【吉幾三が後輩4人と奏でるハーモニー】300回突破記念・大阪発流行歌ライブ×吉幾三フェスティバルライブレポート

300回突破記念・大阪発流行歌ライブ×吉幾三フェスティバルライブ
EVENT
1995年3月から始まった大阪流行歌ライブ300回突破を記念して企画された「300回突破記念・大阪発流行歌ライブ×吉幾三フェスティバル」が、2022年11月16日心斎橋BIG CATにて開催された。吉幾三と徳間ジャパン所属の後輩歌手たち4人がステージを彩る特別祭。吉幾三、野中さおり、黒川真一朗、こおり健太、吉永加世子が出演し、吉の名曲やそれぞれの最新曲、爆笑トークなど、バラエティーに富んだ構成で繰り広げられた。
野中、黒川、こおり、吉永がそれぞれ代表曲を披露したオープニング・コーナーの後、MCの水谷ひろしが話をしていると、吉が突然ステージに登場。会場は万雷の拍手で出迎え、2人の愉快なトークが展開された。今年で芸能生活50周年を迎えた吉は、50周年記念アルバムを5枚リリースし、11月16日は4枚目の「50周年記念アルバムⅣ〜語り歌〜」の発売日でもある。また、2022年7月20日に発売された『吉幾三トリビュートアルバム 幾三フェスティバル』では、吉の代表曲や人気曲が徳間ジャパン後輩歌手によって歌われている
『レコーディングでは、みなさんそれぞれの歌い方から自分自身勉強になった。やっぱり女唄は女性が歌った方が、より 感情が乗っていいよね。』と、後輩たちを称賛。水谷に「どうしてこんなに上手に女歌を作れるのか」と、訊ねられると『妄想癖が凄いんです。妄想癖がないと作家はできない。』とニヤリ。さらに「情炎」が作られた裏話なども語られた。『NHK紅白歌合戦は抽選にしてほしい。出場したい人だけが集まって抽選する。お前誰や?って人が出られたら面白いと思わん?』など、吉のユーモラスな発言が続く。水谷とのテンポ良い掛け合いにも、何度も客席が湧く。
MCの後には、本ライブでもアルバム曲で歌われた曲を、それぞれの後輩歌手が披露。黒川は「かあさんへ」を歌い、津軽海峡を越えるたびにいつか海峡をテーマとした歌を歌いたいとの思いから作られた「海峡」を吉永が熱唱。こおりが歌った「哀のブルース」では、吉の父親のエピソードも語られた。野中は「情炎」を情感たっぷりに歌い上げる。
『番組でインタビューさせてもらった後、1週間後に青森のりんごがどっさり送ってこられたり、リンゴジュースを送ってくださった。』と、MCでは水谷が吉の律儀で温かい人柄を称えた。
後輩の歌手たちの新曲コーナーでは、4人それぞれが新曲を披露。
トップバッターの吉永は、ゆうたろうの妹であり吉の愛弟子。吉が手がけた「サヨナラTokyo」を披露。この曲は、吉が34年前にテレサ・テンの為に作った曲。歌詞は変えてあるが、メロディーもアレンジも34年前のままだ。昭和の古き良き時代を彷彿とさせるイントロが印象的。
次に登場したのは、こおり健太。OBCラジオ大阪で共演している水谷は、元保育士のこおりに12人の孫の相談をよくするという。小気味良いリズムでトークが繰り広げられた後、故・木下龍太郎氏作詞の「忘れ針」が歌われた。

吉永加世子

こおり健太

黒川は久々の来阪で生の歌を届けられることに喜びの声をあげる。来年でデビュー20周年を迎える黒川は、作曲家・水森英夫の愛弟子。昭和の世界観が漂う新曲「東京演歌」を披露した。この歌は、大都会の東京で頑張っている人たちへの応援歌、明るい曲調に、観客も手拍子しながら体を揺らしていた。そして来年35周年を迎える野中さおりは「雪すみれ」を熱唱。厳しい環境でも、自分の花を咲かせるという、女性の強さを歌った曲。『トリビュートアルバムで「情炎」を歌わせていただけると決まった時、本当に嬉しかった。吉さんの真似にならず、新たな色を出しながら表現できたらと、歌わせてもらいました』とニコリ。

黒川真一朗

野中さおり

その後は吉、野中、黒川、こおり、吉永の5人がステージに集まり、後輩たちがそれぞれ質問をして、吉が答えるというスタイルでトークが繰り広げられた。
吉の名前の由来や、山岡英二で活動していた頃のエピソード、はたまた懐事情など、ここだけの裏バナシも、ユーモアたっぷりに語られ、何度も客席がどっと湧いた。
吉幾三ミニライブでは「頼り頼られ…」、多くの歌手がカバー曲として歌っている「酒よ」を披露。『多くの方に「酒よ」を歌ってもらっていますが、やっぱり私が一番上手いです。』と話す吉に、客席に笑い声が響く。
ラストは、全員がステージに集まり「涙…止めて」を熱唱。世界中の子どもたちへのメッセージが込められた歌詞と美しいメロディーに感情が入り、吉が感極まり涙する場面も。
お客さまに生で歌を届けられることが、自身のモチベーションやエネルギーになっているという彼の歌声を聴き、明日への活力となるような素晴らしいステージとなった。

吉幾三

取材・文/ごとうまき