映画『COME and GO』カム・アンド・ゴー  リム・カーワイ監督に独占取材!

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リム・カーワイ監督作品の『カム・アンド・ゴー』が東京国際映画祭、TOKYOプレミア2020日本10作品のうちの1つに選ばれました。 10月31日~11月9日までの映画祭のチケットが、10月24日(土)より発売開始されました。
今回は作品上映に先駆けてリム・カーワイ監督を単独取材!
今回リム監督は、映画祭で来場ゲストとして登壇されるため、早めにマレーシアから来日されています。
そして二週間の隔離期間真っ只中というリム監督とオンラインにて取材、リム監督から沢山お話を伺うことができました。

オンラインでの取材中、リム監督と私。 隔離生活は脚本を書いたり考えをまとめる時間が増えたとのことで、意外と快適だと監督。

監督プロフィール

リム・カーワイ・・・マレーシア生まれ。大阪大学卒業後、通信業界で働いた後、北京電影学院に進学。卒業後、北京にて「アフター・オール・ディーズ・イヤーズ」(2010年)を自主制作し、長編デビュー。

監督作品は「マジック&ロス」(香港)、「新世界の夜明け」(日本)、「恋するミナミ」(日本)、2016年には中国全土で一般公開された商業映画「愛在深秋」のメガホンをとり、最新作はバルカン半島で自主制作した「どこでもない、ここしかない」など、数多くの作品を手掛けている。過去の作品は東京、大阪、台湾、ニューヨークのアート系劇場で特集を組まれたり、日本でも全国一般劇場公開されている。

 

マキ
リム監督!TOKYOプレミアム2020、ノミネートおめでとうございます。まずは、現在のお気持ち、想いをお聞かせください。
リム監督
ありがとうございます。もちろん、大変嬉しく光栄です。コロナ禍で海外では多くの映画祭がキャンセルになったり、あるいはオンライン上映に変わったりしましたが、東京国際映画祭はオフラインで、劇場の大きいスクリーンで観客の皆さんに観てもらうことができるので本当によかったと思います。そして、この映画製作ではスタッフも役者さんにもハードスケジュールで大変負担をかけました。彼らに負担をかけたこと、申し訳なく思っています。しかし私を信じて付いてきてくれたこと、それを乗り越えて一つの作品ができ、彼らの団結力と努力が報われたといった意味で良い結果を伝えられたことが大変嬉しいですね。キャスト、スタッフも大変喜んでいます。

撮影日数わずか20日間、出演者の国籍9カ国、ロケ地がひゃ、100か所?!

マキ
撮影日数が20日間 出演者の国籍が9カ国 ロケ地100カ所
映画を作る上で全てにおいて普通では考えられないことを成し遂げられていますが・・。 いや、すごいです。どのようにしてこのような事を成し遂げられたのでしょう?
撮影期間について
リム監督
こんなに沢山のキャストがいて、沢山のロケ地があって、それを20日間で撮りあげることは普通では考えられないですよね。
役者のスケジュールに合わせて撮影のスケジュールを組み、時間内に作らなくてはいけません。なのでこのような短期間では断る監督もいますよね。この短期間の中でいかに役者の演技を引き立てるか、良い作品を撮りベストを尽くすこと、諸々覚悟を持って挑みました。特に日本人は段取りや撮影など完璧にしたいという人が多いですよね。時間がないといった点でストレスを感じていたのではないでしょうか。「カム・アンド・ゴー」は私の8本目の長編映画となりますが、ほとんどが自主映画でその中では中国でスタッフ100人以上のメイジャー映画を撮ったことがありますし、バルカン半島では自分を入れてスタッフ3人しか居ないといった究極の自主映画も撮ったことがあります。そういう現場から鍛えられた経験と、今まで身につけてきた映画を撮るノウハウ、そしてあらゆる人脈を この映画に投入した結果なのかもしれないですね。
キャストについて
リム監督
出演者は全てリアルな国籍の方たちです。ベトナム人、台湾人、などリアルな国籍の方が出演することはそう多くはないんです。今回この作品を作るにあたって私の役者をしている友人や知人(ベトナム人、香港人や台湾人など)彼らが賛同してくれてこのような多国籍の人々が集まる映画ができました。例えばある役者は撮影のついでに日本を観光したり、日本の桜を見たりなどして楽しんでいましたね。それぞれの役者たちの撮影自体は2、3日で、また、たとえば台湾人、香港人、ベトナム人の役者がこの映画の中では日本語を喋るシーンが結構ありますが、事前に日本語を教えたわけではなくて、その場で短い日本語のセリフを暗記させて話すという手法をとりました。そのほうが役者の負担にもならないので。日本人の役者の場合は アドリブなども多く、役者さん達がみんな上⼿なんですよね。少なくとも7か国語をこの作品で聴くことができると思いますよ。
100か所のロケ地と大阪キタエリアの魅力
リム監督
ロケ地100カ所と言っていますが、全て大阪キタエリア(梅田、天六、北浜、中崎町、福島など)半径5キロ以内で撮っているんですよ。なので移動は楽でした(笑)同じキタエリアでも梅田駅周辺、天六や北浜などそれぞれが全く異なる雰囲気、表情がある。これが半径5キロ以内で完結できるのも大阪の良いところですよね。東京や他の場所ではきっと実現できないでしょう。また大阪キタはミナミや新世界よりもバラエティーに富んでいるところが良い。色んな電車が行き来するところを中心に撮っていて、歓楽街である北新地、ビジネス街である中之島や淀屋橋、堂島川では船が行き来し様々な顔の大阪が映し出されている。橋やビルもこの作品の主役なんです。大阪の面白さをまだ知らない人にとっては新たな発見になると思います。そして何といっても空を飛ぶ飛行機の近さ。中崎町で撮影していた時も5分ごとに飛行機が飛んでいて、こんなに飛行機が近くで見れる街はあまりないですよね。

