【インタビュー】「イントロ5秒で会場がのけぞる!平松賢人「メラメラ」で昭和歌謡の新星爆誕」

インタビュー

アイドルグループ「BOYS AND MEN」のダンスリーダーとして活躍しながら、演歌・歌謡曲の世界でも確かな実績を持つ平松賢人。2025年8月27日、日本クラウンから待望のメジャーデビューシングル「メラメラ」をリリースした。タイプA・Bの2形態で発売された本作について、その手応えと制作秘話を語ってもらった。

インパクト抜群のイントロから始まる「平松節」

──新曲「メラメラ」が好評とのことで。このイントロからしてすごいインパクトがありますよね。

平松
強いですよね!始まった!っていう感じがするんです。この「Won’t you」がいいじゃないですか。僕、結構のけぞって「Won’t you」をしているんですけど、同じようにのけぞって「Wont you」してる人が会場にいるから、もう楽しくて。

──この楽曲を初めてお聴きになった時のご自身の印象は?

平松
「平松っぽいな」って。これなら自分も自信を持って戦えるなって思いましたね。田原俊彦さんの「抱きしめてTONIGHT」を聴いて「いいな、このジャンル」って思ってスタートしてるので。インディーズで出した曲も昭和とか平成初期ぐらいのポップスの雰囲気で、演歌歌謡っていう歌謡曲の端っこのギリギリのところでやっているんです。

ピンクレディーの振付師が手がけるダンス

──ミュージックビデオのダンスもキレッキレでかっこいいですね。今回の振付は?

平松
自分では考えていないです。BOYS AND MENの時はメンバーを演出する客観的な部分があって振りが作れるんですけど、自分で考えて自分で披露するとキザなことができなくなるんですよ。「あいつ自分で振り作ってあれやってんだ」って思われるのが恥ずかしくて(笑)。自分のソロ曲は振付師さんにお願いしています。振付はBOYS AND MENの初期からお願いしている渡辺美律子先生です。ピンクレディの振付をしていた土井甫先生の一番弟子で、昭和の時代に音楽番組の歌手のバックで踊ってたダンサーさんのトップなんです。自分で考えるんじゃ出てこないような振り付けが出てくるので新鮮です。

昭和歌謡への熱い想い

── 昭和歌謡のイメージが強いですが、意識して歌っている部分は?

平松
演歌歌謡のジャンルでCDをリリースさせていただいているので、歌詞がしっかり聴き取れるように意識しています。僕、玉置浩二さんも好きなんですけれど、玉置さんが言葉をはっきり発音すること、聴き手に歌詞をしっかり聴き取ってもらうことを大事にしていらっしゃると知って、僕も意識しています。

──昭和歌謡がお好きとのことですが、もし現代の曲を昭和風にリメイクするとしたら?

平松
郷ひろみさんとかがされていましたが、海外の曲を日本語にリメイクするのもいいな。例えばBTSの「Dynamite」とか流行ったじゃないですか。ああいうのを日本語版にして、ちょっと歌謡曲っぽい音色とかに切り替えて仕上げたら、元の曲のパワーも活きて、いいんじゃないかなって思います。

──平松さんは声がいいですよね。力強いし、それでいて爽やか。

平松
ありがとうございます。グループ活動をしてると10人の声が同時に出てるので、自分の声を聞いて音を取ろうと思ったら、どうしてもパワフルになっちゃうんですよ。グループ活動を経てのソロ活動だからゆえの歌い方になってるんだと思います。それを平松のパワフルさとして捉えてもらえたら嬉しいです。

レコーディングの裏話

──レコーディングのエピソードも聞かせてください。

平松
レコーディングでは思いっきり歌ったんですよ。レコーディング始まるときに僕が一旦さらーっと歌ってみたら、あまりにも勢いが良かったんでしょうね。「ちょっと待ってね」って。「これで行くのか、もうちょっと綺麗に歌ってもらった方がいいのか?」っていう大人たちの会議があり、僕はずっとブースで待ってたんですけど(笑)。で、まとまって上がってきたのが「そのまま行きましょう」と。もちろん、もうちょっと綺麗に歌おうと思えば歌えもするんですけどね。そこも含めて平松賢人っていう、日本クラウンさん的にもチャレンジだと思うんですけど、そこに一緒にチャレンジしてくださることがすごく嬉しかったです。

