【三浦透子 インタビュー】エネルギー溢れる『VIOLET』暗さと情熱を併せ持つ役は難しくもあり面白い!

インタビュー

 2024年4月27日(土)~4月29日(月・祝)まで梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて、ミュージカル『VIOLET』が上演される。

本作は、梅田芸術劇場が英国チャリングクロス劇場と共同で演劇作品を企画・制作・上演し、演出家と演出コンセプトはそのままに「英国キャスト版」と「日本キャスト版」を各国それぞれの劇場で上演したミュージカル。
演出家の藤田俊太郎が単身渡英し、現地のキャスト・スタッフと作り上げた2019年のロンドン公演は、オフ・ウエストエンド・シアター・アワード で6部門にノミネートされ、中でも日本人演出家の作品が栄誉ある「作品賞」候補に選ばれる快挙となった。2020年にはコロナ禍での中止を乗り越え、3日間の限定上演で日本での日本キャスト版が実現。そして、2024年に待望の再演を迎え、大阪公演は今回が初となる。
今回主演・ヴァイオレットをWキャストで演じる三浦透子が取材会に出席。公演に向けての意気込みや作品への思いを語ってもらいました。

── ヴァイオレットを演じる上で意識した部分は?

三浦
暗さと情熱を持った役なので、役の中からその二つの側面を見せられるように組み立てていくのが難しくもあり、楽しかったです。

── ヴァイオレットを演じる上で意識した部分は?

三浦
暗さと情熱を持った役なので、役の中からその二つの側面を見せられるように組み立てていくのが難しくもあり、楽しかったです。

── ヴァイオレットに共感したところや理解できなかったところは?

三浦
彼女は顔に傷を負ったことでそれがコンプレックスとなり、心の傷を積み重ねてきました。そういった部分は私にも、皆さんの中にも多かれ少なかれあるのではないのでしょうか。ただ、彼女は心に受けた悲しみをバネにして、強いエネルギーを内に秘めて旅に出ます。そんな彼女の意思の強さや力強さ、人との向き合い方に私自身も影響を受けています。

── 演出の藤田さんについても教えてください。

三浦
お芝居を作る、演技をすることがこんなにも楽しいんだ!ということを改めて実感させてくれるような稽古場を、藤田さんは作ってくださいます。加えて私たちの意見をきちんと聞いてくださり、取り入れてくださるので、私たちもより能動的になれるんです。今回Wキャストなので、役者それぞれの解釈の違いや、個性を活かそうと演出を考えてくださいました。

── 本作の音楽の魅力についても教えてください。

三浦
カントリーやブルースなどアメリカのルーツミュージックを沢山堪能できます。楽曲も物語のシーンとリンクしていて、父を懐古するシーンではカントリー調の曲だったり、黒人の文化に触れるシーンではブルースが流れたり……。繰り返し使われるメロディーは、何度も繰り返し思い起こされる登場人物の感情にもリンクしていて、私自身演じていて音楽に助けられています。

── 楽曲を歌う上で意識されているところはありますか?

三浦
音階が複雑で細かいというのが印象的で、正直とても難しいと感じています。はじめ、サウンドトラックで聴いていた時は、まるで喋っているように聴こえたため、楽譜があるようには思えませんでした。ですが実際楽譜には、音程が緻密に書かれています。これをきちんと辿ると、人間が喋っているような楽曲になるのだと感動。どの音も逃さずに丁寧に拾って歌いたいと思っています。

── ミュージカルだからこその楽しさや喜びも感じておられますか?

三浦
ヴァイオレットというキャラクターに暗さと情熱を感じていますが、その読み解きは音楽から受け取っていることが多いのです。コンプレックスを抱えているキャラクターと聞くと、暗さの方を表現したくなるのですが、それだけで組み立てていくとこの曲は歌えないな、という曲も出てきます。なので、この曲が歌える展開にまで彼女を持っていくには、前のシーンをどのように演じないといけないか……と考えるのが新鮮で面白かったです。

── 大阪での上演は初めてとなりますが、大阪のお客さまの印象は?

三浦
お客さまの反応がダイレクトに伝わってきます。ミュージカルで地方を回らせてもらうのは今回が初めてなので、皆さんと共有できることをとても楽しみにしています。

── 本作の持つテーマやメッセージについて、三浦さんはどのように考えておられますか?

三浦
彼女が本当に治したかったものは“顔の傷か”“心の傷か”ということを反芻しながらお稽古をしてきましたし、自分にとって大きなテーマでした。私は“心の傷を癒す旅”と解釈しています。顔の傷という物理的な傷は消せなくても、心の中の傷は、自分次第、向き合い方次第で消すことはできるんだと。

── 大阪公演を楽しみにしてくださっているお客さまにメッセージをお願いします。

三浦
エネルギー溢れる作品なので、自分自身も沢山エネルギーを使っています。そのエネルギーは観客の皆さんにも伝わると思うので、沢山エネルギーを浴びにきてもらえると嬉しいです。Wキャストの屋比久知奈さんも素晴らしい役者さんです。それぞれのヴァイオレット像を藤田さんが丁寧に作り上げてくださいました。いい意味で違った作品として楽しめると思います。

 

取材・文・撮影:ごとうまき