【昭和30年創業の老舗中華】『吉林菜館』で名物水餃子の旨さの秘密に迫る!

ご家族で経営されている。左から、浜野さん、創業者の妻の劉王光子さん、二代目の春長麟秀さんと麟秀さんの妻。
Gourmet

中華街の残り香を感じるお店、吉林菜館

関西プレスちゃんねるグルメ、今回は言わずと知れた有名店、関西一美味しい水餃子のお店『吉林菜館』さんにお邪魔しました。

中華街といえば、神戸、横浜、長崎、、、。実は大阪にも中華街があるんです。その場所は大阪市西区川口。幕末、鎖国中の日本がしぶしぶ開いた港の一つである。ここに外国人居留地が設けられたんだとか。しかし小舟しか入港できなかったため、外国商人は神戸へと移り、代わりに宣教師たちが入居し、川口は“宗教の町”と呼ばれるように。明治38年には大阪と大連を結ぶ航路が開かれて川口の居留地跡一体は山東省や華北出身者が増える。そこからが『川口中華街』の始まりと言われている。

しかし昭和20年、空襲により川口中華街は焼け野原となり幻の中華街となる。多くの中国人は大阪市内の別の場所に移っていったが、幾つかの料理屋は復活した。七軒の中華料理屋はこの場所に留まり営業を始めた。その内の一つが吉林菜館で、戦後の川口中華街の礎となっている。昭和30年創業、創業者の妻、劉王光子さんが話してくれた。『主人は吉林省から釉薬の研究のために来日しました。戦後の食糧難の時に、京都の中華料理屋で働き、手伝ううちに自然と料理の世界へ入ったんです。川口の同胞が独立する際に物件を提供してくれて、そこから始まりました』創業者である夫が亡くなった後、家族で一致団結、息子の春長麟秀さんが二代目となり、先代から受け継ぐ味をしっかり守りながらも、今ではメディアでおなじみのXO丼を考案したりと、オリジナリティの要素も併せ持ち、今もその人気は色あせることなく続いている。

名物水餃子とXO丼を食す

水餃子880円

プリっぷりの水餃子、アツアツの水餃子を何もつけずに一口で食べる。アツアツに慣れない人はやけどに注意です。厚めの皮と旨味たっぷりの肉汁が勢いよく出てきて、皮の食感も味付けも抜群。

ちなみに中国では餃子にはニンニクは入れない。入れるとしたらタレにすりおろしたニンニクを入れるらしいんだと。

水餃子は全国発送もしています。関西圏にお住まいでないかたも、関西一旨い絶品水餃子をお楽しみいただけます。ご注文はお電話にて承っているとのことです。06-6582-4661

辛子、酢、醤油、ラー油を合わせた万能ダレにつけて食べてもこれがまた旨い!

そして、商標登録されているという吉林菜館の名物の一つ、”xo丼”、XО丼というとお酒が入っていると思われがちですが、”最高級”という意味があるんです。10種類以上の干した海鮮物、乾物が入っています。

これにさらにたっぷりのネギが入ります。

しっかり混ぜてから食べます。XO丼、大中小から選べます。

XO丼が生まれた背景とお店のあれこれを訊きました。

程よい辛さと甘さがミックスしてご飯が進みます。XO丼が生まれたエピソードを創業者の妻の劉王光子さんと娘の浜野さんから聞きました。

浜野さん
お父さんが亡くなった後、二代目に入ったときに何か新しいメニューをと、家族で香港に行ってペニンシュラホテルでXOジャンを食べたんです。すごく美味しくて。ところが日本にそのまま持ち帰ったところで、日本の風土に合わないってなって、自分で考案して店で作っていたんです。ある日まかないでご飯の上にかけて食べたところ「美味しい!」ってなって。そもそも、普通は最高級の調味料をご飯にかけるということはしないんですよね。フォアグラやキャビアをご飯にかけているようなイメージ。隠し味にほんの少しだけ使う調味料だから、XO丼は原価割れしています(笑)出れば出るほど赤字なんですよ(笑)プロもXO丼をよく食べに来てくださいます。表現しにくい味とみんなおっしゃいますね(笑)ただ一度食べると病みつきになる。一度は食べていただきたいです。
マキ
大阪で一番古い中華料理屋と聞きましたが。
浜野さん
まだ他にももっと古いお店もあります。だけど、やめていってはる。うちがこうして続いてるのも家族経営だから。他に人を雇うとできない。メニュー見てもらったらわかると思うんですが、昔から値段上げてないんですよ。メニューもほら、昔のまんま。この値段に今は消費税もらってますけどね。

料金は昔から上げていない。正直マイナス、原価計算もしていないとのこと。

マキ
コロナの自粛期間中は営業大変でしたか?
浜野さん

自粛期間中は休んでました。20時まで営業時間を短縮して、お昼時など今まで5,6人で来られてた人も一人で来られたりとかね。

だけど今はもう普通に戻りました、むしろお昼は並んでもらうくらい忙しいですね。ランチが660円の日替わり、それと、から揚げ定食が特に人気ですね。写真より大きくて量もあるんで。

から揚げ定食の写真はないのですが、こちらは麻婆豆腐定食(750円)美味しくてボリュームたっぷりでこの値段。

来ていただいてお客様の喜ぶ顔がみたい。お父さんの頃からその考えは変わってないんです。だから私らも原価とか考えずに、お客様にお腹いっぱい食べてもらって笑顔でお店を出てほしいって思ってやってます。

びっしりと飾ってある色紙。著名人も多く来られている。言わずと知れた名店ということが伝わってきます。

店内の奥には座敷もあり広い。

吉林菜館はNHKの朝ドラ「ちりとてん」のロケ地にも選ばれて実際にここで撮影が行われた。

住所:大阪府 大阪市西区 千代崎 2-7-12
アクセス:阪神なんば線・ドーム前又は九条から徒歩5~6分、九条駅(阪神)から353m
電話番号:06-6582-4661
営業時間:[平日] 11:30~14:30 17:00~22:30[月・金]11:30〜13:30 18:00〜22:30[日・祝] 11:30~22:00
定休日: 水曜日
席: 34席

KANSAIPRESS編集部から

マキ
吉林菜館のみなさん、とってもフレンドリーで優しく受け入れてくださいました。お母さんや浜野さんたちの飾り気のないそのままな感じが逆に私もリラックスが出来て、なんだか実家に帰ってきたような、温かい気持ちになりました。歴史あるお店の器の大きさみたいな、圧倒的な余裕というか、ここが人気の理由の一つでもあるんですよね。ご協力いただきありがとうございました。

取材・文/ごとうまき