【水森かおりインタビュー】30年の軌跡と未来への一歩 ─ 梅沢富美男&研ナオコとの夢舞台と新曲『大阪恋しずく』を語る

アーティスト

デビュー30周年を迎えた演歌歌手・水森かおりさんが、2025年4月18日から大阪・新歌舞伎座で開催される『梅沢富美男劇団 梅沢富美男 役者人生60年 研ナオコ デビュー55周年 水森かおり デビュー30周年 特別公演』に挑みます。梅沢富美男さん、研ナオコさんというレジェンドとの共演に胸を躍らせ、新曲『大阪恋しずく』で初めての幸せ演歌を歌う水森さん。今回は、公演への意気込みや新曲の裏話、そして30年の歌手人生を支えた温かいエピソードをたっぷり語っていただきました。

今回は芸者役に挑戦


── 今回の新歌舞伎座公演での梅沢さん、研さん、そして水森さんという個性豊かな3人の組み合わせが楽しみですね。どんな舞台になりそうですか?

水森
梅沢さんとは一昨年の新歌舞伎座公演以来なんですけど、その時は初めて着物でお芝居して緊張しまくりでした。研さんとは歌番組で一緒になったことはありますが、お芝居で共演するのは初めてです。お二人はもう名コンビで有名ですよね。私、子供の頃からテレビで見てた憧れの方たちなので、「お邪魔にならないかな」ってちょっとドキドキしています(笑)。でも、きっと面白い化学反応が生まれるんじゃないかと思います。一番近くでお二人の掛け合いを見られるのが楽しみで仕方ないです。


── お芝居ではどんな役ですか? 台本を読んだ感想も聞かせてください。

水森
前回は女親分という役柄だったんですけど、今回は芸者さんです。真逆ですよね。一昨年の公演で初めて着物とかつらをつけた時、梅沢さんに「どうしたらいいですか?」って聞いたら、「女親分なんだからガニ股で歩けばいいよ」って言われました(笑)。そのアドバイスのおかげで気が楽になったんですけど、今回は芸者だからそうはいかないです。立ち振る舞いをちゃんとしないとって緊張しています。でも、ポスター撮影で「似合うね」「色っぽいよ」って褒められて、だんだんその気になってきました(笑)。私らしい芸者姿をファンの皆さまにぜひ見てほしいです。

── 梅沢さんの演出についても教えてください。また、一緒に仕事をしていて印象に残っているエピソードはありますか?


水森
梅沢さんは細かく「ああしろ、こうしろ」って言うタイプではなく、「かおりちゃんの好きなように自由にやってくれれば、僕が全部受け止めるから」って言ってくださいます。初めて共演した時、慣れない着物でオロオロしていたら、「大丈夫だよ、そのままでいいよ」って笑顔でフォローしてくださって、それが心強かったです。あと、楽屋での気遣いがすごいんです。一番忙しくて疲れているはずなのに、「差し入れのケーキが来たから食べよう!」って声かけてくださったり、廊下ですれ違う時も「かおりちゃん、元気?」って気さくに話しかけてくださいます。オンオフなく楽しませてくださる優しい方で、本当に尊敬しています。


── 研さんとの共演についてはいかがですか?テレビでの印象や舞台への期待を教えてください。

水森
研さんはドリフを見ていた子どもの頃からの大スターで、やっぱり生で「ナマタマゴ」を聴きたいなって思います(笑)。前に歌番組で楽屋がご一緒だった時、私が席を外して戻ったら、机に飴やお菓子を置いてくださっていて、お茶目で優しい方だなってほっこりしました。その時、「昔の歌番組ってこうだったよね」なんて話してて、研さんが「かおりちゃんも頑張ってるね」って声をかけてくださったのが嬉しかったです。3人とも個性的ですが温かい雰囲気の中で舞台に立てたらいいなと思っています。

── 第2部の歌謡ステージでは歌も披露されます。どんなステージになりそうですか?


水森
第2部では新曲『大阪恋しずく』も披露します。イントロから手拍子で盛り上がれる曲なので、ファンの皆さまと一体になって楽しめたら最高だなって思います。第3部では、前回みたいに私が歌って梅沢さんが踊るパターンもあるかもしれません。一昨年の公演では、梅沢さんのキレッキレの舞踊にびっくりして、楽屋で「どうやったらあんなに動けるんですか?」って聞いたら、「慣れだよ」って笑っておられました(笑)。今回も楽しみです。

新曲『大阪恋しずく』の裏話


── 新曲『大阪恋しずく』について教えてください。大阪はデビュー時から縁がある場所ですよね。好きなところや行ってみたいスポットはありますか?

水森
MV撮影で道頓堀、通天閣、大阪城を歩いたんですけど、よく大阪に来ているのに「初めて歩いた!」って場所が多くてびっくりしました。道頓堀でグリコの看板の下でポーズをとったり、観光客気分で楽しかったです。今回は大阪に長く滞在するので、知らない場所を歩いて発見したいですね。実は昔、大阪のキャンペーンで迷子になって、マネージャーさんに「どこ行ったの!」って怒られた思い出もあるんですよ(笑)。


──『大阪恋しずく』は30周年記念曲ですよね。どんな手応えですか? ファンの皆さんへのメッセージもお願いします。

水森
今までのご当地ソングは恋に破れた女性の一人旅が多かったのですが、今回は願いが叶う「幸せ演歌」で、心から笑顔で歌えます。レコーディングの時、スタッフさんが「かおりちゃん、楽しそうに歌ってるね」って言ってくださって、自分でも新鮮でした。30年間応援してくださっているファンの皆さまへの感謝も込めています。イントロから手拍子で一体感を感じられる曲なので、ライブで一緒に楽しんでほしいです!

