青春のあれこれがギュッと詰まった宝箱のような瑞々しい映画
アニメ好き女子高生がひと夏を通して成長する爽やか青春物語。家族とのあれこれ、実の父親と再会や触れ合い、想いを寄せる男子との愛おしく瑞々しい夏の日々を丁寧に、優しく、ユーモアたっぷりに描き出している。本作は田島列島の人気同名コミックを映画化。主演のヒロイン美波を上白石萌歌、もじくんを「町田くんの世界」の細田佳央太がそれぞれ演じ、豊川悦司、千葉雄大、斉藤由貴、古舘寛治らが脇を固める。「南極料理人」「横道世之介」の沖田修一がメガホンをとった。
あらすじ
大好きなアニメを通して意気投合した同じ高校の美波ともじくん。美波のもとに突然届いた「謎のお札」をきっかけに、美波は幼い頃に行方がわからなくなった実の父を捜すことになった。もじくんと、探偵をしているというもじくんの兄・明大の協力により、実の父・藁谷友充はあっさりと見つかった。美波は部活の合宿へ行くと今の家族に嘘をつき、実の父である友充に会いに行くーー。
冒頭からいきなり流れ出すアニメの内容がこの先の物語とシンクロしているとは知らずに、始まった瞬間に劇場を間違えたのかと慌てふためくのは筆者だけではないはず。タイトルだけ見るとてっきり大人に振り回される子どもか、尖った子どもの社会派映画とばかり思っていたけど、とんでもない!「最高に爽やかで、最高にハッピーなサマー青春ムービー」なんだよな!”なっ!”(←本作を見た人ならこの意味がわかる)
登場人物達の独特の“間”と“言葉”、シュールな動作、会話に終始クスクス笑いっぱなし。だけどしっかり泣かせてくれるし、ヒロインの成長も感じられるし、ハッピーエンドだし、なんだよこれ、最高か!
泳ぐ、字を書く、食事をする、バスケのシュートを決める、タバコを吸うなどの長回しが多く、セリフも長い。動作が丁寧に映し出され、私たちの何でもないような普通の日常が美しく愛おしく感じられる(この幾つものカメラの長回しはおそらく俳優陣にとっては大変だったのだろう)。そして大人の誰もが経験したであろう「夏休み」にどこか懐かしさを覚え、ノスタルジックな思い出が蘇る。
ヒロインの上白石萌歌、細田佳央太の透明感と爽やかさが一際目を引き、本作に瑞々しさを与えている。そして兄の千葉雄大が新たな風を吹き込み(彼の新境地を見た感じ、演技も決まってた)、安定の豊川悦司の哀愁漂う中にちょっと滑稽な親父姿が堪らなく愛おしい。
本当に素晴らしい作品だからこそ、本作の公開シアターを是非とも増やしてほしい。そして依然として猛威を振るう新型コロナウィルスによって10代の子たちの貴重な青春の日々が奪われていることに対し強い憤りを感じる。一刻も早く子ども達にキラキラした日々が戻りますように、と願うばかりだ。愛を込めて。
子供はわかってあげない