メジャーデビューは「甲子園」

── 今回のメジャーソロデビューを甲子園に例えていらっしゃいましたね。

平松
地方の大会が終わってようやく全国大会に行けるっていうところ。やっぱり演歌歌謡界は強者が集まってるんですよね。辰巳ゆうとくんとか木村徹二さんとか、最近よく一緒になるけど、みんな上手いんですよ。自分のブランドも確立してるし。全国大会はそんな生半可な気持ちじゃ勝てないなって思うとともに、僕のようなパフォーマンスする人は他にいないので、戦うという点においては戦いやすいですよね。

──山川豊さんと2022年にジョイントコンサートをされましたね。

平松
山川さんがすごく応援してくださっているんですよ。僕のいない現場で、めちゃくちゃ僕の話をしてくださってるんですよ。どの現場に行っても「あ、山川さんから話聞いてるよ」という声を聞くんです。アイドルをやりながら演歌歌謡だから「この子またちょっとやってみてダメだったらすぐいなくなるんだろうな」みたいな見られ方をしてもおかしくない中、山川さんが周りに話をしてくださることで、受け入れられやすい状況を作ってもらっているんだなと感じています。演歌の世界も一回飛び込んでみたらすごくウェルカムだし、ライバル意識ももちろんあるんですけど、それよりもこのジャンルを一緒に盛り上げようぜっていう仲間意識がすごく強くて。今では居心地が良いですね。

カップリング曲にも注目

──タイプAのカップリング「雨も独り占め」は、ミュージカルっぽい雰囲気ですね。

平松
「メラメラ」はパッションって感じですけど、「雨も独り占め」はスタイリッシュ。綺麗なダンスを心がけています。若干、可愛らしい振付があったりして、「メラメラ」とだいぶ違う顔を見せられるんです。

──タイプBの「愛を捧げたい」は大人の雰囲気で。

平松
めっちゃ大人。この歌詞がすごくストーリー性があって、一番最初に覚えた曲なんです。女性に恋をしてその方の過去があるから、2番サビに行けないってとこが素晴らしいなって。ちなみに僕はお酒を飲まないので、マンサニージャも馴染みのバルも知らないんですよ(笑)。全く知らない世界だからこそ想像しながら。僕があんまり色付けをするのではなく、皆さんの経験を通して映像を重ねてくれたら嬉しいです。

グループとソロ、それぞれのやりがい

──グループ活動とソロ活動、意識の違いは?

平松
グループは基盤があるから、誰かがやってくれてる部分もある。歌詞を忘れても誰かがフォローしてくれたり。ソロは全部見られているから、例えば歌詞とか間違えるとすぐにバレる(笑)。グループは想像していなかったような展開が生まれるし、お互いの化学反応がある。それにお互い高め合っていいライブが作り上げられる。熱量の最高地点が高いんです。一方でソロは自分の思い描いたコンサートストーリーを作り上げやすい。曲の雰囲気に合わせたトークをして、綺麗に曲に入るとか、組み立てやすい。コンサートをストーリーとして一つのパッケージで届けるなら、ソロはやりやすいですね。どっちも楽しいです。

──今後の展望を聞かせてください。

平松
エンターテインメントって、人を勇気づけて元気づけてなんぼかなって思っています。今応援してくれている人たちの望む景色を叶えてあげたいし、平松賢人が来たからコンサート行こう!そのためにお仕事頑張ろう!おしゃれしよう!みたいに思ってもらえたら嬉しいです。より多くの人たちの生活を豊かに、色鮮やかにできるような存在になりたいです。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき