“愛”に生きたハリウッド黄金期の大スターの素顔に迫る『オードリー・ヘプバーン』

(C)PictureLux / The Hollywood Archive / Alamy Stock Photo (C)2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.
映画

世代を超えて愛され続けるハリウッド黄金期の伝説的スター、オードリー・ヘプバーンの知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー映画が5月6日から全国劇場で公開中。
家庭環境に恵まれなかった幼少期、ナチス占領下のオランダという過酷な環境で育ったオードリーは女優になる前はバレリーナを目指していた。初主演作「ローマの休日」でアカデミー主演女優賞を受賞し、映画スターとして輝かしいキャリアを築きあげる一方、実生活では幾度も離婚を経験。晩年にはユニセフ親善大使など慈善活動を通して活躍、愛されることを求めていた彼女はいつしか人々に愛を与えるように。

映画では貴重なアーカイブ映像とともに、俳優リチャード・ドレイファスやピーター・ボグダノビッチ監督、映画関係の仲間たち、息子や孫、友人ら近親者のインタビュー映像を交えながら、名声の裏側に隠された彼女の真の姿を映し出す。

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ハリウッド黄金期、彗星の如く現れたオードリー・ヘプバーンの代表作に「ティファニーで朝食を」「ローマの休日」「マイフェア・レディー」など数々の名作が浮かぶ。そして、キュートでファッショナブルで知的で上品、時代を超えても変わらぬオードリーの魅力に、いったいどれほどの女性たちが彼女の“美”に羨望と憧れのため息をもらしたことか…。しかし、私たちが見ていた彼女の姿は“映画スター”としての彼女の一部、側面しか見ていなかったんだと本作を見て実感。

それは、オードリーが貴族の血筋だということ、戦争や食糧難を経験し、過酷な環境に身を置いたこと。さらに初めは女優ではなくバレリーナを目指していたこと、二度の離婚や、子育てのために10年近く仕事をストップしていたこと、歳を重ねてからのユニセフでの活動…。そして彼女の人生につきまとうテーマが“愛”で、その背景には彼女の悲痛な幼少期の経験が(それが本当にその理由かはわからないけど)大きな原動力となり、いつしか自らが愛を与える人生になったことなどを…。

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マイナスをプラスに変えられる彼女のポジティブさと謙虚さに感嘆したとともに、オードリーの内側から溢れ出す“美”と“儚さ”についての謎が解けたような気がする。真の彼女を知る上で本作は必見でしょう。エンドロールの選曲が素晴らしい!

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マイ・ニューヨーク・ダイアリー

監督:ヘレナ・コーン
製作:ニック・タウシグ アナベル・ウィゴダー
原作:Audrey
脚本:ヘレナ・コーン
キャスト:オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー、リチャード・ドレイファス、ピーター・ボグダノビッチ、
原題:Audrey
製作:2020年製作/100分/G/イギリス
配給:STAR CHANNEL MOVIES

文/ごとうまき