【誹謗中傷コメントをヒット曲へと昇華】海蔵亮太ロングインタビュー「目に見える人たちを大切にしたい」

海蔵亮太
アーティスト

神から授かった天賦の才能を持つ歌手・海蔵亮太。カラオケ世界大会(KWC)において、2年連続で世界チャンピオンとなり、数々のカラオケ番組でも賞を総なめにしてきた。2018年にメジャーデビューして5年目。圧倒的な歌唱力と表現力で人々を魅了する海蔵にインタビュー!

アーティストから、シンガーソングライターへ。自身の経験と重ね合わせて作られた新曲「羅針盤」

ーー作詞作曲した新曲「羅針盤」、曲ができた背景などを教えてください。

海蔵
BSテレ東「日経ニュースプラス9」のエンディングテーマ曲として、テーマを設けて作った曲。初めての経験で作るのは簡単ではなかった(笑)。僕も大学卒業後就職して、数年間働いていたので、当時のやりたいけどやれないという葛藤や、夢と現実との狭間で色んな思いも持って仕事をしていたことを思い出しながら作りました。今回の曲作りでも過去の自分の経験が活かされたかと…。プロデューサーの方の“この番組が視聴者にとって羅針盤的な役割になれば…”という言葉が素敵で、タイトルとして採用させてもらいました。

もともと歌手を目指していたわけではないという海蔵は、中京大学法学部を卒業し社会人として働いていた。在学中は公務員を目指していたが、アカペラに出会い、公務員ではなく違う職業も見てみたいと就職活動をする。就活中に出会った会社の社長に魅了され、決まっていた幾つかの内定を蹴って就職した。

ーー歌手になる前に積んだ社会人経験。現在にどう活きていますか?

海蔵
大学卒業後は、カフェを経営する会社に就職し、接客業をしていました。テレビやラジオ、インタビュー、ライブのMCなど、喋ることにおいて、職場で培った接客スキルが活かされていると思います。昔からよく笑うほうでしたが、さらに笑顔も叩き込まれた(笑)。自分の人生って他の人に比べるとウネウネした道ですが、最終的には色んなところで役に立ってる。みんなももっと、遠回りすればいいのになって思います(笑)

毎週家族と通ったカラオケが原点

子どもの頃から楽器をしていたわけでもなく、中学高校時代は、音楽活動をしていなかった。これだけの才能があるのに、一体どこでこの才能を磨いたのだろうか?聞くと、どうやら幼少期の家族とのカラオケの時間が今の海蔵の原点だという。

海蔵
家族で毎週カラオケに行くのが我が家の日常で、それが普通だと思っていました。当時は90年代ということもあり、毎週のように新曲がリリースされていて、必死で覚えて歌っていた。この経験が音楽を好きになり、人前で歌う楽しさを知るきっかけになったのかな。

ーーカラオケがコミュニケーションの場であり、英才教育の場になっていたんですね!

海蔵
スパルタ教育でした(笑)。上に二人のきょうだいがいるんですが、8つ上の姉に毎週新曲の課題を出されて、学校の宿題が全然追いつかなかった(笑)。途中からカラオケボックスが進捗会議の場になって(笑)。当時からMISIAさんをはじめとするJ-POPを牽引していたアーティストの曲をずっと歌っていたので、小学校の合唱では浮いていました。ビブラートもアレンジもダメって先生に言われたけど、言うこと聞かずに貫き通した。自分の好きな歌を歌い続けたいという気持ちはカラオケボックスであれ、学校の授業であれ、変わりませんでした。

カラオケ世界大会への出場で気づいた音楽のチカラ

ーー自身の才能に気づいたのはいつ?

海蔵
ずっと歌は好きでしたが、歌を生業にできるほどの人間ではないと思っていた。だけどカラオケ世界大会でチャンピオンになったことで、自分の歌で誰かの気持ちを動かせられるんだって、自信がつきました。カラオケ世界大会によって、色んな国の方達と交流が…。音楽って文化や言語が異なっても人に伝わる、むしろ言葉以上に人の心に響くということを実感した。

海蔵が崇拝するアーティストは槇原敬之さん。「いつか会いたい、一緒に仕事をしたい」と目を輝かせながら話す。槙原さんの一番好きな歌は「足音」

誹謗中傷コメントから生まれた歌、大人な切り返しに称賛の嵐

YouTube動画で“コメント大喜利”が勃発。海蔵自身が自分に向けられた誹謗中傷コメントを拾って作ったアンサーソング「サイコパスのうた」が昨年配信され大反響を呼んだ。

ーー「サイコパスのうた」をリリース後、周囲や自身の変化は?

