【朝花美穂インタビュー】「ここからが本当の勝負!私のいろんな顔を見せていきたい。」

アーティスト
 今年で歌手生活5周年を迎えた朝花美穂。天性の魅惑の歌声で、聴く人の心を動かす。そんな彼女の新曲『兄さ恋唄』が9月6日にリリースされた。今作は前作『しゃくなげ峠』同様、遊女の恋を歌った姉妹作で、今回は彼女にとっても挑戦曲とのこと。新曲や歌芝居コンサートのこと、自身の恋愛観や意外な趣味などについても語っていただきました。

今作は遊女になりきって歌っています!

── 前作から恋の歌にチャレンジ、さらに今作は遊女になりきってとのことで手応えはいかがですか?
朝花
物語は違うのですが、両作とも主人公が遊女なので姉妹作として歌っています。前作は物語を俯瞰して伝える語り手として歌っていましたが、今作では遊女を演じて歌っています。実際に歌ってみるとスッと歌に入ることができました。前作は語り手だったので、少し迷いもありました……。今作は詞をしっかりと読んで、主人公の気持ちを理解するように心がけて歌っています。
──詞についてどのように感じていますか?
朝花
すごい歌ですよね(笑)。恋をしてはいけない立場である遊女が、お客さんとして出会った男性に一途な想いを寄せて、純愛を貫いている。だけど年に数回しか会えないという、とても切なく、深い作品です。もず唱平先生が書いてくださった歌詞の下に意味を書いて、一言一言、理解して覚えました。
──『兄さ恋唄』の中で一番意識して歌っている部分はどこですか?
朝花
最後の“兄さよ”の部分です。ただ歌うだけじゃ気持ちが伝わらないので、隣にお兄さんがいるように思って息を混ぜながら、呼びかけるように歌っています。また、サビ後のたたみ込みの部分も大きなポイントとなっていて、焦らず、急がず語るように歌っています。

自身の恋愛観はアッサリ、サッパリ。

──朝花さんは主人公の情念や一途な思いについてどのように感じますか?
朝花
私自身まだ恋愛経験が乏しいので、しっかりと主人公の気持ちを理解するように努力しました。
──もし今後、このような恋愛をするとすれば、朝花さんも主人公のようになると思いますか?
朝花
ならないです!私自身結構サッパリ、アッサリ、ザックリしているので(笑)。主人公とは違った性格だし、主人公の人生は、二度と自分が経験することはないだろうな、と思って歌っています。歌を通じて様々な経験をさせてもらっています。
──前作に続き、台詞のない歌を歌うことで手応えは感じていますか?
朝花
ここからが本当の勝負だと思いました。台詞は気持ちを伝えやすいですが、歌で主人公の気持ちを伝えるのは難しいです。“歌でどれだけ物語を伝えられるか”というのは、歌手としての課題だと感じています。前作『しゃくなげ峠』は、多くの方に歌ってもらっています。「朝花美穂って誰?」「しゃくなげ峠の子だよ。」という声が聞こえた時は、すごく嬉しかったんです。これからも名前を覚えていただけるように、頑張って歌っていきます。

──カップリング曲『花火草子』では、イントロなどで響く胡弓が印象的。歌詞やメロディーによって歌詞の重さが緩和されている感じがします。
朝花
曲が出来上がるまで、師匠のピアノとギターで練習をしていました。その時はもっと情念を込めて歌っていたのですが、オケ録りで初めてカラオケを聞いた時に「この歌い方ではダメだ。」と思い、すぐに師匠の元に行ってレッスンをしてもらいました。オケが仕上がってから歌い方を変えるというのも初めての経験でした。しっかりとした女性が男性を励ますような歌詞なので、元気づけるように心がけて歌っています。

祖母の思いを背負って『瞼の母』を歌う

── もう一つのカップリング曲『瞼の母』はデビュー当時からステージで歌っておられますが、今回新たに収録されたとのことですね。
朝花
この歌は祖母の十八番でした。祖母は山陰地方を中心に踊りを披露していたんですが、股旅の格好をしていろんなところで歌っていた姿を幼少期から見ていました。祖母はカラオケ店を営んでいて、年に一回フェスティバルという大きなイベントをしていたのですが、そのフェスティバルの直前に祖母が亡くなって……。そこで初めて私が『瞼の母』を歌いました。それから今までずっと歌っています。今は祖母の思いも背負って歌わせてもらっている大切な一曲です。
── この曲では、忠太郎になりきって歌っておられますね。どのように習得されましたか?
朝花
なりきるというより自然と忠太郎になっています。この曲では、その時の自分の気持ちに任せて歌っていますし、まるで忠太郎が体に入り込んでいるような感じなんです。歌う時に思っているのは、おっかさん(おかみさん)の事。目の前に、おっかさんがいるつもりで歌っています。この曲はイベント等でも毎回歌っているので、『瞼の母』で私のことを覚えてくださる方が多くて嬉しいです。

座長公演への夢が大きくなった

──ステージでも幅広く、いろんな役をされていますが、今後挑戦したいことはありますか?
朝花
今『歌芝居コンサート』というコンサートのツアーをしています。歌の前に、その曲にまつわる3分ほどの芝居を入れるのですが、役者さんが数人出てくださり、私も役者として出させてもらっています。また『岸壁の母』などの台詞入りの楽曲も多く歌っています。このコンサートを通して、“座長公演をする”という夢が大きく広がりました。
──関西でのお仕事も増えているとのことですが、関西に来てワクワクするのはどんなことですか。
朝花
たこ焼きと、大衆演劇の劇場です。あと、初めて新世界の街並みを見た時はワクワクしました。私は釣りが好きなので、関西に来てゆっくりできる時があれば、海に行って釣りをしたいですね。普段よく釣りに行っていますが、もっぱら投げ釣りが好きです。

今後はヘアメイクの仕事もやってみたい

──昨年インタビューさせていただいた時、パックにはまってるとおっしゃっていましたが、今はどんなことにハマっていますか?
朝花
今もパックに夢中です!今使用しているコスメも全部韓国のコスメで揃えているくらい、韓国のコスメにハマっています。メイクもヘアセットも日々勉強中。今日の髪型も、朝自分でしてきました。
──着付けもヘアセットもご自分でされ、手先が器用なんですね!そういった特技を活かして、お仕事の幅も広がりそうです。
朝花
ヘアメイクさんの仕事もやってみたいなって思っているんです。歌手としての仕事がお休みの時はスタッフとして出演者の方のヘアメイクとかもやってみたい。裏方の仕事も好きなんです。
── 今後の目標や課題があれば教えてください。
朝花
やっぱり歌を極めていきたいです。あとはお芝居。今、殺陣もやっているのでお客さまに聴いて観てもらって、飽きのこないステージを作ることが目標です。いろんな自分を見てもらいたいと思っています。
── 今年で5周年、この5年を振り返っていかがですか?
朝花
デビューして2、3年は新型コロナウィルスによって大変な状況を経験しましたが、ファンの皆さんのお陰で乗り越えることができました。改めて、歌えることの喜びを噛み締めています。今年から単独の「歌芝居コンサート」にチャレンジさせていただいているので、少しでも早くお客さまに恩返しができるように、いろんな朝花美穂を見ていただけるように頑張りますので、これからも応援よろしくお願いいたします。
インタビュー・文・撮影:ごとうまき