【山西アカリインタビュー】新曲「瑞穂の国」と豪華コラボ秘話! 木梨憲武×所ジョージプロデュース「道しるべ」に込めた熱い想い

インタビュー

演歌歌手・山西アカリが、2025年9月24日に新曲「瑞穂の国」をリリースした。忍者をテーマにしたカップリング「ニンニン忍者の宅配便」、そして木梨憲武プロデュース、所ジョージ作詞・作曲による「道しるべ」を含む2タイプでの発売となっている。圧倒的な歌唱力でフジテレビ系「オールスター合唱バトル」でも存在感を示す彼女に、それぞれの楽曲に込めた想いと、豪華アーティストとのコラボレーション秘話を聞いた。

新曲「瑞穂の国」に込めた思い

――「瑞穂の国」は、水雲-MIZMO-時代の楽曲を新たにアレンジされたそうですね。

そうなんです。もともとは水雲-MIZMO-時代に「米〜kome〜 海外バージョン」というタイトルで、ロック調のアレンジでカップリング曲として歌っていました。師匠である水森英夫先生の作曲で、先生がこの曲をとても気に入っていてくださっていて、「ソロとしてもう一度出そう」とずっと温めておられました。そしていま、改めてお米のありがたみや、日本人として切っても切れないものをテーマにした曲を出そうということになりました。

――歌詞にも変更があったとか。

山西
1カ所だけ3番の「五穀豊穣手を合わす」というフレーズに変更しました。アレンジャーは今回新たに伊戸のりお先生にお願いして、「米〜kome〜 海外バージョン」とは全く違う仕上がりになりましたね。

――ソロで歌われてみていかがですか?

山西
今までのオリジナル曲の中で一番演歌色が強くて、改めて難しい曲だなと感じました。1コーラスが終わった後に転調して、すごく明るくなるのですが、あの部分が私はすごく好きなんです。マイナーからメジャーに変わるあの瞬間が、なぜか懐かしさを感じて日本の原風景がそこにあって、誰しもがちょっと懐かしいって気持ちになるポイントじゃないかなと思います。

――実際に歌われることで、歌詞の捉え方に変化はありましたか?

山西
正直、最初は「今このタイミングで米の歌を出して大丈夫なのか?」と思ったんです。お米が手に入らない状況もあったので。でも、今失われつつある日本の原風景や、季節を動植物からも感じられるという情緒が日本の素晴らしさだなと改めて感じて。3人で歌う時は力強く歌うイメージでしたが、今回は温かみや柔らかさ、優しさを込めて歌うようになりました。「おかげさまです」というフレーズがすごく日本人っぽいですよね。

――ミュージックビデオの撮影はどちらで?

山西
茨城県常総市で撮影させていただきました。ジブリの世界に入ったみたいで、ちょうど8月の本当にいい時期に。書道パフォーマンスを披露しているシーンもあって、それも同じ常総市で撮影しました。

――書道パフォーマンスは初挑戦だそうですね。

山西
はい。弓道着を着て挑みました。これは和の心、精神として気持ちをつなげるというマネージャーさんのアイデアだったんです。実は私、左利きなので、最初「書道できるのかな」という不安もありました。止め・跳ね・払いができなくて、小学生の頃は諦めていたんです。でも、パフォーマンスは両手を使って大きな筆で書くから大丈夫ですよって教えてもらいました。撮影当日はパフォーマーの先生にも来ていただいて、筆だけだと掃除みたいになっちゃうから、飛んだり大きく体を使って描いてくださいと教えていただき、4メートル四方の紙に「瑞穂の国」というタイトルを描きました。私は絵を描くのが好きなので、文字を書くというより絵を描く感覚でしたね。

――撮影で一番印象的だったエピソードは?

山西
4メートル四方の大きな紙を用意するのがすごく大変で。1メートル幅のロール紙を切って、スタッフの皆さんと一緒にテープと糊で張り合わせる作業が……。暑くて、武道館にエアコンがなかったんです。スタッフの皆さんと全員汗だくになりながら準備して。本番は一発OKだったんですけど、失敗しちゃいけないっていうプレッシャーがすごかったですね。

コミカルで楽しいカップリング曲「ニンニン忍者の宅配便」

――カップリングの「ニンニン忍者の宅配便」、忍者2作目ですね。

山西

前作「紀ノ川よ」のカップリング曲「危険な呪文」が、小さなお子様から大人の皆様まで楽しんでいただけたので、じゃあもう一曲作ってみるかということで、水森先生が作曲してくださいました。作詞も前作と同じ先生に書いていただきました。私は基本的に声がパワータイプなのです、こういうコミカルな曲も水森先生から「こういう面白い曲を歌うのは山西アカリがぴったりだな」って仰ってくださいました。昔から性格がひょうきんだ言われてきたので、こういう楽曲でも楽しんでもらえたらなと思います

木梨憲武×所ジョージプロデュース「道しるべ」誕生秘話

――そして「道しるべ」。所ジョージさんの作詞・作曲、木梨憲武さんのプロデュースという豪華な楽曲ですね。誕生のきっかけは?

