松竹新喜劇に初出演の川中美幸「お母ちゃんのようなあったかい母親像を見せていきたい」

川中美幸の「人生日和」が2024年2月21日発売された。テイチク創立90周年第一弾シングルとなる今作は、キレのある歌で聴かせる男の人生演歌で、有線演歌歌謡曲リクエストランキング(2024/2/21付)で1位を獲得するなど大好評！！ストレートに”ここが男の頑張りどころ” とパワフルに歌っている。両A面の「横浜トワイライト～想い出は美しく～」では、藤坂勇との大人のデュエットでノスタルジックな雰囲気漂うデュエット曲が収録。
関西プレスに初登場となる川中さんにインタビューを実施！新曲のことや、5月10日からゲスト出演する松竹新喜劇 喜劇発祥120年についての思いも語っていただきました。

── テイチク創立90周年第一弾の曲でもある「人生日和」がとても好評とのこと、どのような思いで歌っておられますか？

前3作が浮世離れした男と女の愛の世界を歌っていたので、ファンの皆さんは“待ってました！”と喜んでくださいました。やっぱり笑顔は大切ですよね。私もこの歌から元気をもらっています。コロナや世界の争い事、地震、災害……いろんなことがある中、頑張って生きていきましょう！というメッセージが込められています。

テイチクさんにお世話になって47年目、デビューしてからずっとお世話になっているので、最近は若い社員からテイチクの歴史を聞かれることも増えました。

── 作詞の麻こよみ先生、作曲の弦哲也先生とレコーディングでは、どんなお話をされましたか？

麻先生は歌詞を“俺の時代はやってきた”にしようか、とか言いながらノリに乗ってくださって。私が好きな歌詞が“ひとつ大きく深呼吸”の部分です。深呼吸をすることによって気持ちが整う。生きていると不条理で理不尽なこともあるしイライラすることもあるけれど、そんな時自然に触れて大きく深呼吸をすると冷静になれるんです。“変わる風向き 待てばいい“の部分も好きです。「人生は成るようにしかならへんで。」と、私の母がよく言っていました。本当にその通りですよね。

── カップリング「横浜トワイライト」は藤坂勇さんとデュエットされています。藤坂さんは建設会社の社長さんとのことですが。

藤坂さんは、裕次郎クラブに入っているほどの石原裕次郎さんの大ファンで、今回ご縁があってご一緒しました。藤坂さんは今回初めてだったので緊張されていました。昭和の時代を彷彿させるような曲なので、皆さんにも親しみを感じてもらえると思っています。横浜といえば いしだあゆみさんの「ブルー・ライト・ヨコハマ」の印象が強くて、横浜に憧れや夢を抱いていました。横浜は歌になる題材が沢山あって大好きな街です。

今だから喜劇で表現できる

── 5月10日から19日まで松竹新喜劇 喜劇発祥120年にゲスト出演をされます。意外にも松竹座への出演は初めてなんですね。

そうなんです。子どもの頃から松竹新喜劇と吉本新喜劇はテレビで見ていたので馴染みがありました。また、曽我廼家文童さんや高田次郎さん、曽我廼家寛太郎さんは私の舞台に花を添えてくださった方たち。13年前くらいから皆さんに「美幸さん喜劇やりはったらいいのに〜。」って言われていたのが残っていて。そろそろ松竹新喜劇でお芝居やってみたいなと思ったのが昨年。人生酸いも甘いも噛み分けて人情にも沢山触れてきた今なら喜劇を表現できると思ったんです。

── 今回はお母さん役でご出演されるとのことですが、大切にされていることや今作の見どころや魅力を教えてください。

お母さんの愛情をどこまで出せるか……。台本をいただいた時、ふと“お母ちゃんやったらどんな言い方するんやろう”“どんな風に娘を送り出してくれるやろう”と、台本を読みながら、私のお母ちゃんになっていました。お客さまに母の愛情が伝わるといいな、と思います。

この作品の最後の村祭りは皆で踊るのですが、今回は歌に変わり、「人生日和」と「二輪草」を2曲歌う予定なので楽しみにしていてくださいね！

── 今回のお芝居でもお母さまの影響を受けられていますが、川中さんの歌手人生においてもお母さまの存在は絶大だったのですね。

何をするにも後押しをしてくれた愛情深い母でした。今回のお芝居でもそういう母親像を見せることで、また一つお母ちゃんに対しても親孝行ができるのかな。お母ちゃんも松竹新喜劇が大好きだったんです。介護をしている時も「松竹新喜劇を観に行きたい」と言い、時折連れて行きました。

── 川中さんにとって舞台公演の醍醐味は？

コンサート公演などは歌う人が主役。お芝居は主役はいても調和が取れないと良いものができません。お芝居もアンサンブルなので自分が主張するのではなく、皆に合わせるという気持ちがないと良いお芝居はできません。松竹新喜劇の色に染まっていこうと思っています。ここで私を知ってもらうだけでも嬉しいですし、お芝居が歌に生きる。新たな川中美幸探しをしていけたらと思います。

母が生きていた姿が遺言

── いつも笑顔が素敵でパワフルな川中さんの元気の源を教えてください。

なんでしょう……。やっぱり母譲りなのでしょうか。最近、お母ちゃんもこんなことしていたな、というようなことが多くなりました。苦しい時ほど逃げない姿勢、お店にいらっしゃるお客さんを楽しませて、誰に対しても分け隔てなく接する母の背中を見てきたので……。母が生きていた姿、全てが遺言だと思っています。

それに私は人の笑顔を見るのが好きなんです。子どもの頃から両親の笑っている顔が好きだった。喧嘩したり泣いたりする姿は見たくなかった。笑顔は人を幸せにすると信じています。

── 今年でデビュー47周年、今後50周年に向けての現在の気持ち、挑戦したいことなどを教えてください。

松竹新喜劇への出演も一つの挑戦となりますが、いまとても自分の声が好きで、周りからも褒めていただくことが増えました。デビュー当時より、まろやかな感じに聴こえるんですよ。なので今後は声を生かした仕事、例えば声優やナレーション、朗読劇などに挑戦してみたいです。神様から与えていただいたこの喉を生かせる仕事、歌はもちろんですが他にもどんどん挑戦していきたいです！

インタビュー・文：ごとうまき