ミュージカル『ボディガード』待望の再再演!レイチェル役の新妻聖子「世界音楽史に燦然と輝く彼女は宝物。カーテンコールは、一緒に歌って踊って盛り上がりたい!」

インタビュー
ミュージカル『ボディガード』が2024年3月30日(土)〜4月7日(日)まで梅田芸術芸場メインホールにて上演される。本作は、1992年にケビン・コスナーとホイットニーヒューストン主演で世界中を熱狂の渦に巻き込んだ映画『ボディガード』を舞台化したもの。大型ジュークボックスミュージカルとして、世界各国で上演され、日本では2019年9月に本場英国キャストによる初上演が実現。2020年春に新たな演出で東京・大阪での公演を予定していたものの、コロナ禍の影響でほとんどの公演が中止となり、2022年の大阪、東京公演において念願の再演が叶った。そして2024年更なる進化を遂げ、サスペンスを孕んだストーリーと、命をかけたラブストーリーが華やかに舞台で蘇る。
上演に先立ちレイチェル・マロン役(Wキャスト)の新妻聖子が取材会に出席。今回で3度目の出演となる新妻に本作に対する想いや魅力を語っていただきました。

40歳を過ぎたいま、心が満たされる作品に出会えてラッキー

── 新妻さんは初演時から出演されていますが、今回再再演されることについての心境は?
新妻
初演がコロナ禍に入ってすぐの時期で、大阪公演は5回上演後に中止、東京に関しては0回で……。そして2022年の再演では奇跡的に完走することができました。再演時の千秋楽では、お客さまの反響も大きくて、とっても熱くて。2年の時を経て再再演できること嬉しく感じています。
── この作品は新妻さんにとってどんな作品ですか?
新妻
私が演劇を始めた20代前半〜30代にかけては自分の中で修行的な意味もありました。それこそ、三島由紀夫の戯曲から大型ミュージカルまでいろんなところで勉強させていただきましたが、その分自分の内面を追い込んで追い込んで、役づくりをしてきた部分もあります。芸歴20年を迎えた今、『ボディガード』という作品を通して、お客さまとカンパニーが一体となって楽しむことができているし、それがとても心地良いんです。今はこの作品を一人でも多くの人に観ていただき、皆さまが喜んで、笑顔で帰って下さる姿を見ることが、この公演をやる意義になっています。

作品の魅力について

新妻
この作品はサスペンスの要素がありながらもとてもシンプルなストーリー。ストーリーをご存知のお客さまも多いので、気負いせず観れるし、後味もすごく良い。誰もが楽しめる作品なのかなと思います。2時間たっぷりと、宝石箱のようなキラキラとしたものをお客さまに観ていただいた後、フィナーレでもたっぷり楽しんでいただける。まるで新春歌舞伎のような作品なんです。それにレイチェル役は出ずっぱりで歌いっぱなしなので身体は疲れるものの、疲れは翌日に引きずらないんですよ。エンターテイメントを提供しているようでいて、毎回お客さまから元気をいただいています。

舞台を盛り上げる珠玉の楽曲たち

── セットリストについても教えてください。
新妻
『ボディガード』といえば「オールウェイズ・ラヴ・ユー」が一番の人気曲ですが、一幕の最後に歌う「アイ・ハヴ・ナッシング」も好きだという声を沢山聞きます。今、恋愛モードだという方は特に「アイ・ハヴ・ナッシング」が沁みるのではないでしょうか。なんといってもこのミュージカルはワールドレコードで裏打ちされた名曲しか並んでいないので曲が良い。そんなミュージカルってなかなかないですよ。黄金の輝きを放っているセットリストですので、私たちもプロの技でしっかりとお届けします!
── 「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は日本語を交えて歌われていますが、どんなところに気を付けて歌っておられますか?
新妻
一番気をつけているのは、無音になってからのサビの部分です。ここは背筋がピシッとします。まず、『ボディガード』が日本語でミュージカルになることで、多くの方がサビの“And I will ”の部分がどうなるかと思われたのではないでしょうか。結果、皆さんに耳馴染みのあるフレーズはあえてそのままで、だけど英語で聴いていたフワっとしていた部分は日本語だとしっかり入ってくる、という良いとこ取りの和訳になっています。

『ボディガード』はホイットニー・ヒューストンへのラブレター

── この作品は、ホイットニー・ヒューストンの存在がどうしても大きいですが……。役づくりについても教えてください。
新妻
ホイットニー・ヒューストンさんをモデルに作られた作品ではありますが、レイチェル・マロンという別人格の物語でもあるので、そこは割り切って役づくりをしています。私は『ボディガード』という作品そのものがホイットニー・ヒューストンへのラブレターだと思っています。“We love you ホイットニー。あなたを忘れることはできないし、皆あなたを待ってるよ”と、“ホイット二ー大好き”という想いが作品に乗せられて、いまもこうして世界中で上演が続いている。私もMay J.ちゃんもホイットニー・ヒューストンさんが大好きです。
── レイチェルとご自身と重なる部分、共感するところは?
新妻
生のステージに臨む姿勢や気持ちでしょうか。その日のライブステージに誠意を持って挑むこと、同時に舞台に上がる上での不安や恐れ、だけどその先にある美しいものを知っているから、舞台に立つんです。姉妹で歌が好きというところも私と似ています。レイチェルは最初はただただ歌うことが好きで、そこからビジネスが大きくなってしまって、やがて姉妹の間にも溝ができてしまったと思うのです。
── 大阪公演を楽しみにしてくださっている皆さんへメッセージをお願いします。
新妻
“知ってるこの曲”、“この曲好き!”というような懐メロジュークボックス的な感じでも楽しんでいただけます。今回から声出しも解禁となりましたので、カーテンコールでは皆さんも一緒に歌って盛り上がってもらえたら……。ダンサーの方たちも素晴らしいので、カーテンコールは総立ちで踊ってくださいね。お一人でも、友達同士やカップル、親子など誰と観ても楽しめる作品ですし、ミュージカルが初めてという方にとっては、これほど相応しい作品はないと思います。皆さんが幸せになれるような空間にしますので、是非ご覧ください。
取材・文・撮影:ごとうまき