【公開待ってたよ!】男子6人の“へらへら感”が愛おしい『くれなずめ』

(C)2020「くれなずめ」製作委員会
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旅先で出会ったもう二度と会うことのない人との何気ない会話、別れた恋人の香り、あの人が好きだった音楽、旧友が救ってくれた何気ない言葉。生きていれば何かしら、ふとした瞬間に過去のあれこれが鮮明に甦ることがある。過去は書き換えるべきだろうかーー。

本作は高校時代の帰宅部の6人の仲間たちの12年間を、現在と過去を行き来しながら、物語が紡がれてゆく青春ファンタジー。4月29日に公開予定だったが延期され、5月12日から公開された。

友人の結婚披露宴で余興をするため5年ぶりに6人が集まった。「赤フン」での恥ずかしい余興を披露した後、彼らは披露宴と二次会の間の妙に長い時間を持て余しながら、高校時代の思い出を振り返る。見終わった後は無性にウルフルズの曲が聴きたくなる、仲間に会いたくなるようなそんな作品だ。

 

「アズミ・ハルコは行方不明」「君が君で君だ」の松居大悟監督が、自身の体験を基に描いたオリジナルの舞台劇を映画化。

タイトル「くれなずめ」は「暮れなずむ」からの造語で、昼から夜に移る“狭間”の時間である夕暮れ時と本作の“結婚式と二次会の狭間”で起こる時間とをかけている。辛いとき、過去が忘れられないとき、何かに執着しているときも、マイナスなこともひっくるめて敢えて立ち止まりその感情に向き合うことの大切さを伝えているように感じる。

6人の中の主人公・吉尾和希を成田凌、舞台演出家として活躍する藤田欽一を高良健吾、欽一の劇団に所属する舞台俳優・明石哲也を若葉竜也、後輩で唯一の家庭持ちであるサラリーマン・曽川拓を浜野謙太、同じく後輩で会社員の田島大成を藤原季節、地元のネジ工場で働く水島勇作を目次立樹がそれぞれ演じている。本作の注目ポイントはちょい役で出演している役者たちが大物!是非注目してほしい。

(C)2020「くれなずめ」製作委員会

レビュー(※この先ネタバレ注意)

巧みな構成と泣き笑い

物語だけでみるとシリアスに描かれそうだが、本作はコミカル要素が強い。冒頭から“笑い”で突っ走る。

このまま笑いで終わるかと思いきや、後半の5人それぞれの回想シーンでは思わず涙するもその後の予想外な展開で“退屈”とは無縁の96分となる。

(C)2020「くれなずめ」製作委員会

ところで男性は、物心がついてから大人になってもお〇んちんネタが好きなのね。

“男はチ〇チンを基準に物事を考えるんだぞ”と昔に男友達が話していたことがあるけど(なんじゃそれ)本作を見て、なんだか妙に納得してしまったり(7才の息子もチ〇チンネタが好きw)。

女の私には知ることのない“男性同士の世界”を見るのが楽しくて、おっかしくって、そんな男性たちのバカバカしくもみえるようなやり取りや会話がなんだか愛おしくも感じる。

この世界は白黒はっきりさせるのではなく、グレーの方が良いことの方が多かったり生きやすかったりする。いまこんな世の中だからこそ、“ヘラヘラ感”って大切なんじゃないのかな。

(C)2020「くれなずめ」製作委員会

くれなずめ

監督・脚本:松居大悟
キャスト:成田凌、若葉竜也、浜野謙太、藤原季節、目次立樹、高良健吾、飯豊まりえ、内田理央、前田敦子、城田優
製作:2021年製作/96分/G/日本
配給:東京テアトル

文/ごとうまき