【TOUMAインタビュー】“徳間のTOUMA”苦節18年で掴んだメジャーデビュー「点と点が線となり動き出した。」

J-pop

 2024年1月10日にマキシシングル「Change!」でメジャーデビューを果たしたTOUMA。サウンドプロデューサーに菊地圭介を迎えた今作は、混沌とした現代を生きる人々に元気を与えてくれる力強いメッセージソング「Change!」と、チェンジしていくためには、小さい頃に描いていた夢を忘れてはいけないと言う想いが込められた「DREAMER」、そしてその夢を最初に支えてくれた家族をテーマにした「家族だから」の3曲が1つのストーリーとなって紡がれている。

2005年に作曲家としてデビュー後、シンガーソングライターとしてインディーズでおよそ100曲をリリース、ライブは1100回以上行い、キャリアを積んできた。苦節18年でようやく掴んだ夢── 。TOUMAが歩んできたストーリーとともに楽曲の誕生秘話や現在の心境について尋ねました。

夢は叫んで掴み取るものだ

── 「Change!」は、耳に残るメロディーと背中を押してくれる歌詞が魅力的ですね。

TOUMA
これまでインディーズで歌ってきた曲よりも、もっと強いメッセージ性を出したくて、これまで自分が感じていた思いと重ね合わせながら書きました。ここまで強い思いを書いたのは初めてなので、書いた後はドキドキしていて……。これまでインディーズでは全て一人でやってきました。飛び込み営業も沢山しましたが、相手にもされない……。悔しさに耐えながら、それでも笑顔で行っていました。こうした経験を経てやっと掴んだデビューなので、僕も夢を追う誰かの背中を押せたらと、応援ソングを作りました。

── 作曲するうえで、意識されたことは?

TOUMA
1曲のために10曲を作って、その中から良い部分をパズルのように組み合わせていきました。これまで作家の活動をしていたので、そこで学んだものが今の曲づくりに生きています。最初の一歩を踏み出す時ってエネルギーがいるから。誰かに非難されたり落ち込むことがあっても、自分が信じた道を突き進んで欲しいと思っています。

── 「DREAMER」はどのような思いで作られましたか?

TOUMA
小さい頃は夢を沢山持っていたけれど、大人になると夢が夢でなくなる……。僕自身、音楽を続けているうちにいつしかメジャーデビューという夢がなくなっていましたし、考えることもなくなっていました。オーディションを受けてももう無理だって。だけどこうしてデビューすることで、改めて夢は掴みにいかないといけないし、言葉に出さないと叶わないと思ったんです。特に今の時代は、自分の夢を掴むチャンスは沢山あるから。

── アレンジについても教えてください。

TOUMA
実は2〜3年前に作った曲をアレンジして歌詞を書き直しました。元々は「夕張DREAMER」という曲で夕張のスキー場のテーマソングに使ってもらっていたんです。それを何回も歌詞を書き直して、さらに菊地さんにアレンジしてもらいました。

── レコーディングやジャケット写真、それぞれのMVでの印象的なエピソードはありますか?

TOUMA
僕は関西と関東を行ったり来たりしているので、時間の制限もありましたし、良いスタジオでのレコーディングだったので、大変緊張しました。2日目の収録では疲れが出てきたみたいで、薄い肌着のみで歌っていたんですよ(笑)。ジャケット写真も10時間かけて撮影していただきました。スタイリストさんやヘアメイクさんが少しでも緊張が解れるようにと、話しかけてくれたりマッサージをしてくださいました。皆さんのお心遣いにも感謝です。

TOUMA
「Change!」のMVは、より多くの方に伝わるようにと、日本を代表する映像クリエイターで人気アーティスト「Reol」や音楽プロデューサー「Giga」などの多くのアーティストの動画制作をしているOKIKU(お菊)さんに手がけていただきました。リリック動画なので、より心情が伝わるのではないでしょうか。

「家族だから」が結んだ縁

── 「家族だから」も心に染みる素敵な曲ですね。

TOUMA
10年前に作った曲で、鮎川めぐみさんに書いていただきました。僕の気持ちを代弁してくださっているかのような歌詞が素晴らしくて。自分で曲を作って歌うのと、また別の人が歌うのとでは全く違う。歌って面白いですよね。それに、その時その時によって歌詞の捉え方が変わったり、心に響くフレーズがある。僕の歌が一人でも多くの人の心に響いたら……。そんな思いでこの3曲を作りました。

──アレンジを菊地圭介さんが手がけられたことですが、どのようなきっかけで今回のプロデュースが実現しましたか?

TOUMA
圭介さんとの出会いは10年ほど前。僕が中国に行っていたときに出会いました。圭介さんが介護で帰国されていた時、当時すでに出来ていた「家族だから」を聴いて、“救いになった”と言ってくださって。圭介さんが“東京でのライブで「家族だから」を後ろで弾かせてほしい、そしてTOUMAくんがメジャーデビューする時は、僕がプロデュースするよ”と言ってくださっていたことから今回実現しました。圭介さんの人生観を表したようなアレンジに感動しましたし、試行錯誤しながら心を込めて作ってくださったのが嬉しかったです。

“継続は力なり”

── 出会いは10年前、人生何が起きるかわかりませんね。

TOUMA
2005年に作家デビューとなっていますが、本当は歌でデビューする予定だったんですよ(笑)。気付けばメジャーデビューを逃していて。何もかも上手くいかない時もありました。もちろん、営業もめちゃくちゃしましたし、ライブも月に10回〜20回、自分でスピーカーを車に積んで回っていました。だけど今振り返ると一つ一つが点だったんです。それが今回メジャーデビューが決まり、一つの線となり、動き始めました。僕の座右の銘「継続は力なり」をまざまざと実感しています。

── 2005年に作曲家としてデビューをされ、音楽活動をされていますが、これまでを振り返っていかがですか?

TOUMA
とても不思議な感覚です。まず、なんとか売れて自分で生きていける方法を考えていたので、メジャーデビューは正直考えていませんでした。そんな中思いもしなかったデビューが決まって、過去の一つ一つが繋がって、僕自身が驚いています(笑)。

── TOUMAさんはこれまでに沢山作曲をされていますが、曲作りにおいて心掛けていることはありますか?

TOUMA
“良い曲というのは、アップテンポな曲にしてもバラードにしても成り立つ”、この言葉を意識しているので、メロディアスに作ること、キャッチーなサビを作るように心掛けています。あとは放っておいても何ヵ月かすれば思い出せる曲や自分がワクワクするような曲を作るようにしています。

音楽ができなくなるまでやり続けていく

── 音楽活動の原動力とは?

TOUMA
やっぱり好きだから。僕自身が学生時代の辛い時に音楽に支えられました。もちろんしんどい時も沢山ありますが、曲を作っていて、それがパズルのピースのようにハマると楽しいし、聴いてくださる方に元気になってもらうことがこの上なく幸せなんです。それに、本当に音楽ができなくなる時って自然にできなくなると思っていて。だから音楽活動ができる限りは続けていこうと思っています。

── 最後に聴いてくださる方にメッセージと、今後への意気込みをお願いします。

TOUMA
すごく長く音楽をしてきた中、大勢の方達に支えられてきました。その方たちの応援があったからこそ、こうして活動ができています。これからもその期待に応えられるように、もっともっといろんな場所で歌いたいし、また海外でも歌いたいですね。“継続は力なり”を座右の銘に、これからも歌を届けます。

取材・文・撮影:ごとうまき