1日で一生が終わってしまう?!今作もスリラーだけでは終わらない
癖になるプロット、シャマラニストは大満足!?
「シャマラニスト」と呼ばれる人たちがいる。シャマランの全てを肯定し、一生ついていくと決めたファンの事だ。そんなシャマラニストにとっても待ちに待ったスリラー作品の鬼才 M・ナイト・シャマラン監督最新作「オールド」が8月27日から公開中。
シャマラン監督はかつて『シックスセンス』『サイン』などで注目され、それがプレッシャーとなり、スランプに陥った時期もあったという。そんな低迷期を乗り越えた監督、今作の冒頭シーンでは、公開に嬉々として監督自ら挨拶をしている。一向に出口の見えないコロナ禍、こんな状況だからこそ力強いメッセージが私たちに響く。そう、映画はスクリーンで観るからこそ、感動もひとしおなのさ!
解説
本作はネタバレ厳禁とのことでマスコミ試写が行われていない。そのため言葉を濁しながらの以下、解説レビューとなる。
崖に囲まれた美しいビーチでバカンスを過ごすためやってきた複数の家族が、異常なスピードで時間が経過し、急速に老いていく不可解な現象を描いた本作、シャマランの癖になるプロット、今作も奇妙で爽快な映画体験だった。
本作はスリラーでありながらもさまざまな要素が絡んでいる。筆者自身も本作を事前に調べず鑑賞したため、後半部分の予想外の展開にはびっくり仰天、呆気に取られて口があんぐりという感じだろうか。本作の殆どの時間が、“1日が50年”というビーチでの奇妙な出来事が描かれている。ここはまさにサバイバル&スリラー。観ている側も不思議な感覚に陥る。子どもたちが徐々に大人になっていく場面では4人のキャストが入れ替わるのだが、キャスティングにも違和感なく(よくこんなに似た人集められたよね)、大人たちの老化のメイクやその他諸々の特殊メイクもお見事で、プロの巧みな技術には思わず舌を巻く。
「製薬会社」「子ども」「手紙」が物語の鍵
あり得ないような話のようで、この地球のどこかにも“奇妙な場所”が存在するのかも・・・!?と思わせるような現実と非現実がうまくバランスが取れているところが本作の魅力の一つ。製薬会社が絡んでいるところなど、まさに今の世を映し出したようなタイムリーな作品とも言える。物語の最初からたっぷりと伏線が張られ、最後にはしっかりと回収されていて満足度は高い。
本作はシャマラン監督が父の日のプレゼントにと、子供から貰ったグラフィックノベル「サンド・キャッスル」からインスピレーションを受けて製作された。製作費用については、資金が足りなくなったため残りはシャマランの身銭を切って製作されたという。今作もシャマラン監督自ら出演(しかも重要な役で出番も多い)、観客たちを楽しませてくれるだろう。晩夏とはいえまだまだ蒸し暑い日が続く日本列島、本作を観てクールダウンするのもよし!「シャマラニスト」になるのもよし!一押し作品です。
オールド
文/ごとうまき