【田中あいみインタビュー】シンプルネイルで心機一転!「年末もこの曲で勝負する!!」

アーティスト
昨年(2022年)「第64回 日本レコード大賞」最優秀新人賞に輝き、演歌歌謡界を牽引する1人として、注目を浴びている田中あいみ。2023年5月23日には「愛の懺悔(ざんげ)じゃないけれど」をリリース。カップリング曲には、世良公則のカバー曲「あんたのバラード」が収録され、田中あいみの新たな魅力が感じられる1枚となっている。今回は田中あいみにロングインタビューを実施。新曲を中心に、東京での新生活のことなどを聞いた。まず筆者がはじめに驚いたのは、田中のトレードマークと言える華麗なロングネイルがバッサリと切られ、短い爪にはシンプルで上品なネイルが施されていたことだ。長い爪に別れを告げた理由には、田中のある決意と覚悟があった。天真爛漫で元気な彼女の意外な一面も垣間見ることができたインタビューとなっています!

歌詞に共感する女性は多いはずだけれど……

──「愛の懺悔じゃないけれど」杉本眞人先生が作曲されていますが、最初に聴かれた時はどう感じましたか?
田中
最初はギターに合わせた先生の歌声で、デモが届きました。先生はとても良い声をされています。私も先生のことはとても好きな歌い手であり、作曲家だと思っていて。デモを聴いて、杉本先生の歌を歌うということを実感した反面、「この歌声を超えられるのだろうか?」という不安も感じました。なんなら、先生の歌声でCDを出したほうがいいんじゃないかって(笑)。レコーディングは3〜4時間かかりました。「パッションだ!」と、沢山、杉本節を伝えていただきました。
──自分の元を去っていった男性への募る気持ちを描いた今作、最初に歌詞を読まれた時は共感などありましたか?
田中
私はそんなに経験がないので、共感するかと言われるとなんとも言えないのですが(笑)。だけど未練もあるけれど、いつかは私の元に帰ってくると信じて待っている女性は多いと思います。もし自分が彼女の立場なら……と考えた時に特に気になるのが2番目の歌詞。“噂じゃあんた 年上の  彼女と二人で暮らしている”の部分では、それがわかった時点で私は捨てますね。「あんた待たへんよ」って(笑)。作詞をしてくださった朝倉翔先生も、あいみさんのハスキーな声を生かせる楽曲に仕上がっていると言ってくださいました。
それぞれの思い出の場所をイメージして歌ってほしい
田中
これまでの2作品はそれぞれ舞台が新宿と新世界でしたが、今作は具体的な地名は書かれていません。100万ドルの 夜景より、白い客船(フェリー)、丘の上から見える街の灯などのワードから、聴く人それぞれの思い出の場所、夜景の見える場所をイメージして歌ってもらえると嬉しいですね。私は関西人なので、神戸の六甲山などをイメージしましたが、杉本先生のイメージは函館とのことです!

表現力を磨くためにも、現地に足を運ぶ

──そしてカップリングには「あんたのバラード」が。以前から、周りからも田中さんの声に合うからと、リクエストがあったそうですね。
田中
今回歌うにあたって、初めてこの楽曲をきちんと聴きました。これをやるのかと、“また皆さん難しい楽曲をあいみに言ってきたよね”と思いました(笑)。当時の映像も沢山見て勉強しましたが、最初の引き込まれ方、インパクトが大きくて。世良公則さんの世界を壊さないようにしながらも私の色も出せるように工夫して歌いました。私はバラードが好きですが、これまで歌ったことのない楽曲、どちらも繰り返し聴きたい2曲となりました。
── これまでにも昭和の名曲をカバーされていますが、昭和の楽曲についてどんな印象がありますか?
 
田中
ファーストアルバムでは藤圭子さん、内藤やす子さんの楽曲を歌わせていただきましたが、当時の方の表現力はすごいですよね。私もなるべく歌の舞台に足を運んだり、映像を見たりして、表現力を磨き、詞の深みを出せるようにしていきたいです。
──”懺悔"ということでMVも教会が舞台となっていますね。
田中
敢えて、昔ながらのノスタルジックな雰囲気が感じられる教会で撮影しました。ここ、実は渋谷にある教会なんですよ。衣装はミニスカートに厚底のニーハイブーツ。これまではパンツスーツが多く、自分の中ではカッコいい女性を目指しているので、イメージチェンジすることで″カッコいいから可愛いに変わってしまうんじゃないか″と、少し不安もありました。結局、全然可愛いって言われませんけどね(笑)。

