生活を送る元FBI捜査官・レン。彼はどのような人物ですか?

屋良
彼はもともと明るい人間だったと思います。自分のせいで相棒が亡くなってしまったことから、自己嫌悪に陥り、自分自身を信じることができず、生きる意味を見失っている……、というどん底の状態からストーリーが始まります。そこから仲間たちと出会うことで、持ち前の正義感を取り戻し、悪と戦っていきます。キャラクターの成長も感じられる人間ドラマ。ストーリーは重めではあるものの、笑いも沢山あって、エンタメとして最高に楽しんでいただける作品となっています。

役は自分とは遠い存在、ダンスは自分らしさを

── レンとご自身で重なる部分、共感できる部分は?

屋良
あまりないですね(笑)、今回は自分のキャラクターとは遠い役なので、お芝居の表現や声色など、新たな引き出しができました。役に関しては自分とは違った感じですが、踊っている時は自分らしさが出せていると思います。

── 音楽や映像も素敵だと聞いています。

屋良
プロジェクションマッピングを使用しているので、まるで映画を観ているような感覚になる方も。映像に合わせて演じるので、普通の舞台とは少し違っています。ただ、演じる側は音楽や映像に合わせないといけないし、さらに感情も出していかないといけないので、苦戦しました(笑)。

── お稽古はどんな感じでしたか?

屋良
お稽古もとても大変でした。どれだけ息を上げずにセリフを喋って歌えるか、というところを特に意識して取り組みました。踊り倒した後に急にセリフを話したり歌ったりするので……、コントロールが難しかったです。

革新的なものを創りたい

── 演出のTETSUHARUさん、植木豪さんとの4年ぶりのステージ、お二人は屋良さんにとってダンスの師匠とのことですが、お二人とご一緒されていかがですか?

屋良
追いつきたくても追いつけない存在です。僕よりも年上でこれだけ動ける人って数少ないと思います。そんな二人とまたこうして一緒にステージを創って、舞台に立てることは光栄です。僕たち3人は前人未到な事をやりたいという思いが同じなので、その3人が集まったことで、今回新しいものを生み出すことができたのではないかと思っています。

── 原嘉孝さんの印象は?

屋良
お芝居がめちゃくちゃ好きなんだろうなって思います。ミュージカル『天翔ける風に』でご一緒した時は、ジャズダンスがメインでしたが、今回のようにストリートダンスを踊る原ちゃんを見るのは初めて。上手いし器用ですよね。

「THE CIRCUS! 」は僕のホーム

── SMILE-UPタレントとしての舞台出演は今作が最後とのこと。どのような思いで舞台に立っていますか?

屋良
1月末で事務所を退所するにあたって、最後の舞台がこの作品で良かったなと思います。演出のTETSUHARUさんや豪くんをはじめとする素晴らしい仲間とできて良かったとしみじみ感じています。「THE CIRCUS! 」は、僕にとってのホームなんです。そういったこともお客さまに伝わっていると嬉しいな。演劇としてはここで一区切りですが、今後もエンターテイメントをしていく中で、こういったお芝居もやっていきたいと思っています。

── 今後は表現や創造をさらに深めていくとのことですが、具体的にどんなことですか?

屋良
“音楽とダンス”という表現が自分に合っているのかな。振付も自分の武器だと思っているので、そういったことも含めて多方面で活動していきたいです。ショーやライブの演出や、機会があれば海外でも何かしてみたい。そのためにも、まずは自分が何をして行きたいのかを明確にしたいし、心の芯をしっかりと捉えていく時間が必要だと思っています。

屋良
自分でショーなどをプロデュースして、今後は曲もリリースさせていただきますが、アーティスト活動を軸にしていくのかどうかはまだ模索中……。まずは一度、自分の好きなことをとことんやってみようかな、と。そこで自分の軸を作ってから、また演劇などにもチャレンジしようと思っています。

── デビューしてから28年を振り返って現在の心境は?

屋良
僕は良くも悪くもここしか知らないから、めちゃくちゃ世間知らずなんです。それに有難いことにずっと守られてきたので、大きな挫折を味わったこともないし、きっとここから本当の勝負なんだろうな、と思っています。この先心折れることも沢山あるのだろうけど、まだいける!って。

2024年は修行の年

── 2024年2月で41歳、新たなスタートを切るのにもちょうど良いタイミングとなりますね。

屋良
人によっては遅いと言う人もいるかもしれませんが、まだ身体は動きます。これがあと5年後とかならきっと無理だと思うのですが、このタイミングで決断できたのは良かったと思います。2024年はチャレンジの年でもあり、修行の年となりそうです。まだ赤ちゃんみたいなものなので(笑)。これまで培ってきたものを組み立て直していく時間なのかな。やっとInstagramも始めましたし、まだまだ知らないことだらけです。

── 最後に兵庫公演を楽しみにしてくださっている方へメッセージをお願いします。

屋良
東京公演でも感じていることですが、本当は僕たちがお客さまに力を与えなくてはいけないのに、逆にお客さまから力をもらっているんです。だからこそ命をかけてパフォーマンスができるし、せめぎ合う。そのエネルギーが客席にも伝わればいいなと思います。特に僕は泥みたいになって、ステージに這いつくばってやっているので、大丈夫かな?って思わないで欲しいです(笑)。メイクもぐちゃぐちゃになってドロドロになっている、そんな自分が大好きなので(笑)。新しい舞台の未来を切り開いていくような作品をお届けしますので、是非足を運んでください!

ミュージカル『The Agent』ジエージェント公式サイト (musical-the-agent.jp)

インタビュー・文・撮影:ごとうまき