海蔵
ファンや同業者から褒められました。これまでアンチコメントを書いていた人たちまでも手のひら返し(笑)。だけどやっぱり悪口は良くない。自分の知らないところで色んなことを呟かれて、時には悪質なコメントも書かれて、傷つき悲しかった。ただ、一方的に悪口を言われるだけなのは悔しいし、それで歌を作ったんです。ものは捉え方次第で如何様にも、自分のものにできるんだと思い知りました。

「誰かに必要とされている」が原動力に!

海蔵
“サイコパス問題”については、今となっては感謝しています。だけど、この経験を経て、“目に見えない誰か”に目を向けるのではなく、自分を応援してくれる目の前の人たちを大切にしようって感じました。その一環として、毎週YouTube配信ライブを行っています。応援してくださっている皆さんとより親密になれたら。

ファンの声から決まったライブ

8月5日に阿部野ROCK TOWNで2022年夏ツアー「夏の聲」が開催されるが、このライブも自身のYouTube生配信にて、ファンの人との電話でのやり取りから決まったという。

海蔵
皆さまからライブをしてほしい、生の歌を聴きたい、という声をいただき、直近で空いているライブ会場を探して決めました。政治じゃないですけど、皆さんの声を聞くことでしっかり形になるんだってことを証明できたら。

ーーコロナ禍になってのライブの変化は?

海蔵
もともと僕のライブはそんなにファンの方に声を出してもらわないし、立ち上がってタオルを回すような曲もない(笑)。MC中にファンの人に応えるということはできなくなりましたが、あまり変化は感じていないんです。僕自身、ライブで立って聴くのが嫌なんですよ(笑)。なので僕のライブでは座って映画を観るような感覚で曲を聴いてほしい。ファンの皆さまのおかげでできるライブ、皆さんが好きな曲を届けられたら…。そして日頃の感謝を伝えたい。コロナ禍でのライブ、腐らず地道に歌を続けてこれたので、良い意味で変わった海蔵亮太を見てもらいたいです。

「とりあえずやってみる!」がポリシー。趣味はカフェ巡り。

アルバム「コトダマ」について

2022年2月23日にリリースされた3rdアルバム「コトダマ」は収録曲の大半を海蔵が手がけ、アーティスト・海蔵亮太としての大きな歩みとなった。

ーー曲づくりによって、自分の中での変化や発見はありますか?

海蔵
大多数の人に刺さる曲より狭く深く、ニッチな人に刺さる曲が今後も多くなるかなと。僕は、昨日の意見が今日の意見じゃなかったりして、毎回変わるから、ゆっくりと時間をかけて作ることができないんです。これまでは表現者として、1をいかに大きくするかだったけど、今回は0から1にする作業に重点を置いていて、毎日が新鮮でした。この経験がこれからの歌手活動においてもプラスになると思っています!

今作も美しいバラード曲を中心に、力強いメッセージの数々が詰め込まれている。アルバムリード曲の「会いたい会えない」は亡くなった友人を想い、作られた曲。「距離」は女性目線で、少女漫画のような世界観で作られた前向きに、明るくなれる曲。

今後も原点に近い活動を…

ーー海蔵さんの歌によって多くの人が支えられ、励まされています。今後、歌手としてどのように歩んでいきたいですか?

海蔵
あまり表立って話していませんが、デビューしてから毎月、病院や介護施設で歌う活動をしています(コロナ禍になってからはオンライン)。そこで音楽を届け、後に病院や施設にいらっしゃる方からお手紙やコメントをいただくのですが、普段応援してくださる方も含め、皆さまからいただく“ありがとう”は僕にとって尊く大切な言葉です。先方がご迷惑でなければこれからもこの活動を続けたい。祖父が認知症で入院した時、病院や施設に音楽が流れていないのがもったいないと感じていて、そういった意味では初心に帰れる自分の活動の原点なんです。

海蔵
目に見える、応援してくれる人たちを大切にしたい。その為にもライブをし続けたい…!そうして、これからも新たな作品を生み出し、愚直に歌い続ける。“音楽があったらいいな”と思える場所にも、今後も歌を届けていきたい。

笑顔が素敵で物腰の柔らかい海蔵さん。それでいて芯はしっかり、力強さも感じられる人だった。これからもその笑顔と歌で人々に希望を与え続けてほしい。

海蔵亮太 公式HP:https://www.ryota-kaizo.com

海蔵亮太Twitter:https://twitter.com/uuuumin_88

海蔵亮太公式Twitter  https://twitter.com/STAFF11964045

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公式TikTok:https://www.tiktok.com/@ryotakaizo_official

インタビュー・文/ごとうまき