【演歌と笑いの融合】市川由紀乃 大阪・新歌舞伎座で座長公演 川畑泰史とデュエット披露

撮影:岸 隆子
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芝居も歌も、笑顔で溢れる特別公演 2月14日まで

演歌歌手 市川由紀乃の座長公演「市川由紀乃特別公演」が大阪・新歌舞伎座で2月5日から14日まで上演中。吉本新喜劇が大好きな市川由紀乃の念願かなった本公演は、第一部の喜劇「娘の夢は母の夢」と第二部の「市川由紀乃オンステージ~如月に咲けよ、秘桜~」休憩を挟む約3時間、笑いあり涙ありの至福の時を堪能できる。第一部のお芝居では以前から自身が大ファンだという吉本新喜劇の座長 川畑泰史、吉田裕、浅香あき恵をはじめとする豪華メンバーや松竹新喜劇、関西演劇界で活躍する俳優たちが顔を揃え‟大阪のお笑い文化”のエッセンスがたっぷり詰まったハートフルコメディーに。第二部の歌のステージではシャンソンの世界から演歌の世界、昭和・平成の懐かしい名曲のほか、2月2日に発売されたばかりの新曲「都わすれ」も披露。コラボレーションコーナーでは吉本新喜劇の川畑泰史さんとのデュエット曲「運命と呼ばせて」(「都わすれ」由紀乃の夢盤のカップリング曲)も初披露するなど、壮大な演出とともに見所たっぷりのステージに仕上がっている。 『こんな時だからこそ、マスクの内側ではいっぱいの笑顔になっていただきたい』と語る市川さん、この日も観客の笑顔が溢れる公演となった。

撮影:岸 隆子

川畑泰史と徳田博丸が作・演出をした第一部のお芝居『娘の夢は母の夢』は、大阪のとある商店街を舞台に、歌手を目指して定食屋で働く京歌(市川由紀乃)と、定食屋の主人・聡志(川畑泰史)、クリーニング屋の服部(吉田裕)ら商店街の人々が繰り広げる人情喜劇だ。テンポよく流れるボケとツッコミが心地よく、笑いのオンパレード。ラストは鼻の奥がツンとするような感動が押し寄せる。まさに泣き笑い。あぁ、これぞ大阪、これぞ吉本新喜劇。笑いがもたらす幸福たるや、何度感嘆のため息が出たことか。本作で描かれるのは、娘と娘を思う母の強い絆の物語だが、市川さんも自身と重なる部分があるという。落ち込んだ時には母の言葉が背中を押し、そして演歌好きの母の影響を受け、音楽が家族の思い出になっていると。

撮影:岸 隆子

それにしても、新歌舞伎座の立派な舞台装置を駆使した華やかな演出には舌を巻く。生バンドの演奏とダンサーたちとともに繰り広げられる第二部の『市川由紀乃オンステージ~如月に咲けよ、秘桜~』では、市川さんの伸びやかで崇高な歌声が会場を包み込む。名曲からオリジナルヒット曲と幅広いレパートリーで観客を楽しませた。また彼女が敬愛してやまない美空ひばり、都はるみ、島倉千代子の歌も披露、目を閉じて体を揺らす観客も多く見られ、それぞれが市川由紀乃ワールドに心酔していた。さらに第一部の芝居で共演した吉本新喜劇の座長 川畑泰史の 弾き語りの世界では、バンバンの「『いちご白書』をもう一度」を、ギター片手に川畑さんの美声が披露された。弾き語りをする真剣な姿を見せる一方で、小気味よいトークと笑いで会場を沸かせた。さらに市川さんの事務所の後輩である青山新コーナーもあったりと、次から次へと展開される目の覚めるような粋な演出に心掴まれる。市川さんは『舞台に立って、緞帳が上がり、目の前にお客様がいることが当たり前の光景ではないんだ』と、コロナ禍の中こうして上演できることに喜びと、観客への感謝の気持ちを伝えた。今年でデビュー30周年を迎える彼女の今年の抱負は‟脱皮”とのこと。本公演で、新たな市川由紀乃を見ることが出来そうだ。

撮影:岸 隆子

撮影:岸 隆子

チケット・公演概要

市川由紀乃特別公演
公演期間 2022年2月5日(土)~14日(月)
料金 (税込)
1階席 12,000円
2階席 6,000円
3階席 3,000円
特別席 14,000円

チケット購入市川由紀乃特別公演 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[ 演劇のチケット購入・予約] (pia.jp)

新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222

文/ごとうまき