歌手でありレーシングドライバーとしても活躍する中澤卓也さんが、約2年ぶりとなる新曲『青い空の下』を1月15日にリリースした。この楽曲は中澤さんの師匠である田尾将実氏が作曲を、石原信一氏が作詞を手掛けた渾身の一曲だ。さらにカップリング曲には、弾き語りツアー用に書き下ろした『歌旅 -ウタタビ-』をバンド編成で収録。等身大の中澤さんが存分に感じられる作品に仕上がっている。関西プレスに二度目の登場となる中澤さんに、新曲の制作秘話や師匠への思い、さらに活動の幅を広げる中での心境について伺いました。
メロディーと歌詞が心に馴染む一曲
── 2年ぶりの新曲『青い空の下』ですが、制作のきっかけを教えてください。

自主レーベルになってからも田尾先生とは連絡を取り続けていました。昨年の秋に突然、「曲ができたから聴きに来て」という連絡をいただいて。以前から先生に楽曲を書いてもらいたいと思っていたので、本当に嬉しかったですね。先生もスケール感の大きなバラードを作りたいとおっしゃっていたので、初めて聴いた時「これが先生の作りたかったものなんだ」と、感慨深かったです。
── 作詞を担当された石原信一さんとの再会はいかがでしたか?

石原先生とは久しぶりにお会いしました。自主レーベルになってから2年間、がむしゃらに突き進んできた僕の気持ちや状況を理解した上で、この歌詞を書いてくださったんだと思います。編曲は井上鑑先生が手掛けてくださり、素晴らしい仕上がりになりました。この曲は自然と表現のイメージが湧いてくるんです。こんな感覚は初めてでした。
── レコーディング時のエピソードやこだわりについて教えてください。

田尾先生、石原先生、井上先生の3人がレコーディングに来てくださり、ディスカッションを重ねながら進めました。特に間奏部分にはこだわりましたね。1番から2番へ移るギターソロや後半の間奏の音色には特別な思い入れがあります。また、サビの“ありがとう 君にめぐり会えた”というフレーズは、一番伝えたいことが詰まっているので、特に意識して歌いました。
師匠との絆と教え
── 師匠である田尾将実先生からはどんなアドバイスを受けましたか?

田尾先生はデビュー当時から「曲が歌い手に渡った時点で、それは歌い手のものになる。お客さんと一緒に育てていくべきだ」とおっしゃっていました。今回も具体的な指示はありませんでしたが、先生の楽曲への思い入れは強く感じました。
── 先生との思い出深いエピソードがあれば教えてください。

新潟から東京まで通い始めた最初の1年は、発声練習ばかりでした。その間、先生は別室で夕飯を作り、一緒に食事をするという日々。不思議でしたが、意味があるんだろうと思って何も聞きませんでした。後から聞いた話では、「良い歌は人々の手を止めるもの。だから君は、僕の手を止めるほどの歌を歌えるようにならないといけない」という考えだったそうです。この教えは今でも僕の中に生きています。
カップリング曲『歌旅 -ウタタビ-』とコンサートツアーへの思い
── カップリング曲『歌旅 -ウタタビ-』についても教えてください。

一昨年の弾き語りツアー用に作った楽曲で、ギターと歌で全国を旅するイメージで制作しました。初めてリズムから作った曲でもあります。リズムマシーンを使ってリズムを作り、それにコードを当てて作りましたが、この方法が新鮮で楽しく、自分を表現することへの楽しさも再発見しました。
── 3/1(土)には梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて、「中澤卓也コンサートツアー2025 春夏秋冬 – 春 -」が開催されますが、どのようなコンサートになりそうですか?

ここ数年、バンド、演歌歌謡、弾き語りと分けた構成でツアーを回っていたのですが、今回は“春夏秋冬”をテーマにしました。この度は“春”にちなんだオリジナル曲やカバー曲をメインにお届けします。
多方面へ広がる活動
── レーシングドライバーとしても活躍されていますね。

いまでは多くのファンの皆さんがサーキットまで応援に来てくださるようになりました。始めた時はこんなふうになるとは思ってもいなかったので、嬉しいですよね。さらに昨年からレース解説や実況のお仕事もいただいています。子どもの頃から憧れていた夢が形になり、本当に感謝しています。
── 韓国でのテレビ出演も話題になりましたね。

僕のYouTube「歌ごころ」を見て声をかけてくださり、韓国のMBN『現役歌王2』と『日韓トップテンショー』に出演させていただきました。日本人は僕だけだったので、大きな挑戦でもあり、めちゃくちゃ緊張もしましたが、とても貴重な経験となりました。韓国と日本では収録スタイルも大きく違い、朝4時集合から深夜までという長時間収録には驚きましたね。
── 実のお兄さんと立ち上げたアパレルブランド「note」について教えてください。

フランス語で“旋律”や“楽譜”を意味する言葉で、“日常を楽しく奏でてほしい”という思いを込めています。また、兄・ナガサワトモヤと僕のイニシャルが共通していることから名付けました。ブランドロゴには、自分の楽曲タイトルにちなんだデザインも取り入れています。
── 今後どのような活動を目指していますか?

いろんな事をやらせてもらっているので、“中澤卓也”の動きを面白がってくれたり好きになってくれる人が増えると嬉しいです。自分の好きな事を自由に楽しくやらせてもらっているので、その楽しむエネルギーに共感、共鳴してくれる人を増やしていきたいです。音楽や車にしても、沢山の方々にご協力いただいて活動できているので有難いですよね。

今年10月で30歳になるのも一つの節目。弾き語りツアーをやるきっかけを下さった斉藤和義さんのようなカッコいい男、同性から憧れをもたれるような男性を目指して、皆さんと一緒にいろんな景色を見ていきたいです。

インタビュー・文・撮影:ごとうまき