ジャケット写真を最後にロングネイルとはサヨナラ

──イメージチェンジといえば……、田中さんのトレードマークでもある長い爪に施されたネイルアートが短くなってシンプルなネイルになっています。どんな心境の変化があったのですか?
田中
昨年「第64回 日本レコード大賞」最優秀新人賞を頂いてから、良くも悪くも多くの反響もいただきました。私、エゴサーチをよくするんですが、SNSには歌より爪への反応が多くて……。自分の好きなことや趣味を否定されたような気もして少しショックでもありましたが、そりゃそうだよなと、世間の声にも納得したんです。今回は爪を全面的に出したインパクトのあるジャケット写真ですが、これを最後に派手なロングネイルからは卒業しよう。この曲で、今年の年末も勝負をしようと、覚悟を決めました。ここまで短くしたのは5年ぶりなんですよ。
 
── 「第64回 日本レコード大賞」最優秀新人賞を受賞後、ご自身や周りの変化もあったと思います。
田中
活動の幅が広がりました。食の雑誌やバラエティ番組など、音楽以外のジャンルでもお仕事をさせていただくようになりました。その活動によって、ファンの方の年齢層も広がりましたね。この間は13歳の子が「毎日通学時に聴いています。」と言って会いに来てくれて。また、SNSのDMを通して応援メッセージをくださる高校生もいたりと、嬉しいし、ありがたいですね。
── TikTokも積極的にされていますよね。師匠の細川たかしさんも田中さんのTikTokにご出演されていますが、2人の掛け合いが楽しくてついつい見てしまいます。
田中
師匠に「いま世間では15秒動画が流行っているんです。例えば流行りの音楽に乗ってダンスをするんです。」と、お願いしたら快諾してくださって。公演の合間などで撮影し、動画の編集は全部自分でやっています。

いつも温かく見守ってくださる師匠

──田中さんから見て師匠はどんな方ですか?
田中
師匠には感謝しかありません。デビュー前は“あいみ”という名前が言いにくいから、名前を変えなさい、と言われていましたが(笑)、最近では“あいみちゃん”と呼んでくださいます。それこそ、師匠と初めて出会った時は、めちゃくちゃギャルだったんですよ。金髪にビリビリに破けたジーンズを履いて(笑)。私を見るなり“なんだこの子は!?”というような顔で師匠に見つめられました(笑)。そして桂銀淑さんの「すずめの涙」をワンフレーズ歌って、「お酒は飲めるの?」と聞かれたので、「飲めます!」と即答。こうして入門を認めてくださいました。師匠は本当に優しくて、温かくて、いつも気にかけて下さいます。また8月に一門でコンサートもさせていただきます。楽しみですね。
── 3月には大学を卒業し、4月から上京されたとのこと。まだ上京して間もないですし、地元の京都が恋しくなりませんか?
田中
なりますね。まとまった休みが取れるたびに京都に帰っています。一人暮らしが初めてなもので、最初は洗濯機の回し方さえも知らなくてマネージャーに電話して聞いていたほど。この間白い服を洗濯機に入れて、取り出したら真っピンクになっていて。慌ててお父さんに電話しましたよ(笑)。「ピンクに染まった服、そっちに送るから白く戻して〜!」って。さすがにお父さんにも「それは出来へんわ。」と断られましたけどね(笑)。
──(爆笑)。田中さん、本当に面白いですよね。天真爛漫で喜怒哀楽もはっきりしているタイプ。実は…こんな一面もありますよ!というような所はありますか?
田中
私、なぜか男性の前では、がっつりした食事を食べることができないんです……。それこそデビュー前までは、ファミリーレストランやチェーン店の定食屋さんにも行ったことがなくて、お蕎麦をすすったりも出来ないんです。そこだけなぜか気取ってしまう(笑)。母から言われて育ってきたことをずっと守っているからか、父親の前でも出来ないんですよ。だけど普段は、喜怒哀楽も激しいですし、嬉しい時にはすぐに泣きますね。この間もライブでのアンコールでは感極まって涙、涙でした。
──「スーパースター」が夢とのことですが、目の前の目標は何ですか?
 
田中
師匠と一緒に各地を周らせてもらっていますが、いつかは自分がソロライブで全国を周ることが夢ですね!そして、今年の年末に向けて……良い結果を出せるように引き続き頑張りますので、応援よろしくお願いします!
インタビュー・文・撮影/ごとうまき