清原果耶 初舞台はジャンヌ・ダルク「毎日旗を振りすぎて筋肉痛です。」

インタビュー
 フランスの若き救世主ジャンヌ・ダルクの知られざる真実を描いた舞台『ジャンヌ・ダルク』が2023年12月23日(土)〜26日(火)オリックス劇場にて上演される。2014年の再演から9年、再再演にはニューヒロインとして清原果耶が主演を務め、本作は清原にとっても初の舞台出演となる。ジャンヌの後押しを受けて王となり、のちには彼女の命運を握ることになるフランス王シャルル7世を演じるのは小関裕太。演出は白井晃、脚本を中島かずきが手掛け、最高のクリエイター陣と総勢100名の出演者による壮大な歴史スペクタクルが幕を開ける。
 今回公演に先立ち主演の清原果耶と小関裕太が取材会に出席。お稽古が始まって1週間余りとなるお二人に作品への思いや、役作りなどについて語っていただきました。

オール新キャスト、新時代の『ジャンヌ中・ダルク』が幕を開ける

──今回オファーをいただいた時の感想は?
清原
ずっと舞台に挑戦してみたい気持ちがありました。白井晃さん演出の壮大なスケールのジャンヌ・ダルクに出演させていただけること、すごく嬉しく光栄です。初めての舞台に不安もありましたが、演出の白井さんや先輩方の言葉に救われ、奮い立たされながら毎日稽古場に楽しく通っています。
小関
白井晃さんとご一緒することがとても楽しみです。最後に白井さんとご一緒したのが7年前のちょうど今の果耶ちゃんと同じ21歳の時。その時に白井さんからいただいた言葉や思いを大切にして、芝居に向き合ってきました。7年の時を経て、この作品に、そして王という役に向き合うことで、どの様な意味が生まれるのかとワクワクしています。今稽古に入っていますが、白井さんとディスカッションをしたり、他愛のない話をする時間が楽しいです。7年前とはまた違った関係性になれたのかなと思っています。
──小関さんが7年前に白井さんに言われたことで印象的な言葉は?
小関
お客さんは力を抜いている役者を観にきているわけではないんだよ。死に物狂いで命燃やして、限界を突き破ろうとしている役者をもっと観たいって思うんだよ。」という言葉が特に印象的でした。当時は脱力したお芝居が素敵だと思っていて、舞台でもそれをやろうとしていました。今はふっと肩の力が抜けていたとしても、心の中は燃えたぎる、生命力溢れる姿を大切に演じています。
──脚本を読んでどう感じましたか?
清原
今回再再演ですが、この台本に初演と再演の歴史が詰まっているんだと、感慨深かったです。舞台の脚本を読んだのは初めてで、白井さんとキャストの皆さんと一緒に理解を深めていきたいと思いました。
小関
ジャンヌ・ダルクがどのような女性かは断片的にしか知りませんでした。大昔にヨーロッパで先陣を切って儚く散っていった19歳の女性がいるというぐらいしか……。本作はジャンヌをはじめ、いろんな人の複雑な物語が沢山あります。シーンごとにお客さまに沢山の情報をお伝えすることができるし、小さなどんでん返しがずっと続いているという感じでしょうか。サスペンス的な要素も多くてワクワクします。
──それぞれの役柄について教えてください。
清原
ジャンヌ・ダルクは信じる心を持っていて諦めない人という印象があります。私も一度決めたことは最後まで信じて貫くタイプなので、そこはジャンヌ・ダルクと似ています。
小関
王になりきれない王という役柄です。まだ理解しきれていないのですが、調べれば調べるほどシャルル7世は複雑な人。先日フランスに行ったときに思ったのは、祈りの意味合いも日本とはまた違っていると感じました。それに宗教や文化の違いももっと知っていかないとと感じました。この作品は、余白も沢山多いと思うんです。観終わった後に気になったシーンやセリフを調べていただくことでさらに理解を深めてもらえるのではないのかなと思っていますし、異国に触れたような気持ちになってもらえると嬉しいです。
──今回は出演者が約100名とのこと。大規模なカンパニーとなっています。お稽古が始まってから、カンパニーの雰囲気はいかがですか?
清原
お稽古が始まって1週間ちょっと、100名のキャストの皆さんとの顔合わせも終わりました。私は舞台が初めてなので、舞台の全てに関心があります。自分が出ていないシーンからも学ぶことが沢山あって、お芝居のカラクリみたいなものを目の当たりにして毎日刺激を受けています。
小関
映像でご一緒していた人も何人かいらっしゃるのですが、舞台の稽古場ではまた変わるんだなと、面白く感じています。カンパニーは集中しながらも和気藹々としています。筋トレして汗かいてから稽古に入ったりする人がいる一方で、僕やりょうさんはコーヒーを飲みながら筋トレする人を見て談笑したりと、とても良い雰囲気の稽古場です。
──清原さんは今回舞台が初めてとのこと。映像と舞台の違いで新鮮なところ、逆に大変なところはありますか?
清原
舞台の稽古中、こんなにも毎日のルーティーンが決まっていることに驚き、とても新鮮でした。大変なことといえば……殺陣の稽古が始まってから全身筋肉痛です(笑)。ジャンヌは剣を持たずに旗を振って軍を鼓舞するのですが、旗を振るのが大変で。これまでこんなにも旗を振る役に出会ったことがなかったので……(笑)今は疲労を回復する方法を先輩方に聞いて、全部実践しています。
──大阪公演を楽しみにしてくださっている方々にメッセージをお願いします。
清原
大阪公演の前に東京公演があります。1ヶ月ちょっとしか稽古期間がなく、今は私が震え上がっています(笑)。白井さんやキャスト・スタッフの皆さんのお力をお借りしながら、現代に届くジャンヌ・ダルクを誠心誠意生きていきたいです。
小関
稽古が始まって1週間ちょっとですが、もう皆さまにお見せできるようなところまで来ています。それくらいスピード感がありますし、すごく良いものが出来上がると期待しています。舞台は本番期間のお客さまの反応によって役者が育ち、完成すると思っています。東京公演を経て大阪公演、これまでジャンヌ・ダルクをご覧になった方も新たな発見があるかと思います。年末、劇場でお待ちしています!

Cast/Staff | 舞台『ジャンヌ・ダルク』公式サイト (jd2023.jp)

取材・文・撮影:ごとうまき