題名の意味、そして其々の物語が交差し共鳴し一つの作品となる

マキ
このストーリーは大阪に住む外国人と日本人のそれぞれのコミュニケーションのズレや価値観の違い、日本で暮らす外国人の現状を様々なシーン、角度から顕在化させ、外国人と日本人の”共生”をテーマにした作品ですが、監督は脚本を書く上で実際にリサーチをして書かれたと。作品の中のエピソードの中には実際にあったことも含まれているのでしょうか?
リム監督
脚本の参考にするために、大阪に住む外国人やその周りの日本人にも話を聞きました、基本的にはフィクションですが実話をベースに、脚色化して作っています。例えば白骨化の遺体については私が4年前に新橋に住んでいた時のゲストハウスの隣で実際に起こった事件をもとにしています。
マキ
「カム・アンド・ゴー」の題名の意味、単に”行ったり来たりする”といった意味の他にも、もっと深い意味があると考えましたが・・・。
リム監督
一つは物理的な”行ったり来たり”ですよね。次は物流、カルチャーの”行ったり来たり”、それから心の交流の”行ったり来たり”と考えています。どれも一方通行ではなく交互にそして交差するからこそそこに”ズレ”が生じる。そのズレをどのように解消するかがこの作品の一つのテーマでもあります。答えは出していません。この作品を観た方それぞれの中で答えを出してもらえたらと思います。

今後の作品について

マキ
今後、海外での公開などは?
リム監督
外国の映画では長尺は珍しいんですよ。この作品は長尺なので、マレーシアでは2時間以上の映画は無いんです。なので公開できるとすればベトナム、台湾、香港でしょうか。今回出演してくれた、リー・カンション、リアン・ビン・ファット、彼らが出演しているということで公開される可能性はあります。二人ともそれぞれの国のアカデミー賞で最優秀男優賞を獲得したほどの大スターですからね。劇場公開されてから、NetflixやAmazonプライムなどでも世界各国に配信されたらいいですね。

シオカン演じる李康生(リー・カンション)は言わずと知れた台湾の大スター。

マキ
監督が今後作品を撮るうえで、次に考えておられるロケ地はどこでしょうか?
リム監督
マレーシアですね。私はマレーシア出身なんですがマレーシアで映画を撮ったことがなくて、今回コロナの影響で8ヶ月以上マレーシアに滞在して国内旅行をしていました。こんなに長くマレーシアに居たのも初めてで、海も綺麗で、自然の多さ豊かさに圧倒され、改めてマレーシアの美しさに気づかされたんですよ。コロナが収束したらマレーシアで撮りたい。誰も見たことのない景色を撮りますよ。あと、今回は大阪三部作の最終作のつもりでしたが、アフターコロナの大阪を新たに撮りたいと思っています。アフターコロナでは人々の価値観や景色、状況も変わっていると思うんです。映画って娯楽でもあり、人々が生きてきた一つの 歴史の記録でもあるんですよね。10年前に撮った『新世界の夜明け』も、8年前に撮った『恋するミナミ』だってその時の当時の社会情勢や状況が映し出されている。 『カム・アンド・ゴー』だって平成最後の春がリアルに反映されている。今、コロナにより外国人が来なくなりましたが、コロナ前のようなあんなにも沢山の外国人がいるということが、今では考えられないでしょう?これが記録となって数十年後、「あの頃はこんな事があったね」と思い出してもらえる。

監督からメッセージ

マキ
最後に監督の作品に対する想いとメッセージをお願いします。
リム監督
普通、なかなか成し遂げることのできない、多国籍の俳優陣が出演し、平成最後の一ヶ月間の大阪をリアルに描いた貴重な作品だと思っています。この映画を製作したのが、平成最後の春で元号が”令和”に決まったといったニュースを耳にしたのもロケ期間中でした。大阪では大変多くの外国人観光客や留学生が多く滞在していましたよね。しかし今回の新型コロナによってその状況は一変、コロナ禍により外国人は居なくなりました。この映画はまさにコロナ前の大阪の状況を映し出しています。いつかコロナは終息する。アフターコロナの大阪、日本は社会の状況が変わり、人々の価値観もガラリと変わり、新しい世界になると思うんです。この作品を通して日本のマイナスの部分やダークな部分も炙り出されている。だけどその中にも希望も見える。目の前の困難を乗り越えてほしいというメッセージを込めています。この作品を観た人が少しでも前向きな気持ちに、元気になってもらえたらと思います。

平成最後の桜とともに。 ベトナム人 ナムを演じるリアン・ビン・ファット

チケット発売について

 チケット発売はこちらから

https://2020.tiff-jp.net/ja/ticket/

上映スケジュールはこちらから

https://2020.tiff-jp.net/ja/schedule/list/2020-11-01

 

取材・文/ごとうまき