【歴史的展覧会】ついに初来日! 『ロンドン・ナショナル・ギャラリー展』 国立国際美術館にて開催中(大阪中之島)

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世界初、ロンドン・ナショナル・ギャラリー展が2020年11月3日から2021年1月31日まで「国立国際美術館」(大阪中之島)で開催されている。

美の殿堂 ロンドンナショナルギャラリー世界初の大規模所蔵品展

 ナショナルギャラリーはイギリスロンドンのトラファルガー広場にあり1824年に設立され、13世紀後半から20世紀初頭までの作品2,300点以上を所蔵している。

ヨーロッパの多くの美術館が王族のコレクションを母体にしているが、同館は市民の手で市民のために設立、そして、特別展を除いては無料で公開しているため、より多くの人々に親しまれ愛されている。 そんなナショナルギャラリーは作品の貸し出しに対して厳しく、大規模所蔵品展としては世界初開催なんだとか。

フェルメール、ゴッホらの傑作を含む全61作品が日本初公開。

本展は、ルネサンスから後期印象派に至る同館所蔵の名品61点が展示されている。 みどころとして、中でもフェルメール《ヴァージナルの前に座る若い女性》、レンブラント《34歳の自画像》、ゴッホ《ひまわり》など、 同館所蔵の世界的傑作が初来日、日本初公開とのことで、これはもう行くしかないでしょう!

コロナ禍で海外旅行にしばらく行けそうにない中、こうしてナショナル・ギャラリー展が来日してくれるのは嬉しいですね。

ロンドン・ナショナル・ギャラリーの最大の特徴は「西洋絵画の教科書」とも言われる幅広く質の高いコレクション。このヨーロッパ美術を網羅するコレクションによって「イギリスとヨーロッパ大陸の交流」という視点から、 西洋絵画の歴史を辿り読み解いている。

構成と作品について

展示の構成については一章から七章までに分けられていて ルネサンス期から始まり19世紀のポスト印象派で締め括られる。 本展のキーワードは「イギリスとヨーロッパの交流」

第一章「イタリア・ルネサンス絵画の収集」

ロンドン・ナショナル・ギャラリー設立後、16世紀のフィレンツェ、ローマ、ヴェネツィア絵画は同コレクションの中核をなす分野で、さらに15世紀以前の初期ルネサンス絵画も充実している。19世紀半ば以降イギリスでは再評価が進んだ。本章ではウッチェロ、クリヴェッリからティツィアーノ、ティントレットまで、幅広い時代と地域の作品が紹介されている。

第二章「オランダ絵画の黄金時代」

19世紀の後半、ナショナル・ギャラリーは17世紀オランダ絵画の重要な作品群を収集した。オランダは地理的にも近く、交易や商業で繁栄したオランダの文化は、19世紀にそのあとを追い海洋帝国としての栄華を極めたイギリスにとっても親しみやすかった。レンブラントやハルス、フェルメールといった巨匠、さらに風俗画や海洋画など、イギリスで特に人気の高かったジャンルの作品も併せて紹介している。

オランダ絵画と言えばヨハネス・フェルメール。フェルメールは人々の日常の一瞬を切り取った風俗画として有名ですよね。光の反射、色彩の印象が特徴的です。

第三章 ヴァン・ダイクとイギリス肖像画

18世紀のイギリスでは、肖像画の分野に重要な画家を多数輩出している。17世紀前半に同国で活躍したフランドル人画家ヴァン・ダイクはその確立に決定的な役割を果たした。レノルズやゲインズバラといった18世紀イギリスの画家たちが、ヴァン・ダイクによる型をどのように引き継ぎ、独自の肖像画を作り上げていったのか、この章では両者を比較しながら検証している。

第四章 グランド・ツアー

18世紀のイギリスでは上流階級の子息たちがイタリアを訪れることが流行し、グランド・ツアーと呼ばれる一大現象を巻き起こした。本章では、そうした旅行者が好んで持ち帰ったカナレット(ヴェネツィアで活躍した画家)らによるヴェネツィアやローマの都市景観図を軸に、グランド・ツアーを通じたイギリスとイタリアの間の芸術文化交流の諸相を紹介している。

第五章 スペイン画の発見

19世紀初めのスペイン独立戦争にウェリントン公率いるイギリス軍が参戦したことを契機として、同世紀にはベラスケスやスルバランなどの作品がもたらされ、評価が確立されていった。作品を通じてその歴史を辿っている。

スペインの巨匠と言えば「ムリーリョ」、「ゴヤ」、そして「ベラスケス」。個人的にはムリーリョの『幼い洗礼者聖ヨハネと子羊』はしばらくその場から離れることができなかった。

第六章 風景画とピクチャレス

18世紀後半からイギリスでは、不規則で荒々しい「絵のような(ピクチャレスク)」美を尊ぶ価値観が流行し、同時に風景画が隆盛。そうした価値観の根底を形作ったのは、クロード・ロランを筆頭とする17世紀の理想風景画だった。17世紀絵画からコンスタブルとターナーというロマン主義風景画の二人の巨匠にいたる流れがいかにして生まれたのか、作品を通じて検証している。

ギリシャ神話の英雄オデュッセウスが単眼の巨人ポリュフェモスを倒し、仲間とともに出帆する場面を描いている。朝焼けの光の描写がなんとも美しく思わず溜息がでる。

第七章 イギリスにおける近代美術受容

イギリスでは一般的に印象派やポスト印象派の受容はフランスに比べかなり遅く20世紀に入ってからで、そこから本格的な収集が進むことになった。19世紀フランスで進んだ近代絵画の改革がどのようにしてイギリスにもたらされていったのか、アングルから印象派を経てゴッホ、ゴーガンに至る流れを、イギリスの視点から紐解いている。

本展での注目の作品 フィンセント・ファン・ゴッホ《ひまわり》

そのほか、ピサロやドガ、ルノワールなどといった有名画家の絵画も多く紹介されている。中でも本展の一番の見どころはゴッホの《ひまわり》だ。「ひまわりの画家」とも呼ばれるゴッホは生涯を通して7枚、花瓶に生けられたひまわりの絵を描いていている。

ゴッホが南仏・アルルで、友人のポール・ゴーガンを迎えるために描いたものが最初に描いた4枚で、その4枚の《ひまわり》のうち、ゴーガンの寝室を飾るにふさわしいと自ら認めサインを施したのは、そのうちたった2枚だった。今回来日した、ロンドン・ナショナル・ギャラリーの作品は、そのうちの1枚で4枚のうち最後に書かれたと推定されている。この1枚は背景をそれまでの青から黄色に変えている。中世ヨーロッパでは黄色は「裏切り」を意味していた。一方で黄色は太陽を意味し、南仏・アルルの輝く太陽とゴーガンとの希望に満ち溢れた生活を夢見て描いたこの作品からは、何とも言えない強いエネルギーを感じる。

チケットは事前に購入を!

本展は日時指定制のため、美術館ではチケットを販売していない。事前に公式サイトでチケットを購入してからとなります。 私は平日の14時から行きましたが、日によっては入場まで結構並びますのでしっかりと防寒していって下さいね。館内はコロナ対策も万全です。マスクは忘れずに!

大阪展概要

会場 国立国際美術館
住所:〒530-0005 大阪市北区中之島4-2-55
アクセス:■京阪電車中之島線「渡辺橋駅」2出口から徒歩約5分
■Osaka Metro 四つ橋線「肥後橋駅」3出口から徒歩約10分
■JR「大阪駅」、阪急電車「大阪梅田駅」から徒歩約20分
■JR大阪環状線「福島駅」、東西線「新福島駅」2出口から徒歩約10分
■阪神電車「福島駅」3出口から徒歩約10分
■Osaka Metro 御堂筋線「淀屋橋駅」、京阪電車「淀屋橋駅」7出口から徒歩約15分
■大阪シティバス「大阪駅前」から、53号・75号系統で「田蓑橋」下車徒歩約3分
開館時間:午前9時~午後5時30分(金曜、土曜日は午後8時まで開館)
休館日:11月16日(月)、11月24日(火)、11月30日(月)、12月14日(月)、12月30日(水)〜1月2日(土)、1月18日(月)
※変更になる可能性があります
主催:国立国際美術館、ロンドン・ナショナル・ギャラリー、読売新聞社、読売テレビ
問い合わせ:(06)6447-4680(国立国際美術館代表)

KANSAIPRESS編集部から

マキ
2008年~2009年の期間に、当時大学生だった私は二度に渡りロンドンに短期留学をした。 毎日学校が終わった後足繁く通っていた場所が「ロンドン・ナショナル・ギャラリー」。 時にはハウスメイトだった韓国人の女の子と一緒に行き、無知な私は彼女から絵画や美術史について教えてもらいながら、どんどんその魅力にはまっていった。

ナショナル・ギャラリーは無料で入館できるので、お金のない学生にとって大変有り難かった。そして日常生活にアートが根付いている、身近にアートがあるというのは、人々の心を豊かにし、智慧や発想力、考える力、問う力など人々に多くの恩恵をもたらしてくれる。

当時、アートに全く興味のなかった私がナショナル・ギャラリーの膨大な数の展示品とその美しさに圧倒され、ナショナル・ギャラリーを訪れた事をきっかけに、アートをもっと知りたい、もっと観たいと思うようになった。あれから10年が過ぎ、未だに私はアートを何もわかっていないけれど、少しはその描かれた当時の歴史的背景や宗教、神話や作者の想いや意図していることを、絵画と対話し思いを巡らせることができるようになったので少しは成長したように思う。特にエルグレコの《神殿から商人を追い払うキリスト》は私の好きな作品の一つで、本展で再会できたことが嬉しい。

何世紀にもわたり人々の心を魅了してきた本物の絵画というものは壮大な何かものすごいパワーを持っているように思う。すべてが主役級の絵画ばかり。会場に行って観る価値は十分にある。この歴史的な展示会は来年の1月31日まで開催中です。

文/ごとうまき