14年連続で世界で最もジェンダー平等な国であり、国会議員の48パーセントが女性のアイスランド。そんなアイスランドも50年前まではまったく違う国だった。変化は一夜にして訪れたのではない。勇気を持って声を上げた女性たちの積み重ねが、今日のアイスランドを作り上げた。
1975年10月24日、彼女たちは「休日」をとった。それは単なる休息ではなく、世界を変えるための行動だった。

『女性の休日』、パメラ・ホーガン監督が描くのは、
半世紀前に世界を変えた運動の記録。
当時の運動に参加した人々が次々と登場し、
インタビューと回想シーン、そしてアニメーションを交えながら、
あの記念すべき日を振り返る。彼女たちの言葉は、時に力強く、
時に切なく、そして時に痛みを伴って私たちに届けられる。

1970年代、女性が家にいて、
可愛い子供と優秀な夫がいることが女性の誇りとされた時代。「
女性らしさ」という言葉が、
選択肢ではなく義務として女性たちを縛っていた時代。しかし、
アイスランドの女性たちは声を上げたのだ。
日本でも10年前からミスコンテストの是非が話題となっていたが、アイスランドほど大規模な抗議運動を展開した国はなかった。「家畜の品評会じゃない」――そう叫んだ女性たちの声は、やがてミスコンテストを10年以上にわたって封印させるほどの力を持った。女性を外見で評価し、順位をつけることへの異議申し立て。それは女性の尊厳をかけた闘いだった。
しかし女性の選択肢を求めて声を上げた人々がいた一方で、自分の生き方を否定されたと感じた女性たちもいた。家庭を守ることに誇りを持っていた女性たち、その生き方を選んだ女性たちの存在も映し出している。

本作は、過去の記録であると同時に、現代、
そしてジェンダーギャップ指数(GGI)が低い日本(総合順位: 148カ国中118位)への問いかけでもある。
半世紀前に彼女たちが求めたものは、今、
実現されているのだろうか。そして私たちは、どこまで来て、
どこへ向かおうとしているのだろうか。
単なるドキュメンタリーではなく、
時代を超えて響く声の記録であり、未来への希望の物語である。
半世紀の時を経て、あの日が再び蘇る。記念すべき日に、
記念すべき作品を。
映画『女性の休日』2025年10月25(土)よりシアター・イメージフォーラム他、全国順次ロードショー!