狂言回し役の山本耕史「ミュージカル『太平洋序曲』で、鎖国した心を開国してほしい!」

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近代日本の夜明けを描いた巨匠・ソンドハイムの意欲作が今春上演!

梅田芸術劇場と英国メニエールチョコレートファクトリー劇場との共同制作ミュージカルで、ミュージカルの巨匠ソンドハイムが手がけた、ミュージカル『太平洋序曲』が2023年4月8日(土)〜4月16日(日)梅田芸術劇場メインホールにて上演される。西洋のクリエイターによって描かれた近代日本の夜明けを描いた巨匠、スティーヴン・ソンドハイムの意欲作に、山本耕史、松下優也、海宝直人、廣瀬友祐、ウエンツ瑛士、立石俊樹などの豪華キャストが集結し、演出を『TOP HAT』のマシュー・ホワイトが手がける日英合作。
今回、開国へと舵を切る日本を俯瞰的に見つめる狂言回し(Wキャスト)を演じる山本耕史が取材会に出席。王道のブロードウェイミュージカルに出演するのは『アナスタシア』以来の3年ぶりとなる山本に、本作に対する意気込みをたっぷりと聞くことができた。
——本作のオファーがきた時の率直な気持ちは?
山本さん
1998年に出演したミュージカル『RENT』を手がけたジョナサン・ラーソンの自伝『チック、チック、ブーン』で3回ジョナサンを演じましたが、彼の師と仰ぐ人が本作の作詞・作曲を手がけたソンドハイムで、僕もソンドハイムに対して特別な思いがあります。『太平洋序曲』は近代日本の話を海外の方が書いた作品。とても良い巡り合わせだと感じました。

インパクトあるメロディーに、子どもも口ずさむ

——歌稽古が始まったばかりとのこと、歌やメロディーについてはいかがですか?
山本さん
拍子やリズムなど、初め聴いたとき何だか分からなかったんです。セオリーじゃない音楽で、メロディーラインも難しい。かなり頭を使わないと歌いこなせないだろうなと。あまりにも難しいから家で声に出して練習していたら、今では子どもが歌っているんですよ。難曲なのにインパクトがあり、耳に残るということを痛感させられました。楽曲のイメージは、間口は狭いけど、奥が広く自由な感じ。そんな明るい予感を感じています。
——海外の視点から日本を描いた本作のストーリーに対して山本さんはどのように感じていますか?
山本さん
僕が演じる狂言回しは、物語を俯瞰して案内していく役割。お客さまと物語の中間に存在しているようなイメージでお稽古をしています。演出家のマシュー・ホワイトはフレキシブルで遊び心がある人。この作品は、日本人が書いたらこの展開にはならないだろうな(史実とは違う内容となっている)という面白さもあります。そして今回は日本人が作る緻密さも盛り込められたらいいですね。
山本さん
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』など時代劇に多数出演してきたこともあり、時代劇に関しては僕が一番詳しいので(笑)。演出家と沢山ディスカッションしながら掘り下げていきたいです。そしてペリーが来航した時、当時の日本人は何を思ったのか?日本人の気質などそういった部分は忠実に描き出しています。史実と違う部分をエンタメとして楽しんでもらうか、正していくのか?ディスカッションしながら作り上げていきたいです。
——これまでにも沢山大阪での舞台を経験されていらっしゃいますが、関西のお客さんの反応はいかがですか?
山本さん
よく‟関西のお客さまは厳しい”という言葉を聞きますが、優しいイメージしかありません。今作も東京公演の後に大阪公演なので、より精度の高い舞台をお見せできるし、楽しんでいただけるのではないかなと。大阪は美味しいところだらけ。体を鍛えているので、毎日お好み焼きは食べたりはしませんが(笑)、むしろ美味しいお店を教えてください(笑)。
——最後に皆さまに一言お願いします。
山本さん
『太平洋序曲』は1976年に初演され、僕と同い年です。良い作品は、いつの時代にも必要なテーマだからこそ、100年経っても上演され続けているんですよね。鎖国をしていた日本に黒船に乗ったペリーが来航、‟得体の知れないもの”が突如現われ、日本中を感染させていく。そして日本人がどのようにして立ち向かったのか!?という部分では、コロナ禍のいまとも重なる部分があるのだと思います。そんな今だからこそ、伝えられるもの、感じられるものがあるはず。エンターテイメントとして、素晴らしい作品になると思うので、心が疲れたなと感じている人は、是非『太平洋序曲』で鎖国した心を開国してください。
ミュージカル『太平洋序曲』は,、2023年4月8日(土)〜4月16日(日)梅田芸術劇場メインホールにて上演!
取材・文・撮影/ごとうまき