【7月公開映画】古今東西変わらぬ女の戦いが繰り広げられる『グッド・ワイフ』

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1980年代メキシコを舞台にした経済危機とアッパークラスの主婦のマウンティング合戦と戦いが 観る者たちを夢中にさせる

1982年、メキシコの富裕層の主婦たちの戦いを描き、2019年メキシコ・アカデミー賞で主演女優賞など4部門を受賞した社会派ドラマ。メキシコシティの高級地区ラスロマス。高級住宅街にある豪邸で実業家の夫と3人の子どもに囲まれ、幸せな生活を送っていたソフィア。ソフィアは富裕層の妻たちのコミュニティ内で女王のように君臨していた。証券会社の社長を夫に持つ、新入りのアナ・パウラの出現を快く思っていなかった。炙り出される女たちの醜い戦い。そこは嫉妬とマウンティング合戦と悪口大会の場。しかし、メキシコで歴史的な経済危機が到来。少しずつソフィアの完璧な世界が崩壊されていく。ついに豪邸も差し押さえに・・・。監督は長編2作目となるメキシコの新鋭女性監督アレハンドラ・マルケス・アベヤ。

毎日のようにエステにショッピングにテニスに高級ランチにと華やかな日常を送るソフィア

女の渦巻く嫉妬やマウンティング、噂話、女のブラックな部分をこれほどリアルに演出できるのは、女性監督だからできること。国は違えど何も変わらないんだと笑ってしまうほど。きっとあなたの周りにも”あるあるある”なことが。

富裕層妻たちのコミュニティーでは頻繁にお誕生日会やパーティが開かれていた

女性は共感できることが多い作品では?

マウンティングされたことは誰しも経験あるはずだけど、特に女性は男性よりもマウンティングする傾向が強いと聞いたことがある。なぜそうするのかというと、女性は体の構造上、そして昔から選ばれる立場だからなんだとか。そして男性のようにヒエラルキーがはっきりしていない横並びの社会(集落)に長くいたため、マウンティングをすることで他の女性より優位に立ちたがる傾向があるんだそう。

今は結婚しても働いている女性が多いので、これほどまでに顕著ではないでしょうが、特にこの時代のように専業主婦が大多数だった当時は、彼女たちは自分の本当の魅力や能力を出すことができない為、夫や子供、家、クルマ、アクセサリーやファッションといった目に見えるモノでしか自分のアイデンティティーを確認したり、承認欲求を満たすことができなかったのかもしれない。劇中でアナが放つ言葉「女は誰でもお姫様になりたいの」と言うセリフも否めない。

自分たちの周りにも”あるある”なコトだから余計にこういった類のストーリーにみんな夢中になるのかも。そして富裕層だった主婦が一気に成り下がるという設定も”他人の不幸は蜜の味”と言わんばかりに人々はついつい夢中になってみてしまう。

 

破産に追い込まれ家も車も何もかも失った家族。再生できるのか

上映館情報

大阪 京都
シネ・リーブル梅田 京都シネマ
監督:アレハンドラ・マルケス・アベヤ
キャスト:イルセ・サラス
製作:2018年製作/100分/G/メキシコ
原題:Las ninas bien
配給: ミモザフィルムズ
公式サイト:http://goodwife-movie.com/
KANSAIPRESS編集部から
ラスト15分はソフィアの人間らしさが垣間見られ、ラストシーンなかなか良かったです。80年代のファッションも楽しめました。劇中内に何度も出てくる”肩パッド”が時代を象徴していますね。”この世は諸行無常”ということを思い知らされます。「汝、驕ること無かれ。謙虚に、そして逞しく生きよ」改めてこの言葉が身に沁みます。

文/ごとうまき