竹島宏ライブレポート&インタビュー 「90歳になっても現役でステージに立ち続けたい!」

アーティスト

心の琴線に触れ、エモーショナルな歌声で人々を魅了する竹島宏が2023年3月24日に心斎橋パルコ14階のSPACE14にて『Friday Afternoon』ライブを開催し、多くのファンで客席は埋め尽くされ、大盛況となった。本記事では、『Friday Afternoon』の昼の部をレポート&終演後の竹島にインタビュー。ライブ終了後の感想や、3月15日に発売された新曲『サンタマリアの鐘』のこと、プライベートのことなどお話を聞きました。

「Friday Afternoon」ライブレポート

3月24日(金)昼のライブはほぼ満席。開演前から、CDを買い求めるファンの長蛇の列ができるほどの人気っぷり。会場では“竹島宏”と文字が書かれた赤いペンライトの光が飛び交い、竹島が登場するや否や、万雷の拍手と歓喜に包まれる。

『恋町カウンター』から始まり『誘惑』『月枕』『紫の月』などを歌い上げる竹島。MCでは「失恋の歌を歌ってご飯を食べさせてもらっています(笑)。新曲『サンタマリアの鐘』は、珍しくハッピーエンド!3月27日付のオリコン週間ランキング演歌部門では1位をもらうことができました!」と喜びの声を届けた。「いろんな所で『サンタマリアの鐘」を買っていただくと大晦日に仕事が入るかもしれません!もし入らなかったら、今年はカウントライブを行うかも!?」と意気込む場面も。

竹島の心の歌でもあるという『生きてみましょう』、カバー曲で、バックバンドのアレンジが素晴らしかった『愛燦燦』、『横浜ロンリーブルー』などを披露。竹島が時折魅せるダンスには、多くの歓声と拍手が!

「若い、若いと言われ続けてきた僕ですが、最近は僕よりも若い歌手とご一緒することが多くなってきて、月日の流れを早く感じています。かつて自分が憧れていた先輩方のような存在になっているだろうか?、年齢に気持ちが追いつかないこともあった。」と吐露。そんな時に読んだヘルマン・ヘッセの本の言葉に感銘を受けたと話す。

「チャレンジ精神と歌に対する情熱は、21年間の中で今が一番、そして明日が一番ピーク。自分の心の燃料をいっぱい燃やしながら皆さまに歌を届けていきたいです。」と、ニッコリ。さらにヨーロッパ三部作『プラハの橋』『一枚の切符』『サンタマリアの鐘』や、『夢の振り子』『また会える』など、全19曲を披露し、会場を熱気に包みこんだ。5月28日(日)には、京都劇場にて「夢の世界へお連れします2023 in 京都」が開催。また熱く盛り上がるライブになることが期待される。

終演後インタビュー

——ファンの皆さんの嬉しそうな表情が印象的でした。ライブを終えた後の今の心境は?

竹島
コロナ禍中も制限がある中でコンサートを行っていましたが、お客さまの中にはいろんなご事情があってコンサートに来れない方もいらっしゃいました。この間の仙台公演でも、3年半ぶりに来て下さった方もいらっしゃったり。ファンの皆さまが音楽と共に弾けてくださるのが嬉しいですね。特に関西では、お客さまの思いがダイレクトに伝わってくることが多いです。僕は、例えば熱いモノを触ってもすぐには反応しないようなぼーっとしているタイプの人間なので(笑)、それこそ最初は皆さまの熱量に驚きもありました。特に『サンタマリアの鐘』では、皆さんが真剣に、前のめりに聴いてくださっているのが伝わり嬉しかったです。

歌い手・竹島宏にとって大きなテーマが詰まった“大人の歌謡曲”

——ヨーロッパ3部作の完結編となる新曲『サンタマリアの鐘』についても教えてください。今作はハッピーエンドの歌とのこと。これまでの悲しい恋の歌とは歌い方なども違いますか?

