【吉幾三の陶酔境に浸る】「芸能生活50周年 吉幾三特別公演」レポート

撮影:岸 隆子
舞台

「芸能生活50周年 吉幾三特別公演」が大阪・新歌舞伎座で6月4日(土)〜12日(日)まで上演中。
第一部のお芝居「親はがっかり!子はしっかり!」と第二部の歌のステージ「50th Anniversary in 新歌舞伎座 頼り…頼られ…ありがとう」の二部構成で展開される公演は、この日も吉幾三50周年記念にふさわしい色濃く華やかな唯一無二のステージとなった。

撮影:岸 隆子

第一部のお芝居は笑いあり、涙ありのハートフルコメディ。13年前に妻を亡くし、娘2人に頼りっぱなしの主人公 安藤万作(吉幾三)が娘の幸せを願い、葛藤する姿を描いた下町人情溢れる物語。佐藤B作、中本賢、島崎和歌子、芳本美代子などの豪華キャストが集結、原案・音楽を吉幾三が、潤色・演出を岡本さとるが手がけている。
いい意味で予想を裏切ってくれる本作、しかし最後はしっかりとハッピーエンド。『こんな時だから皆さまに沢山笑って欲しい』と話す吉さんの言葉通りクスッと、時にはガハハと、笑いに溢れた温かいストーリーとなっている。
特筆すべき点として、毎日変わるアドリブの部分が抱腹絶倒、共演者たちとの掛け合いも見どころの一つとなっている。明日はどんな風にアレンジされるのだろうか?と思いを馳せる。いろいろなバージョンを千穐楽まで見届けたいほどだ。

撮影:岸 隆子

第二部の「50th Anniversary in 新歌舞伎座 頼り…頼られ…ありがとう」も期待以上のステージに。吉と40年間共にステージを彩るバックバンド「吉幾三とTHE YAHHO!」とともにおくる吉幾三の名曲の数々。「雪國」「酔歌」依田彩が奏でる二胡の演奏とともに、台湾語でも披露した「酒よ」に酔いしれる。そのほか「いつまでも…沖縄」「黄昏ビギン」、映画「ゴースト/ニューヨークの幻」の主題歌として有名なラブソング「Unchained Melody」(アンチェインド・メロディ)など幅広いジャンルの曲で、観客を吉幾三ワールドへ誘う。
吉イズムが詰まったユーモラスなMCも、ファンの期待を裏切らない。『かみさんから貰った小遣い20万円で役者たちと2日続けて食事に行き、残高7500円になってしまった。』と、自身の懐事情を明かして笑いを取る場面も。

歌のステージの共演には弟子・吉永加世子が「サヨナラTokyo」を熱唱。さらに津軽三味線の福居幸大、尺八の上遠野 衛らが出演し、ステージを盛り上げた。
ラストを飾ったのは新曲「頼り頼られ…」のカップリング曲「天空へ届け」。昨年の11月に世界平和を願って作られた曲で、数ヶ月後にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まるなんて思いもしなかったという。大きな地球儀に世界中の子どもたちの写真が映し出される演出は圧巻!『子や孫の涙は見たくない。戦争は絶対ダメだ』と声を震わせながら訴えた。
これぞ吉幾三の集大成!50周年の軌跡が凝縮されている。
「芸能生活50周年 吉幾三特別公演」 は12日まで新歌舞伎座で上演中。

撮影:岸 隆子

撮影:岸 隆子

公演概要・チケット

芸能生活50周年 吉幾三特別公演
公演期間 2022年6月4日(土)~12日(日)
料金 (税込)
1階席 12,000円
2階席 6,000円
3階席 3,500円
特別席 14,000円
◎新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)
文/ごとうまき