── タイプBの『我が輩は猫である』は猫目線の歌ですが、犬を飼っている水森さんにとってどんな曲ですか?『ようかんマーチ』のフレーズもクセになります。


水森
猫目線の歌は初めてで、最初聴いた時「え、猫が歌うの?」って驚きました(笑)。うちは犬を飼ってるんですけど、ペットと暮らす人なら共感できる部分があるんじゃないかと思います。衝撃的だけど面白い曲ですね。一方、『ようかんマーチ』は可愛くて癖になるし、昨年から流れてて「子どもたちが歌ってる!」って反響が届いています。デビュー当時からNHKの「みんなのうた」を歌うのが夢だったので、オファーが来た時は「やっと叶った!」って嬉しかったです。レコーディングで歌のお姉さんになった気分でした(笑)。

30年の歩みと思い出


── 30年を振り返って印象的なエピソードを教えてください。

水森
デビューの日に大阪の朝日放送の生番組に出演した時、自分の曲のイントロが流れたのにまだ楽屋にいて、「え、私!?」って慌ててステージに飛び出しました(笑)。特設ステージの裏に楽屋があって、ギリギリ間に合ったけど心臓バクバクでした。あれから30年の時を経て、先日その番組の司会者の方とお仕事で再会。感慨深かったです。あと、紅白初出場の日、NHKホールに向かう途中で車が事故に遭って、リハーサルでコルセットを巻いて歌ったのも忘れられない思い出ですね。終わった瞬間、家で動けなくなっちゃって、「緊張ってすごいな」って思いました(笑)。


── 30年の時を経て歌手としてどのように成長しましたか?また気持ちのうえで変化したことはありますか?

水森
デビューした時は30年後なんて想像もできなくて、10人入ればいっぱいの小さなお店で歌っていました。それが100人、1000人と増えて、憧れが現実になったのは幸せです。デビュー直後、緊張しすぎて歌詞を飛ばしたことがあって、お客さまに「大丈夫だよ」って笑ってもらったんですが、そういう温かさに支えられてここまで来れました。この道を諦めなくて良かったなって思います。


──つらい時に支えになった言葉や歌はありますか?


水森
デビュー当時、キャンペーンで大阪を回っていたんです。その日は雨が降っていて、傘をさしながら聴いてくれた女性の「頑張りや!」って言葉に何度も救われましたね。関西弁の「頑張りや」っていいですよね。応援でもあり「ダメな時も頑張れよ」っていう励ましの言葉でもある。大きな支えになりました。

今後の夢と挑戦


──もし制限がなかったら、どんな舞台や衣裳に挑戦したいですか?

水森
巨大ドレスでどこまで大きくできるか挑戦したいです! 紅白より大きなドレスで、ドレスの裾が舞台いっぱいに広がるみたいな(笑)。でも移動が大変そうだから、ネバール君みたいに伸び縮みするのも面白いかな。あと、着物とドレスの融合も素敵だと思います。中森明菜さんの『DESIRE』みたいな雰囲気で、誰もやったことのないデザインに挑戦したいですね。


──梅沢さんは役者人生60年、研さんはデビュー55周年とほぼ倍のキャリアですが、55周年の自分はどうありたいですか?


水森
私が子どもの頃、先輩方に憧れたように、「水森さんのようになりたい」って思ってもらえる存在になりたいですね。さらに25年後となると、77歳。今の梅沢さんや研さんの今よりちょっと上ですね。私もキャリアを積んで、60周年で後輩と共演してるかもしれません。一昨年の公演で梅沢さんが「かおりちゃんも長く続けなよ」って言ってくださって、その言葉が頭に残ってます。まだまだ想像がつきませんが、頑張ります!

── 最後に、今後挑戦したいことなどを教えてください。

水森
ご当地ソングは私の居場所ですが、そこに新しい枝を広げたいですね。『ようかんマーチ』のように幅広い世代に愛される歌にも挑戦したいです。もちろんご当地ソングの全都道府県制覇も夢ですよ。今、徳島と福岡が残っています。さらに市町村まで行ったら1700以上あるので、まだまだ終わりませんね。楽しみながらふるさとの歌を増やしていきたいです。あと、いつか大阪でデビュー当時の小さなお店を再訪して、「あの時ここで歌ってたんです」って話したいなって思っています。

公演概要・チケット

梅沢富美男劇団 梅沢富美男 役者人生60年 研ナオコ デビュー55周年 水森かおり デビュー30周年 特別公演
公演期間 2025年4月18日(金)~4月29日(火・祝)
料金 (税込)
1階席 11,000円
2階席 6,000円
3階席 3,500円
特別席 12,000円

チケット:梅沢富美男劇団 梅沢富美男 役者人生60年 研ナオコ デビュー55周年 水森かおり デビュー30周年 特別公演 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 演劇のチケット購入・予約]

新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222

インタビュー・文・撮影:ごとうまき