【ジョニーデップ主演】世界的なフォトジャーナリストの伝記ドラマ『MINAMATA』

(C)2020 MINAMATA FILM, LLC (C)Larry Horricks
映画

写真家ユージン・スミスがカメラを通して何を見て感じたのか?!

水俣病が公式に認定されてから65年、いまや誰もが知る水俣病を外国人写真家ユージン・スミスの視点が加えられることにより“水俣病”への知識や情報に新たな膨らみをもたらしている。
本作は水俣病の存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスの写真集「MINAMATA」を題材に描いた伝記ドラマ。

あらすじ

1971年、ニューヨーク。かつてアメリカを代表する写真家と称えられたユージン・スミスは酒に溺れ堕落した日々を送っていた。そんなある日、アイリーンと名乗る女性から、熊本県水俣市のチッソ工場が海に流す有害物質によって苦しんでいる人々を撮影してほしいと依頼される。ユージンは熊本に行きそこで見たものは水銀に冒され歩くことも話すこともできない子どもたちの姿や、激化する抗議運動、それを力で押さえ込もうとする工場側の光景だった。衝撃とショックを受けながらも写真家としての仕事を全うしていたが、やがて自らも危険にさらされる。追い詰められた彼は水俣病と共に生きる人々に、あることを提案する。
やがてユージンが撮影した写真によって彼自身の人生と世界も変えることになる。「ラブ・アクチュアリー」のビル・ナイ、日本からは真田広之、國村隼、美波らが共演し、坂本龍一が音楽を手がけた。また本作の製作にはジョニーデップも加わった。

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解説

1971年の熊本、まだSNSなどがない時代のフォトジャーナリズムの様子を知ることができ、真のジャーナリズムの意義、「一枚の写真で1000の言葉を伝えられる」というフォトジーナリストという職業の尊さも感じ取ることができる。
エンドクレジットではまだ賠償を果たしていないチッソ株式会社と日本政府を批判し、エンドロールでは資本主義がもたらした弊害、世界中の公害・環境問題が写真とともに映し出される。
企業や組織が豊かさや便利さを追求すると同時に生み出した公害病や環境問題について、私たちは今以上に意識し行動を変えていく必要がある。
発展や利益を優先し個を抑制する社会や企業の隠蔽はコロナ禍によってより色濃く炙り出された。劇中でのチッソの社長とユージンの取引は今もそこらじゅうで行われていて金に目が眩み真実を伝えない人(圧力によって伝えられなくなった者)たちも数多く存在するのだろう。
今なお続く強いものが弱いものを虐める社会、変わらなくてはいけないんだと作品を通して訴えている。
それにしても鉄壁の日本の俳優陣はさすがだ。ユージンと日本人達との懸け橋となったアイリーン役の美波も重要な役どころで印象的。
本作から水俣の真実を知り私たちはどうするのか。今も続く公害や環境汚染について考えるきっかけになる作品となるのは言うまでもない。

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MINAMATA ミナマタ

監督:アンドリュー・レビタス
脚本:デビッド・ケスラー スティーブン・ドイターズ アンドリュー・レビタス ジェイソン・フォーマン
キャスト:ジョニー・デップ、真田広之、國村隼、美波、加瀬亮、浅野忠信、ビル・ナイ
製作:2020年製作/115分/G/アメリカ
配給:ロングライド、アルバトロス・フィルム
原題:Minamata

文/ごとうまき