毎月1回開催されているKOBE流行歌ライブ(Vol.206) が、12月1日神戸・ハーバーホールで開催された。今月は北川裕二(キングレコード)、男石宜隆 (テイチクエンタテインメント)、山本和恵(ウィングジャパン) 、木村徹二(日本クラウン)の4名が出演し、 今年最後を締めくくるに相応しい豪華で賑やかなライブとなった。
デビュー曲『二代目』のカップリング曲『つむじ風』 でトップバッターを飾ったのは、木村徹二。鳥羽一郎の次男で、 兄の竜蔵とのポップスデュオ「竜徹日記」としても活動中だが、 11月16日にソロデビューを果たしたばかりの31歳。「 コネで忙しく活動させてもらっています(笑)。」 と自虐ネタを言って、客席を沸かせた。 木村の叔父にあたる山川豊の人気曲『アメリカ橋』や、父・ 鳥羽一郎の大ヒット曲『兄弟船』『カサブランカグッバイ』 を披露。ラストは兄・竜蔵が作詞作曲を手掛けたデビュー曲『 二代目』を熱唱。『二代目』は男っぽい演歌で、 二代目が背負った宿命を描いた歌。“ガツンと響く! アイアンボイス!”のキャッチフレーズ通り、 力強い歌声が会場に轟く。木村もトークが上手く、 MCコーナーでは、何度も何度も客席から笑い声が。 山川豊が歌手生活41周年、鳥羽一郎が40周年とのことで「 デビューしてから、 40年も歌い続けることがどれだけ大変なことかがわかりました。 僕も40年後も歌い続けます!」と意気込んだ。
二番目に登場したのは山本和恵。山本は京都府舞鶴市に住み、 20年以上歌手活動を続けている。「還暦記念曲から12年、 現在72歳。このステージのために6Kg痩せてきました!」と美しいドレスで登場。
『三つの宝石』、20周年記念曲の『ピリオド』、 邪な恋を描いた『邪恋』、新曲『桜〜愛しい人へ〜』 とカップリング曲『津軽じょんから節』を披露した。『桜〜 愛しい人へ〜』は、山本自身の経験とも重なるという。 女性の歌い手に歌ってほしいという作家の要望によって、 山本が受け継いだ渾身の一曲。作詞も手がける山本は、2000年に「明日香」でデビュー。 40代の時にカラオケ教室を主催し、49歳で歌手の公募に応募、 そこで一緒に戦った1人が次に登場した男石宜隆だ。
男石宜隆は地元・神戸(有馬)出身、 今年デビュー10周年を迎えた。 KOBE流行歌ライブには2年ぶりの出演。「 コネがほしいので木村さんとお友達になりたい(笑)、 山本さんとはカラオケ大会で共に戦いコテンパンにやられました。 北川先輩は優しくて大好き。キャンペーンで行くレコード店に、 必ず裕二さんのポスターが貼ってある。」 と3人との共演に喜びの声をあげる。女の情念を描いた『 閨の月影』『竹の花』を披露し、 重厚でパワフルな歌声を響かせた。MCでは、 男石の苗字は全国で20名ほどしかいないとのことで、「 いつか同じ男石さんに会ってみたい」とアピールし、 男石の母親思いな人柄が伝わってくる母との温かなエピソードもユ ーモアたっぷりに繰り広げられた。
“のぶちゃんコール”で盛り上がりを見せた『大阪泣かせ歌』 に続き、9月14日新曲のカップリング曲『浜のれん』、新曲『 那智の恋滝』を熱唱。『那智の恋滝』は、平清盛の孫・ 平維盛と龍神村の村娘、お万が恋仲になりながらも、 平家が戦いに敗れたことで維盛が入水し、 お万が後を追うという壮大な物語を歌った曲。 ドラマティックな曲と男石の芯のある歌声が会場を包み込んだ。
再び4人がステージに上がり、それぞれの思い出の曲を披露。
木村は父・鳥羽一郎の『男の港』、山本は『岸壁の妻〜 母は白寿になりました〜』、男石は細川たかしの『 櫻の花の散るごとく』、そして北川裕二は昭和の名曲『潮来笠』『 高校三年生』『美しい十代』をメドレーで歌い、 懐かしいメロディーに会場は手拍子とともに盛り上がる。
トリを飾ったのは北川裕二。北川は福島県郡山市出身、 テレビのオーディション番組『新スター誕生』 で7週連続勝ち抜き、弦哲也の二番弟子としてデビューし38年、 来年古希を迎えるという。『流転』、『大阪なさけ川』、前作の『 湯桶恋灯り』、実体験に基づく歌詞がドラマティックに描かれた『 海を渡った人生』を披露。3年前に「脊柱管狭窄症」と診断され、 3度の手術を行った北川は、「最近は冷や汗をかくようになって、 腰に力も入らない」と嘆くが、 パワフルで伸びやかな歌声は変わらない。 それぞれが北川の歌声に酔いしれた。『なみだの純情』 とカップリング曲『ふるさとの春』を熱唱。 11月23日に発売された新曲『なみだの純情』は、 オリコン初登場2位、演歌・ 歌謡ヒットチャートでは1位を獲得し、絶好調な売れ行き。 幸せ演歌に、沢山の手拍子とペンライトの光が舞うライブは、 大盛況のうちに幕を閉じた。 次回のKOBE流行歌ライブは2023年2月に開催される。
取材・文・撮影/ごとうまき