【賛否両論に分かれる作品】約束のネバーランド 《映画レビュー》

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会
エンタメ

「約束のネバーランド」実写版が2020年12月18日に公開されて一か月が経った。2021年1月22日時点で国内ランキングでは6位をキープし、動員数が127万人、興行収入が16億円となっている。本作は「週刊少年ジャンプ」連載の人気コミックでテレビアニメ化もされた「約束のネバーランド」を実写映画化。原作・アニメともに人気の作品のため、実写版にも期待し劇場に足を運んだ人も多いであろう。私は原作・アニメともに見ていないため、映画のみの鑑賞となる。原作やアニメを知っている人の評価と、私のようにいきなり映画を観た人とでは評価が大きく異なるはずだ。そこを踏まえたうえで先を読んでほしい。

作品紹介

自然の中に建てられた楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」に暮らす子どもたちは、母親代わりの優しいイザベラを「ママ」と呼んで慕い、いつか里親に引き取られる日を待ちわびている。

年長者のエマ、レイ、ノーマンも、外の世界で待つ幸せな暮らしを信じていた。そんなある日、里親が見つかり孤児院を去ることになったコニーを見送ったエマとノーマンは、彼女が大切にしていた人形を忘れて行ったことに気づく。コニーに人形を届けるため、近づくことを固く禁じられていた「門」へと2人は向かう。そこで彼らが見たものは無残にも命を奪われ、食料として出荷されるコニーの姿だった。彼らが楽園だと信じていた孤児院、実は「鬼に献上する食用児を育てる農園」であり、ママは「最上級の食用児を育てる飼育監」だった。全てが偽りでママにも裏切られたと絶望したエマたち、孤児全員を引き連れた無謀ともいえる脱獄計画に乗り出す。子どもたちは無事脱獄するこたができるのだろうか…。

 

キャスト

抜群の運動神経に加え高い学習能力を持ったムードメーカー。エマを演じるのは浜辺美波さん

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

GFハウスの子供達の中で唯一ノーマンと渡り合える知恵者のレイを万引き家族でその名を轟かせた城 桧吏(じょうかいり)さんが演じている。

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

優れた分析力と冷静な判断力を備えたGFハウスイチの天才のノーマンを2018年「仮面ライダージオウ」のウール役などの板垣李光人さん。

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

イザベラからの要請により本部から派遣された補佐役(シスター)。くろーねに渡辺直美さん

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

子供達を愛し、子供達から愛されるGFハウスのママ。エマ・レイ・ノーマンというフルスコアの子供を3人も育て上げるなどママ界のトップオブトップ イザベラ役に北川景子さんが演じる。

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

監督・脚本

監督は「とんび」(13)、「天皇の料理番」(15)、「義母と娘のブルース」(18)など、TBSのヒットドラマを多数手掛け、映画では07年に「そのときは彼によろしく」「陰日向に咲く」(08)、「ROOKIES 卒業」(09)、「僕だけがいない街」(16)、「約束のネバーランド」(20)などを手がけた平川雄一朗氏に 、脚本には 神様のカルテホームレス中学生 僕だけがいない街ラヴァーズ・キス、など数多くの脚本を手がける後藤法子氏。二人は僕だけがいない街で監督脚本を手がけ、今作で再タッグを組んだ。

本作の見どころ

ミステリアスな世界観をどれほど楽しめるかがカギ

エンディングに向けて徐々に明るみになってくるんですが、そこまでの過程を楽しむ作品となっている。最後の最後も明確な答えがなく、続編があるのでは?と期待させるようなエンディングとなっている。

見どころ① 三人の子供たちの脱獄計画と飼育監イザベラとのスリリングな頭脳戦の駆引きを描いた部分に注目。

一体どのようにして脱獄するのか。これは原作を知らない人にとってはとてもスリリングで楽しめる部分である。

見どころ➁ イザベラ役の北川景子さんの演技に注目。

子どもに対する優しい表情とふと見せる冷酷な目。彼女の真実が終盤に明るみになっていくところも本作のみどころでもある。ここにはイザベラの物語もあり、そこには諦めや絶望からの強い決意があった。

見どころ③ 渡辺直美さんの迫力ある演技 。

コミカルかつミステリアスで迫力満点。そんな彼女の存在がこのストーリーの緊張感を緩和していた。

(C)白井カイウ・出水ぽすか/集英社 (C)2020 映画「約束のネバーランド」製作委員会

本作のレビュー

点数は73点!

 

 

よかった部分

映像はとにかく綺麗で、脚本も構成もシンプル。 白、緑を基調にしていてテンポ感も良くあっという間に時間が過ぎていった。

善と悪、光と闇、愛と憎しみの対比

自然の中に立つ孤児院、陽光や木々の緑、青い空といった自然の美しさというった”光”に対し、閉ざされた闇、謎、恐怖、鬼と死といった”闇”と対比するように描かれている。

キャストへの評価

本作は北川景子さんと浜辺美波さんがあってこそ成り立つ作品ではないかと。子ども達がメインであるが、子供達に演技力などを求めると楽しめないのでそこはおおらかに見守る姿勢が必要であり、そこを気にせずに楽しめるかどうかがポイントである。また後半に予想もしていなかった意外な俳優が出てきたのでここは本作を見てのお楽しみに。

マイナス部分

”CGの迫力に欠ける”この一つです。ミステリアス感とスリリングさは感じられるものの、圧倒的な怖さがない。子どもが観る分には十分怖さはあるのかもしれないが、大人が観る分には物足りない感が否めない。また再度見たいといった中毒性もなかった。

賛否両論分かれるであろう本作、個人的にはおしなべて評価は高く、上映中も集中してストーリーに入り込めた。音楽も申し分ない。平川監督の手掛ける作品をもっと観てみたい。次回作を楽しみにしている。

約束のネバーランド作品概要

監督:平川雄一朗
原作:白井カイウ 出水ぽすか
脚本:後藤法子
キャスト:浜辺美波、城桧吏、板垣李光人、渡辺直美、北川景子
製作:2020年製作/118分/G/日本
配給:東宝
オフィシャルサイト:https://the-promised-neverland-movie.jp/

 

文/ごとうまき