山西
BSテレ東の「徳光和夫の名曲にっぽん」で「危険な呪文」を歌った時、それをたまたま木梨さんがご覧くださっていて。上手いとかいうより、「この子はこの曲をどういう気持ちで歌っているんだ」みたいな感じで引っかかったみたいで、ご自身のラジオ番組に呼んでくださったんです。ダンサーもつけずに一人で必死で振り付けをしながら歌ってる姿がちょっと面白かったみたいで

山西
それで、木梨さんのラジオ番組に毎回出演されている所さんに、木梨さんが「曲作ってあげて」って言ってと仰ってくださったんです。最初は「忍者の曲を2作目作ってやってよ」ってという話だったんですけど、なかなかタイミングが合わなくず、次にスタジオラジオに行った時には、「忍者の曲を作ったけどあまりにもダサくなったから全部消しちゃった。その代わり『道しるべ』ってという曲作ったよ」って。

――所さんからどんな説明があったんですか?

山西
「きっと君は今、忍者の曲を歌ったりとか、どのスタイルが自分なんだろうって模索してるだろう。今これで合っているのかなとか思うこともきっとあるでしょう。今は迷い道とかもあるだろうけど、先輩たちが通って行った背中を追って欲しい。“道しるべ、帰りに遠いあの山”って言ってたのは、NHK紅白歌合戦とかそういう大きな舞台に立つのを夢見て頑張ってる姿を歌詞にしました」って言っていただいた時、もう泣きそうになっちゃっていました結構、面白みのある楽曲のイメージだったので、こんなにメッセージが深くて性があり、読めば読むほど誰もが共感できて背中をグッと押してもらえる曲だなと思いました。

――武田真治さんのサックスも印象的ですね。

山西
最初当初サックスが入ってなくて、弾き語りぐらいのアコースティックっぽい感じだったんです。まさか武田さんが吹いてくださるとは思っていなくて想像もしていなかったです。サックスの音があるからこそ、この完成品がより素晴らしいものになったと感じます

――ミュージックビデオの撮影も話題になりましたね。

山西
所さんの八王子の別荘で撮影させていただいてきました。総勢60人体制だったんですの皆様にご協力をいただきました。テーマはNHK連続テレビ小説「おしん」ということで、モンペ姿で山を登ったり、着物姿で水をかけられたり。ホースでビューッと、おでこにピンポイントで当たったりして(笑)。6月末の暑い日だったんですけど、水浴びが気持ちよすぎて一生忘れられない思い出になりました

 諦めないこと、感謝の気持ち、そして今後の目標

――東京マラソンにも2回出場されているそうですね。

山西
今年の3月にも出場して、サブ4を目指して月に150から200キロくらい走って練習してたんです。そしたらタイムが3時間59分59秒で、1秒差で完走することができて。でもやっぱり一人の力じゃ絶対完走できなかったなって思うんです。沿道でファンの方も駆けつけてくださって、全然知らない人も「頑張れ」「あとちょっとだよ」って声をかけてくれて。足が前に進んだなっていうのを感じました。諦めなくてよかったなって。歌も同じで、人気商売なので向いてないなって思うことがしょっちゅうあるんです。でも諦めたら本当に止まっちゃうから、諦めずにしがみついていこうという気持ちがより一層強くなりました。

――11月17日には和歌山県観光大使に就任されましたね。

山西
和歌山県庁に入ることもないのですが当日は県庁で委嘱式をしていただきました。岸本宮﨑知事が仰っていたのですが、和歌山県はPRがちょっと苦手なんだそうです。素敵な場所が本当に数多くあるので、前作「紀ノ川よ」を歌って知っていただくというのも歌手として大事かなと思います。ふるさとがもっともっと賑やかに、素敵なところだなと足を運んでもらえるような発信を続けていきたいです

――歌手として歩む上で大事にされていることは?

山西
諦めないことと、常に感謝の気持ちですね。幼少期の頃から「一に感謝、二に感謝、三四努力」と言われて育ったんです。歌い手は聴いてもらわないと本当に成り立たないお仕事なので、見てくださる方が一人でもいる限り、一生懸命一曲入魂で歌う。これは事務所の会長から頂いた言葉で、「一曲に魂を込めろよ」と。私はパワースタイルの歌手だと思っているので、その力強さやエネルギーで元気になってもらえたらということを大切にしています。

――今後の目標を教えてください。

山西
水雲-MIZMO-というグループは4年で終止符を打ったので、5年目は私自身も知らない領域に突入します。少しでも結果を出せる1年にしたいなと思いますね。和歌山県観光大使にもなったので、県の人にたくさん知っていただくというのも目標ですし。ワンマンライブがまだできてないので、節目に開催できたらなと思います。プライベートでは、スノーボードに行きたいですね。ケガが怖くて最近行けていなかったので今年は一人スノボに挑戦したいです。あと、「瑞穂の国」を歌っているので、米どころの新潟とかに足を運んで、雪の田園風景を見てスノボもして、温泉も入って……最高ですね!

出演情報

【日付】12月22日(月)

【時間】19:00〜21:54

【番組】フジテレビ「オールスター合唱バトル」

【参考URL】

https://yamanishi-akari.bitfan.id/schedules/86580?r=t7o141

インタビュー・文・撮影:ごとうまき