2022年1月4日から1月31日まで大阪新歌舞伎座にて新春特 別企画『前川清・藤山直美』公演が開催されている。本公演は第一部の新作芝居『恋の法善寺横丁』と第二部の『前川清 オンステージ』の約4時間近く(休憩含む)お芝居と歌を堪能できる豪勢な公演となっている。 本公演は2020年3月に予定されていたが、今も世界中で猛威を振るう未曾有の流行り病によ って中止となり約2年ぶりに復活した。 舞台共演が12年ぶりとなる前川清と藤山直美の主役の二人に、 野村真美、池乃めだか、大津嶺子、田村亮、瀬川菊之丞、 林啓ニなどが顔を揃える。
第一部『恋の法善寺横丁』
脚本を横山一真、演出を竹園元が手がけた第一部のお芝居『恋の法善寺横丁』は、出演者たちの味のハーモニーが見事に昇華されたハートウォーミン グな物語だ。
舞台となる大阪ミナミにある法善寺横丁と言えば、食道楽の街でもあり、 昔は落語の席や講釈の席、娘義太夫の道場などもあり、 映画や舞台、 ドラマなどでも法善寺を舞台に恋の物語が描かれてきた。 そんな味と恋の場所「法善寺横丁」で繰り広げられる笑いあり涙ありの上方人情喜劇を、亡き父が引き合わせた邂逅、親子愛、 隣人愛、恋や仏教の教えを交えながら、 普遍的な家族の愛や男女の愛をテーマとし描かれている。窮地に陥った小料理屋「誠志郎」 を立て直す救世主となる腕の良い板前 徳三を前川清が、 お茶目で強く逞しい中に人としての正しさと優しさを兼ね備える誠 志郎の女将 辰子を演じる藤山直美がチャーミングかつしなやかに演じている。
またこの舞台で一際存在感を放っていたのが吉本新喜劇のレジェ ンド 池乃めだかだ。彼の持ちネタ、定番のギャグを織り交ぜながら法善寺の住職を軽やかに小気味よく演じている。大阪らしい“笑い”に皆笑顔に、辰子の切ない恋心に共感し、 感動的なシーンでは鼻をすする音もちらほら聞こえ、客席が一体となりお芝居を堪能していた。
あらすじ
1幕
舞台は昭和3年大阪ミナミの法善寺横丁。28年続く料亭「 誠志郎」 の女将辰子は亡き父三崎誠志郎の残した店を継いで必死に切り盛りしていたが、板長の失踪をはじめとする数々のトラブルが重なり、 店の存続危機に見舞われる。そんな中、 長崎で修行時代に誠 志郎にお世話になったという東京からやってきた徳三が辰子を訪ねてくる。他界した誠 志郎の話を聞き途方に暮れた徳三だが、辰子の計らいでしばらく「誠 志郎」で働くことになり、あることがきっかけで板長になり店の活気を取り戻す。いつしか女将と花板という立場を超えた新たな感情が二人の間に芽生えることにーー。
2幕
昭和4年桜が咲く頃に、東京からある女性が誠志郎を訪ねてきた。 その女性は徳三が以前勤めていた銀座の有名料亭「さざ波」の娘 三田村絹代だった。絹代が大阪に来た理由は徳三を「さざ波」に返して欲しいという願いだった。徳三が店を辞めてから「さざ波」は大変な状況になっていると言う。果たして辰子はどのような決断を下すのだろうか・・・。
第二部前川清オンステージ
唯一無二の歌声に酔いしれる
第二部は新歌舞伎座の舞台装置を存分に使用した豪華絢爛な『前川清オンステージ』が繰り広げられる。内山田洋とクールファイブ時代からソロとして活躍してからのヒッ ト曲『長崎は今日も雨だった』『そして、神戸』『雪列車』『噂の女』『東京砂漠』『逢わずに愛して』『中の島ブルース』『大阪』『 ひまわり』新曲の『胸の汽笛は今も』を含む全12曲が披露された(曲名、 曲順は変更になる場合あり)。 歌の合間に挟まれるユーモラスなトークから滲み出る前 川さんの優しさと人情、一番端の客席にも体を向けて、ステージを全ての観客に届くように歌う姿から前川さ んの誠実さと優しさが感じられた。
歌と歌の合間にはお楽しみコンテンツもあり大変満足できる内容に。また会場はコロナ対策は万全、マスク着用などの呼びかけも徹底されており来場者は安心して鑑賞できる。前川さんの歌声が心と体に沁みわたり、豪華役者たちが奏でる重厚なお芝居に癒され、‟さぁ、明日も頑張ろう!”と前向きな気持ちにさせてくれる。2022年の幕開けに相応しい豪華で心温まる本公演、1月31日まで上演中。
チケット・公演概要
新春特別企画 前川清・藤山直美 | |
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公演期間 | 2022年1月4日(火)~1月31日(月) |
料金 | (税込) 1階席 13,000円 2階席 7,000円 3階席 4,000円 特別席 15,000円 |
チケット購入:新春特別企画 前川清・藤山直美 ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 演劇のチケット購入・予約] (pia.jp)
新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)
新歌舞伎座公式サイト:新春特別企画 前川清・藤山直美|公演情報|新歌舞伎座 (shinkabukiza.co.jp)
文/ごとうまき