人生は自らの手で切り開く、自分の人生を生きよう
ゲームの世界の背景であるモブキャラに命が吹き込まれるという斬新なアイディアと脚本、ディズニーが20世紀スタジオを買収したからこそ出来たパロディに痺れちゃう。本作はある種ディズニーのリブート作品、ゲーム好きは勿論のこと、ゲームに疎い人でも十分、いや、想像以上に楽しめる作品となっていて、そして、泣けるんだな。
あらすじ
毎日同じルーティンを繰り返すゲームの中のモブキャラ、銀行の窓口係をするガイはある日突然現れたモロトフ・ガールに恋をし自我が目覚める。あろうことか彼は自分の意志で行動し、数々の障害を乗り越えていく。なんと彼は史上初のゲーム上AIだった。みんなのヒーローとなったところで最後には仮想空間に戻ってしまう“バーチャルヒーロー”、そして自分が極めて存在感のない操作者さえいない背景キャラであることに気付かされるのだが・・・その切なさに愛おしくて泣けてくる。
「ナイト ミュージアム」のショーン・レビ監督が「デッドプール」のライアン・レイノルズとタッグを組んだ本作は主役ガイを演じるライアン・レイノルズのモブキャラの存在感の無さを敢えて演じているところが心憎い。ガイの純粋で真っすぐでいじらしい姿に誰もが心を奪われるに違いない。
ゲームの世界とリアルな資本主義社会が錯綜する
物語はゲームの世界と現実の世界、ゲーム会社のプログラマー達や会社のオーナー、プレイヤー達のリアルな現実が錯綜しながら、私たちの想像を超えるアドベンチャーアクションとして仕上がっている。ガイとバディの強い絆、モロトフ・ガールへの叶わぬ恋には切なくてちょっぴり泣けてくる。そして最後のロマンチックなシーンには世の女性達の多くが心を震わすだろう。
本作から受け取るメッセージ
私たちも“自分の人生ってこんなもんだ”と半ば諦めモードだったり、誰かの期待に応えようと自分を押し殺していたり。また毎日のルーティンないし、カフェで頼むメニューは大抵決まっていたりと、ゲームの世界のモブキャラ達と大して変わらないんだよね。毎日のちょっとしたことを変えるだけで新たな発見があるのかも。人生の主役は自分、誰だって本気になれば輝かせられるんだと。人生を、自由をもっと楽しもうと言ったメッセージが性が感じられる。
最初にファンファーレとともに20世紀スタジオのロゴが映し出される。前述した通りディズニー傘下になった20世紀スタジオ作品、この買収がプラスに働く壮大なクライマックスには注目だ。『アメリカン・ヒーロー』のテーマ曲が聴けるところも嬉しい。
フリー・ガイ
文/ごとうまき