現在公開中の映画「ワイルド・ローズ」の主人公ローズ=リン・ハーランはシングルマザーでしかも刑務所から出所したばかりだ。8歳の娘と5歳ほどの息子はローズの実母の援助のもと順調に育っていたが、18歳未満で出産した彼女はまだ若く才能も有りカントリー歌手になることを夢見ている。家族と夢の両立でもがき続ける彼女が下した決断とは、彼女なりの幸せとはなにかを描いた作品。ローズの魂の歌声は劇場を感動の涙で包むだろう。
主人公ローズ演じるジェシー・バックリーは英国アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるなど、高い評価を獲得している。監督は「イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり」のトム・ハーパー。
主題歌「GLASGOW」は映像の後半でローズが熱唱、この曲は第25回放送映画批評家協会賞の主題歌賞や19年の英国インディペンデント映画賞の作曲賞を受賞したほか、アカデミー賞の主題歌賞ショートリストにも選出されている。バックリーの音楽学校で培われたパワフルな歌声は英国アカデミー賞の授賞式で披露し、イギリスを代表するアーティスト・アデルも喝采を贈ったんだとか。
舞台はイギリスのグラスゴー、出所したばかりのシングルマザーの若い彼女は、子ども達とどう接したら良いか戸惑っていた。だけど少しずつ子ども達との生活を通して母親としての自覚や、子ども達への愛情に気づき親として、人として成長していく。そして物語を通じて8歳の娘の良い風に変わっていく表情がうまく映し出されている。これだけでも十分感動できるのに、ローズの美しい歌声にさらに感動。これは、ずるい。
カントリー歌手としてナッシュビルに立つ日を夢見るローズの背中を押す彼女の実母(子どもたちのおばあちゃん)の姿にはきっと涙するだろう。親は何歳になっても親であり、子はいくつになっても子なんだと。親はついつい自分が叶えられなかった夢を子どもに投影し子どもを通して、自分が叶えられなかった夢を叶えようとする傾向があるらしい。身近な例でいうと子どもの早期教育、物心がつかないうちからの習い事などは良い例かも。(これは、私自身が経験済み。私が子ども達に対して、特に第一子にはそういった傾向があった)だけどそれは違っていて、自分の夢は自分で叶えるべき。何歳になっても、母親になっても、前科者でも本気でやる気になればいつでもやり直せるんだとこの物語は教えてくれる。
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