竹島
これまでは歌の世界のままを表現していたので、少し悲しげな雰囲気で歌っていましたが、今作では柔らかく、光が見えているような表情で歌うように心がけています。マイナー調の歌ですが音色的には声を明るく使います。ヨーロッパ三部作の中でも『プラハの橋』『一枚の切符』は、ストーリー展開もはっきりとして派手さもありますが、今作は存在が少し控えめでひっそりとした佇まい。だけど主人公が胸に秘めた情熱をどれだけ僕が感じ表現できるかで、『サンタマリアの鐘』の世界観が広がったり狭くなったりする。そういった意味では今作が一番、僕がここ数年目指している“大人の歌謡曲”を歌える歌手としての大きなテーマが歌詞やメロディーに含まれています。

聴いてくださった方が聴き終わった後に、じんわりと胸の中が熱くなるような余韻を残せる歌唱を目指していると話す竹島。簡単なようで難しいと話す。

竹島
かと言って、これまで学んできたテクニックを使えば、聴いてくださる方に余韻が残るのかというと、そうでもないんです。むしろそれらを削ぎ落として、裸の心の状態で臨まないと『サンタマリアの鐘』の温度感が残せないと思っています。作曲をしてくださった幸耕平先生から、最も大切なのはリズムだとアドバイスを頂きました。生かすのも殺すのもリズム次第だと。なので今回のレコーディングでも丁寧にご指導いただきました。幸先生のおっしゃることが、やっとこの歳になって腑に落ちるようになってきました。今回のレコーディングでもスムーズに終えることができました。

 

——今回はAタイプ、Bタイプとそれぞれカップリング曲が異なりますね。Aタイプに収録されている『裏窓」とBタイプの『しあわせの片隅で」についても教えてください。

竹島
『サンタマリアの鐘』『しあわせの片隅で』の詞は、山田ひろし先生に書いていただきましたが、『裏窓』の詞は松井五郎先生が手がけてくださいました。『裏窓』はヨーロッパ三部作の物語の整合性を持たせるような作品に仕上げていただき、映画『個人教授』(1968年)のように年上の女性に恋をするイメージの曲です。実は山田ひろし先生の師匠が松井五郎先生とのこと。そんな大先生と先生に囲まれて素敵な作品を出せること、有難いですよね。

しあわせの片隅で

竹島
この曲は花がキーワード。僕が毎日Twitterで花の写真と花言葉をアップしているんですが、それを先生も見てくださっていて、この歌が生まれました。あとはファンの皆さまとの絆というテーマも含まれています。

コロナ禍で味わった不安と失望。ファンの手紙に救われた。

——コンサートでも、徐々にコロナ禍前の光景が戻ってきていますが、コロナ禍によってどのような気づきや心の変化がありましたか?

竹島
緊急事態宣言中はマインド的にかなり落ち込み、不安な気持ちに襲われました。今じゃ考えられませんが、当時は、もう歌も歌えないのかもしれない、人生どうなるんだろうか……と、悲観的になったり。そんな時にファンの方たちからお手紙をいただき、その度に励まされ、奮い立たされましたね。自分は何を考えていたんだろうか、こうして待ってくれている人たちがいるんだと。改めて多くの人に支えられて生きていると気付かされたし、周りの人を大切にし、心から愛せるようになりたい。こうして日々生きていけばきっと、自分の歌も大きく変わるのではないだろうかと思うようになりました。自分自身いろんな感情が芽生えたり、心の揺れを経験したコロナ禍でした。

与えられた運命の中で、悔いなく一生懸命に生きていきたい

——久々にお会いしたファンの方からはどのような声をもらいますか?

竹島
“宏くん、歌上手くなったね”って言ってもらえることが増えましたね。これまでは仕事の現場でちょこちょこ修正していくことが多かった中、時間がたっぷりあり、お家時間が長かったので、歌の勉強を沢山することができました。この三年間は、今後自分が走って行くためのエネルギーを蓄える期間でした。今は歌って、歌って、歌いまくりますよ!あと心配なのは体力だけです(笑)。

——体力作りと健康維持は大切ですよね。

竹島
あれもこれもは出来ないので、ある程度出来ればいいかなと。暴飲暴食はさすがにすることはなくなりました(笑)。たま〜に、ジムに行ったり、整体や鍼灸で鍼を打ってもらったりと無理しないように心がけています。僕の目標の一つが90歳で現役でステージに立つこと!今後歳を重ねていくにつれ、声はどんどん痩せていくだろうし、細胞も衰えていくけれど、エネルギーに溢れた若い時とは違う魅力や味わいを出していきたいです。そこに向けての健康維持と体力作りも無理せずに続けていこうかなと。そしてファンの皆さまの存在が何よりの支えです。これからもよろしくお願いします。

竹島 宏 / TEICHIKU RECORDS

竹島 宏 オフィシャルサイト (takeshimahiroshi.com)

竹島宏 Hiroshi Takeshima【公式】(@takeshima_staff)さん / Twitter

インタビュー・文・撮影/ごとうまき