【こおり健太インタビュー】15周年記念曲は幸せ演歌。『しろつめ草』のように強く逞しく、おんな唄を極めてく

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演歌歌手・こおり健太が、2023年5月17日に15周年記念シングルとして『しろつめ草』を発売した。これまでおんな唄を追求してきたこおり健太だが、今作で更なる進化を見せている。しろつめ草とは、幸せを呼ぶクローバー。タイトル通り“幸せな物語”ではあるが、実はとても深いメッセージが込められている。デビュー15周年、今年1月に40歳となり、節目を迎えたこおり健太に、新曲のこと、そしてデビュー15周年にかける思いやプライベートなどについて語ってもらった。

はじめての幸せ演歌、こおり健太らしさを出しつつも新たな挑戦を。

── 15周年記念曲『しろつめ草』、これまでと違った曲調でハッピーな曲とのことですが。
こおり
これまで悲しいおんな唄を歌ってきた中で、そろそろ幸せな女性の気持ちを歌ってもいいのではないかと、今回は幸せ演歌になりました。これまではテンポもゆっくりで、たっぷりと歌っていましたが、今作はテンポよく、体でリズムを刻んで歌っています。歌自体は難易度も高くないのですが、どうしてもテンポに追われてしまうところがあって、僕の特徴である“泣き節”を表現するには課題が多い曲でした。
──難しかった点や苦戦されたところは?
こおり
テンポ決めに関しては一番苦戦しましたね。実は最初はもっと早いテンポだったんですよ。オケ録りの時も先生方やディレクターと一緒に慎重に取り組みましたが、最終的には僕の歌いやすいテンポに落ち着きました。仕上がった曲、周りからはいいよって言ってもらえますが、どうもテンポに関しては自分の中ではまだしっくりきていない部分も。今後も、磨いていきたいです。
── 歌詞をご覧になった時の感想は?
こおり
ようやく幸せになったな、と感じましたし、可愛らしい、幸せな曲です。しかし、この歌は心からハッピーになっている曲ではない。噛み砕いていくと、そうでもなくて。世間から隠れて紡いできた恋が実り、二人の中では幸せになった。女性が幸せになった一方で、他で泣いている人もいるんです。それに女性の独り言なので、相手の男性はどういう立ち位置にいるのか?という見方もできるし、とても奥深い歌。大輪の花ではなく、しろつめ草のような小さな花、というところも良いですよね。

踏まれてもまた起き上がり、葉を増やす──。しろつめ草のように歩めたら

──この曲はデビュー15周年に相応しい楽曲ですね。
こおり
しろつめ草は踏まれてもすぐに起き上がる生命力の強い植物。踏まれて立ち上がった時に突然変異で起こるのが四つ葉なんです。どんなことがあっても、立ち上がって、葉を一枚増やす……。様々なメッセージ性が込められた15周年記念曲、大切に歌っていきたいです。皆さんにも笑顔で聴いてもらえると思います。歌う際は、テンポに乗り遅れずに、体でリズムを刻んで楽しく歌うとよいと思います。
──カップリング曲『恋は上機嫌』は70年代のポップスを彷彿とさせる明るい曲です。
こおり
この曲は、自分の気持ちを真っ直ぐに伝える男性目線の歌です。気負わない楽しい曲なので、この曲は深く考えずに歌うことができました。メッセージ性の強い『しろつめ草』に対して、『恋は上機嫌』は気負わずに歌えるところが良いですね!

コンサートやカラオケ大会も開催!

──15周年記念イベントではカラオケ大会も開催されるとのこと。こおりさんの中で一番思い入れのある楽曲を選ぶとすれば?
こおり
沢山ありますが、あえて言うなら『冬椿』でしょうか。コロナ禍に入って発売した曲で、キャンペーンも思うようにできなかったのに、セールス的には悪くなかった。ファンの皆さんに支えられた曲です。カラオケ大会では、僕が歌ってきた37曲の課題曲から好きな楽曲を一曲歌って応募してもらうのですが、皆さんがどんな曲を選ぶのかも、楽しみですよね。
──記念コンサートは札幌、宮城、東京での開催が予定されています。
こおり
15年周年を記念してのコンサートなので、お顔を見せてくださると嬉しいですね。デビュー当時からお世話になっている札幌は、僕にとって第二の故郷です。宮城の会場は僕の地元なので、小さい頃から知っている人も来てくださるのではないでしょうか。楽しみですね。関西でのコンサートも考えているので、関西の皆さまも楽しみにしていてください。

愛犬・ずんだが繋ぐ縁と幸せ

──プライベートについてもお聞きします。愛犬ずんだくんが更に良い出会いを運んでくれているとか。
こおり
ずんだとの散歩中に出会ったご近所さんや町内会の方達が、“こおり健太応援団”を結成して、コンサートに来てくださるようになりました。Twitterでも毎日ずんだの投稿をしているので、そこから歌や犬好きの方が応援してくださり、ファンクラブに入って下さった方が何人もいらっしゃるんです。コロナ禍で動けなかった分、ずんだがいろんな縁を繋いでくれました。ライブでも犬同伴可能の会場もあり、そんな時は、ずんだを連れていくことも。お客さんも楽しみにしてくださいます。やっぱり犬好きの人に悪い人はいないですね!
──最近では母校の短大を20年ぶりに訪問されたとのこと。いかがでしたか?
こおり
同窓会総会があって訪れました。懐かしい顔ぶれもあり、楽しい時間を過ごせましたね。東日本大震災によって校舎が倒壊して新たに建て替えられたのですが、なんとそこに僕の名前が刻まれていたんです。それぞれの年の卒業生の中から成績優秀者だけが選ばれ、彫られています。卒業式にも表彰されたのですが、実はあまり記憶になくて。というのも、母校の卒業式はまるでコンサートさながらの華やかな卒業式。卒業生がステージで歌うのですが、僕もオーディションに受かって、何人かでKinKi Kidsの『フラワー』を歌いました。

出会いに恵まれここまでこれた。今後もおんな唄を極めていく

── デビュー15周年の年に、40歳を迎えられましたがキリが良いですね。15年を振り返っていかがですか?
こおり
あっという間で早かったですよね。皆さんに支えられてここまで来れましたし、良い出会いを沢山戴きました。僕は歌の技術がずば抜けているわけではないし、キラキラしているわけでもないから、こおり健太の歩幅で皆さんと歩んでこれたのかなと思っています。制作面でも恵まれているなと思います。僕と制作スタッフの皆さんとの目指す方向性や着地点が同じで、作品づくりにおいても、迷いがない。ある意味これしかないんです。
──迷いがないのは幸せなことだと思います。
こおり
自分の色を探すこともこれまでしてきました。そして最終的に辿り着いたのが“おんな唄”。これまで、おんな唄しか出していないので、取材や業界の方から「こおり健太と言えばおんな唄だよね」って言ってもらうことが多いのですが、そう言ってもらえるようになったのが、この15年の軌跡だと思うのです。この先もおんな唄を極めて、こおり健太の歩幅で歩んでいきます!!

インタビュー・文・撮影/ごとうまき