【20年の時を経て、マトリックス新時代へ】繰り返される“愛”の名作『 マトリックス レザレクションズ』(考察あり)

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第一作目の「マトリックス」から22年経ち最新作「マトリックス レザレクションズ」がついに完成、12月17日に日本公開を迎えた。既に本作を観たファンも多いだろう。かつて映画史に残る映像革命を起こしたこの傑作は、哲学的かつスタイリッシュで斬新な世界観を我々に見せつけてくれたが、今作もそれをしっかりと引き継ぎ、現代社会への風刺を交えながらも、我々に新たな気づきや感慨をもたらしている。この記事では本作の概要と筆者から見た考察を(ネタバレ注意しながら)書きたい。

過去三作品からの踏襲とあらすじ

仮想現実と人類の自由を描く「マトリックス」は主人公ネオの覚醒が描かれた一作目、ネオとトリニティとの愛の物語が描かれた二作目の「マトリックス リローデッド」そして、人類の存亡と最終決戦を迎える壮大なトリロジーがトリニティとネオの死によってシステムの再構築し、ザイオンの再生と人類の解放が描かれている三作目の「マトリックス レボリューション」で綴られここで終結したと思えたが、どうやら違うらしい。舞台は60年後、デウス・マキナ社(ゲームメーカー)で天才プログラマーとして働くアンダーソンはかつて大ヒット作「マトリックス」を生み出した。ある時トリニティにそっくりの二児の母 ティファニーとカフェで出会う。アンダーソンは彼女にどこか懐かしさを感じていた。そんな中バックスという青い髪にうさぎのタトゥーが入った若い女性がアンダーソンの前に現れ物語は急速に動いていくーー。

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マトリックスの世界が現実に!?

謎の単語や難しいセリフや回想シーンなども随所に出てくるため、過去三作品を見てほしい。なぜなら本作は新エヴァンゲリオン劇場版のように繰り返しの物語となっているから。

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最新作「マトリックス レザレクションズ」は一言で言うなら壮大な“愛”と‟信じる”をテーマにした作品といえる、と同時に、そんなに遠くない未来を示唆した映画でないかと。とはいえ、結局のところ本作を考察するにも答えは私たち鑑賞者それぞれに委ねられている。だからこそ本作の評価も大きく分かれている。下記、筆者が感じた本作に散りばめられたいくつかのテーマとポイントを。

・随所に描かれる監督の‟日本愛”
・多様性の肯定
・女性の活躍、ジェンダー平等
・メディアやSNSに対する社会風刺
・青い髪、青い眼鏡、虹色の空、ウサギ、黒猫(色や動物から様々な意味合いが隠されている)
・内閣府が掲げる「ムーンショット目標」の実現後の世界

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それにしても、20年ぶりに集結した懐かしい顔ぶれに、新たなメンバーが加入し(バックス役のジェシカ・ヘンウィックが可愛すぎる!ショートカット似合いすぎ)、人種や性別、年齢を超えた“多様性”が感じられ、メンバーが一丸となって乗り越える勇猛果敢な姿と“愛”にはグッとくるものがある。そう、どれだけ時代が変わろうとも、機械と人間が共生しようとも変わらないものは“愛”、愛なんだな。

ちなみに本作の脚本家の一人デビッド・ミッチェルが、『同作は「マトリックス」三部作の続編ではない』と発言したそうだ。だけどバイクに乗ったトリニティのカッコよさにはシビれるし、カンフーアクションには興奮するし、デジャブ感満載だし、やっぱりこれって続編だよね?新たなスミスの登場もあり今後の展開も楽しみで、これはもっと考察を深めたくなる。そう、この壮大な愛の物語をもっと知りたいんだ。年末年始はもう一度過去作品マトリックス三作を復習して、年明けに二回目の鑑賞に挑もうか。最後に一つ、ネオの宿敵スミス役のジョナサン・グロフ、男前すぎ。

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マトリックス レザレクションズ

監督:ラナ・ウォシャウスキー
脚本:ラナ・ウォシャウスキー デビッド・ミッチェル アレクサンダル・ヘモン
製作:ジェームズ・マクティーグ ラナ・ウォシャウスキー グラント・ヒル
キャスト:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ジョナサン・グロフ、ニール・パトリック・ハリス、クリスティーナ・リッチ、ジェイダ・ピンケット・スミス
原題:The Matrix Resurrections
製作:2021年製作/148分/G/アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画

文/ごとうまき