2019年にZARDのトリビュートカバーアルバムでデビューし て以来、 ZARDのカバー曲や坂井泉水が遺した未公開詞によるオリジナル 曲を発表するなど、 ZARDの名曲を受け継ぐ3人組ロックバンド「SARD UNDERGROUND(サードアンダーグランド)」。(“ ZARD”の“Z”を反転させている)
オリジナル曲にも精力的に取り組む彼女たちの6thシングル「 役者犬のうた」が2023年9月20日に発売された。 主人公は映画撮影所に迷い込んだ役者犬。実話をもとに作詞家・ 鮫島琉星が詞を手掛け、音楽プロデューサー・ 長戸大幸が作曲を担当。 人間の都合に翻弄される不幸な動物をなくすために、歌となった。
今回はSARD UNDERGROUNDのメンバー、ボーカル・神野友亜(しんの ゆうあ)、Bass・ 杉岡泉美、Keyboard・坂本ひろ美の3人にインタビューを実施。「役者犬のうた」 への思いや10月1日に行われるライブへの意気込み、 ZARDトリビュートバンドとして活動する中での心境の変化など 語ってもらいました。
──まずは自己紹介も兼ねて、 メンバーから見たそれぞれの性格を教えてください!
神野さんについて
友亜ちゃんは年齢は一番下だけど、
楽しむときはとことん楽しむし、きちんとするときはとても真剣。
坂本さんについて
いい意味で、ずっと変わらない人。 いつも優しいオーラに包まれていて、 坂本さんの飾らないところが好きです。
優しさの塊!性格も裏表がないんです。
杉岡さんについて
杉岡さんは、一言では言えないくらいにいろいろとあります(笑) 。思いやりがある一方で欠けているところもある、 というか欠けているところだらけなんですよ、 悪い意味ではなくて……かなりの天然(笑)。
すっごく真剣な場面でも面白いことをしてくれるから、 ガチガチに緊張した時も杉岡さんの発言によってフッと和む。 いつも助けられています。
「役者犬のうた」に込められたメッセージとは。
──「役者犬のうた」は実話をもとに鮫島琉星さんが作詞を、 長戸大幸さんが曲を書かれたとのことですが。
この曲は、野良犬が映画の撮影所に迷い込んで、 役者犬としてデビュー。スターになった矢先、 会社の事情で捨てられるのですが、 捨てられた琵琶湖から京都の撮影所まで2週間かけて戻ってくる、 だけど結局その犬は死んでしまう…… というとても哀しい物語です。作詞の鮫島さん、 作曲の長戸さん、そして私も滋賀県出身ということもあり、今回のコラボレーションが実現しました。特別な作品に 参加させていただきとても光栄です。 ワンフレーズごとにしっかりと情景を浮かべながら聴いてもらえた ら。
この曲は情景がはっきりと浮かんできますよね。 私の実家でも犬を飼っているのですが、 この曲を聴くと愛犬に会いたくなります。
──動物への虐待を取り上げたニュースを見る度に胸が痛みます。 そういった意味でもこの曲のメッセージが多くの人に伝わるといい ですね。
私も実家で2匹犬を飼っているのですが、その1匹が保護犬。 その子は、赤ちゃんを産む為だけに育てられた子だったので、 栄養状態も良くなく、歯も抜けて、 後ろ足が悪い為まともに歩けなかった。ですが、 犬は愛情を注げば注ぐほどなついてくれるんです。 うちの子も最初は全然なついてくれなかったんですが、 今では歩くのも早くなり、寄ってきてくれるように。 環境が大切だと痛感しています。 人間の都合によって不幸になる動物たちが減ってくれることを切に願 います。
── 歌う上で大切にしていることは?
この曲は歌いすぎるとダメだと思っていて。いい意味で目立たずに、 優しく読むように意識しています。
ピアノは流れるようなメロディーなんですが、 歌に寄り添うような演奏を心がけています。
── 今回はM2にZARD名曲カバーのLIVEバージョンが収録。 初回限定盤Aに「揺れる想い(tribute 2023)」、 初回限定盤Bに「マイ フレンド」、通常盤に「負けないで」 がそれぞれ収録されています。 改めてこの3曲に対する思いなどを教えてください。
M2にはZARDさんの楽曲の中でも特に人気の楽曲を収録しています。「役者犬のうた」もそんな愛される曲になって欲しいと思っていて。「負けないで」は運動会でも流れていたし、 ずっと支えてくれていた曲です。 そんな曲を私たちがライブで歌って、 それを記録したものを聴いてもらえるなんて、心が熱くなります。
「マイ フレンド」も心に寄り添ってくれるような歌詞で、歌い出しにもグッときますよね。 いつもこの歌に力をもらっています。
「揺れる想い」には思い入れが沢山あります。 デビューアルバムにも収録されていて、 ライブでも最初に披露することが多くて。 この曲を聴くとライブが始まる!!ってワクワクするんです。
── 犬と一緒に写るジャケット写真も爽やか。 写真撮影でのエピソードはありますか?
