一組の夫婦の離婚を通じて男女の相違を炙り出したクスッと笑えて泣ける作品
かんたんなあらすじ
ニューヨーク出身の女優の妻ニコール(スカーレット・ヨハンソン)とロサンゼルス出身の映画監督のチャーリー(アダム・ドライバー)は結婚して10年になる。可愛い一人息子にも恵まれ仲良く暮らしていたはずだが、二人は円満に離婚をするように進めていた。冒頭のシーンはお互いの良い部分を50個言い合うシーンから始まる。だけどそれは円満離婚を進めるためのカウンセリングで、結局うまくいかず、今までの積もり積もったものが爆発、双方弁護士をたてて子どもの養育権をめぐり法廷闘争に。弁護士の手に委ねられた途端に泥沼化し、穏やかに離婚するどころか、話し合いの場でも感情的になり、お互いに罵り合い仕舞には最も口にしてはいけない言葉を言ってしまう。そこまでいくと修復不可能だ。あれほど愛し合って結婚した二人の関係が些細なことであっという間に終わってしまう。
弁護士という第三者によって深まる二人の溝と、思わぬ方向に進んでいくことに戸惑う二人の表情の移り変わりがリアルに演じられている。一方、二人にとっては離婚は大きな問題だけど、関係のない私たちからしたら他人事、どこか滑稽で笑ってしまう。だけど最後はしっかりと泣かせてくれる、ヒューマンコメディドラマだ。とてつもなく長いセリフを扱い人間臭さ全開で演じるスカーレット・ヨハンソンと優しく弱い男を演じるアダムドライバーの二人の演技には圧倒される。
Netflixで配信中!
KANSAIPRESS編集部から
去年Netflixの配信前に劇場で鑑賞。脳科学的に人間の恋愛している時のドキドキ感はホルモンの仕業のせいで、よくもって2年~3年らしい。恋愛期間を経て本当の愛情に移行していくのだけど、やっぱり恋愛≠結婚だと私は思っている。結婚って生活そのものであって過度な期待はしすぎないほうがいい。結局のところ他人同士、結婚生活を長く続けていくには「初心を忘れるべからず」、互いの思いやりと少しの忍耐と相手を赦す心も必要だ。頭ではわかっているけれど結構努力が必要、だからこんなにも世の中離婚が多い。でもこれは結婚だけに限らず、仕事だったり人間関係全般に言えることではないのかな。
劇中の感情的になって思ってもいない言葉を発してしまうシーンでは自身の経験と重ねてしまい耳が痛かった。映画ではそれも人間臭さとしていいのだけど、実生活では感情的になっていいことなんて何一つない。アンガーマネジメント学ぼうかしら。
文/後藤麻希