【ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」待望の再再演!】ミュージカルだけどライブ感もたっぷり「抜け出せなくなるくらいに好きになるかも」

インタビュー

2024年9月22日(日・祝)~10月6日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場で上演中のブロードウェイミュージカル「イン・ザ・ハイツ」。関西では10月12日(土)・13日(日)に京都劇場で上演される。本作は世界中で最もチケットが取れないミュージカルと言われる「ハミルトン」を生んだブロードウェイの異端児、リン=マニュエル・ミランダの処女作。2008年度にはトニー賞優秀作品賞を含む4部門での受賞をはじめ、数々の演劇賞を受賞。日本では2014年、2021年に続く待望の再再演となる。
2021年に続き、ウスナビ役をMicroさん [Def Tech]とWキャストで演じる平間壮一さん、2014年以来10年ぶりとなるベニー役の松下優也さんに役や作品への思いを語っていただきました。

── それぞれの役柄、作品について教えてください。

平間
僕が演じるウスナビは何の変哲もない青年ですが、友人や周りに感化されて少しずつ成長していく、温かい作品です。

松下
夢や野望を強く持った明るい青年を演じます。ベニーはタクシーの配車係として働いていますが、そのタクシー会社を経営しているのが恋人の父親。皆を促す存在で凄くイイ奴です!この作品はそれぞれの居場所を探している物語。それって世界共通だと思っていて、国や人種が違えど共感できるポイントが沢山あるのではないでしょうか。

── 2021年に映画化されました。映画とは違うミュージカルの魅力とは?

平間
映画版ではCGが使われたりと現代的な映画になっていましたが、舞台版では昔の古き良きマンハッタン北西部の雰囲気を感じていただけると思います。生身の人間で作り上げていくのが舞台の良さなんじゃないかと……。

松下
確かに壮ちゃんが言うように、映画は映像効果やリミックが入ってとても楽しかった。だけど舞台では、生、ライブ感を音楽とともに感じてもらえます。ミュージカルだけど、ライブ感がより引き立つところが舞台ならではの魅力だと思います

── お二人が共演するにあたって楽しみにされていることは?

松下
昔からお互い知っているのですが、稽古場も本番もとっても楽しみです。稽古終わったら、壮ちゃんはすぐに帰っちゃうだろうから(笑)、そこを引き止めてイン・ザ・ハイツっぽい感じでBBQやったり、お芝居のことや世間話も含めて沢山コミュニケーションをとりたいって思っています。

平間
そんな優也を見るのが楽しみ!この作品はご近所さん達の日常の話なので、キャスト同士が遊んだり、仲を深めたり、互いの壁を取っ払っていく作業が一番大事だと思う……。

── ラテンの歌やダンスも難しそうですが、取り組む中で意識されたことは?

松下
バイブスです(笑)。ラップもライフスタイルだから頑張っている感じではないんですよね。やっぱり中から湧きあがってくるものだから。例えば日本人にもそういったバイブスってあると思うんです。

── 平間さんにお聞きします。ウスナビ役をMicro [Def Tech]さんとWキャストで演じられますが、Microさんの印象と、それぞれが演じることでどの様なウスナビになりそうですか?

平間
Microさんは人柄が素晴らしく尊敬できる先輩です。誰もが知るDef Techの名曲を生み出した人達で、初めてお会いするときは怖そうという印象があって、緊張していました。ですがMicroさんは「僕は今回、役者になるつもりでここに来ているから。ラップがどうだとか言うつもりはないから全部教えてください。」と、おっしゃって。純粋で、常に吸収しようとする姿勢でいらっしゃる。凄い方ですよ。それこそ、Microさんはバイブスだけでこの作品に取り組んでおられるので、誰よりも心に響くのだと思います。だから恐ろしいWキャストですよ。今回ビビっています(笑)。Microさん演じるウスナビはピュアで純粋。本当にそこにウスナビがいるようです。自分の良さは……?あまりわかりません(笑)。

松下
壮ちゃんのウスナビの魅力ってそこなんだと思う。そう言える、思えちゃう壮ちゃんがウスナビらしいって思います。

── 注目してほしいシーンは?

松下
クラブのシーンです。一幕の後半にいろんなことが起こります。ウスナビとベニーが酔っ払いながら一緒に踊るシーンは、初演の時から好きだったなぁ。

平間
確かに、2人で踊るシーンはここだけかも……。今回はピラグア屋を女性(MARU)が演じるというのも注目ポイントです。きっと世界初では?普段は男性が演じるピラグア屋が女性が演じることでどう変わっていくか……、僕自身も楽しみです。

── 本作の魅力を教えてください。

平間
ミランダさんの初めての作品なので、彼女の思い入れ、熱意が作品にギュッと詰まっているし、それが伝わるんです。ミランダさんがブロードウェイのオーディションに落ち続け、ここに出られないのなら自分が作る!って、できたのが本作だとどこかで聞きました。だからその強い思いが作品にも表れているんじゃないかな……。ミュージカルを観たことがない人にも観てほしいし、これに入ってしまうと抜け出せないくらいに大好きになる作品だと思います。

松下
それぞれが個性豊かなキャラクターなのに、全員地に足がついているのが凄い!ショーアップしたものというより“ライブ感”が本作の良さ。日常に寄り添った作品だからこそ、お客さまも一緒に巻き込める感じです。同じ芝居をし、同じ歌を歌ってていてもその日のライブ感がより色濃く出る作品なのだと思います。再再演となる今作は、よりパワーアップした作品になっていると思います。この作品はライブやフェスが好きな人にも盛り上がってもらえるはず!意外と「イン・ザ・ハイツ」ってそういうノリがあるんですよ!お待ちしています。

取材・文・撮影:ごとうまき