この犬はgengenという名前で、 ジャケットのデザイナーさんの愛犬です。 このデザイナーさんは、 ZARDのCDのデザインも手掛けていた方で。とても素敵なデザインに仕上がりました。
大阪でのLIVEは格別
── 10月1日(日)にはZepp Osaka Baysaide にてLIVEツアーが開催されます。 3人にとって大阪でのライブはどんな感じですか?
「待ってたで〜!」という感じで温かく迎えてくれる場所。 深くSARD UNDERGROUNDと関わってくださっている皆さんが沢山来てくださる ので、アットホームなライブになればいいなって思っています。
やっと声も出せるようになったので、 皆と一緒に盛り上がりたいです。開演してすぐは緊張するけれど、 観客の皆さんの歓声が沸き起こった時、その世界に入り込めるし、 気持ちが盛り上がってきます。
私はライブのラストスパートで感情がヒートアップします。 最後に全力で楽しもう!って感じで気持ちも最高潮に!
私は最初はガチガチに緊張しているから、 緊張がほぐれてきた中盤あたりから、よっしゃ!ここからだ!! って感じで気持ちが盛り上がってくるんだけど……。 3人の盛り上がる場面がそれぞれ違うってことは、 最初から最後まで熱気がすごいってこと。 止まることはないですよね(笑)!
次の世代へとバトンを繋いでいく
──2019年にデビューしてから、 ZARDの曲を沢山カバーされていますが、 カバー曲の数を重ねる中で変化したことは?
より、 ZARDさんの原曲に寄り添って演奏できるようになっていま す。心の余裕も出てきたのかな。 デビューからZARDさんの曲をやらせてもらえることが何よりも 嬉しいし、もっともっと磨いていかないと、と奮い立たされます。
演奏する時のモチベーションは昔から変わっていません。だけど、 ふとした瞬間に、 こうして演奏できていることに幸せを噛みしめています。
それこそ最初の頃は、 ZARDさんの曲ってだけで演奏する度に手が震えて緊張していま した。笑顔だって皆上手に作れなかったよね。だけど、 少しずつ心の余裕が出てきたのか、 聴いてくれる皆さんの顔も見れるようになってきました。 知っている楽曲を演奏すると、誰もが笑顔で口ずさんでくれる。 そんな姿を見ると私たちも元気をもらえるし、 皆さんの応援が活力になっています。
── 改めて、ZARDの好きなところは?
坂井さんはナチュラルなのにとても美しい。一番似合う言葉が“ 透明感”だと思うんです。見た目はもちろんのこと、 声の透明感は日本一ではないでしょうか。あの声は唯一無二、 誰も真似できませんよね。 そして坂井さんの歌詞へのこだわりや歌い回しも尊敬しています。
私も詞の世界観が大好き。歌を聴くといつも元気をもらえます。
時代を感じることがなく、どの世代が聴いても刺さるんですよね。 坂井さんは見た目も綺麗なのにカッコ良さもある。
──坂井泉水さんの未公開詞によるオリジナル曲も発表されていま すが、坂井さんの詞の魅力とは?
「マイ フレンド」の歌詞“ずっと見つめてるから 走り続けて”の世界観なんですよ。全曲が。 歌詞に思いやりや優しさが溢れていて、 坂井さんの人柄が滲み出ている。ただただ応援するのではなく、 一歩下がって背中をそっと押してくれるような詞が多いですよね。
── 2021年からは、 神野さん作詞でオリジナル曲も制作されています。 作詞をしてみていかがですか?
自分の心の内を表現して、 音楽にして皆さんに聴いてもらえるというのは恥ずかしさもあるけ れど、自分の思いを伝えられる場所があるのは幸せなこと。そんな 思いを持ちながら、いつも詞を書いています。
もっとZARDの歌を同世代に広めたい
── ZARDの曲を歌うことで、 ZARDのファンからも沢山声をいただいていると思います。 それによって自身の中で何か変化はありましたか?
最初は私たちで大丈夫かな?っていう不安もありましたが、 今では自信を持って歌を届けられています。ZARD世代だった方 がお子さんを連れて来てくださったり。 坂井さんが亡くなられてからZARDの音楽を聴けなかったという 方が私たちの曲を聴いて、 またZARDを聴くようになったという声もいただき、 本当に嬉しいです。
その逆もあって、私たちと同世代の方が、 私たちの歌をきっかけにZARDさんの楽曲を好きになる方も。 ZARDさんの曲をきちんと継承できているんだって、 世代を超えて届けられているって自信が持てるようになりました。
あとSARD UNDERGROUNDをきっかけに友達になったり。 最近ではファン同士で結婚された方もいるんですよ。「SARD UNDERGROUNDのお陰で出会えました!」 って言ってくださって。 私たちは人の人生まで変えるくらいの大きな活動をしているんだっ て。やってて良かったと思います。
──今後の目標は?
正直言って今はZARDさんのファンの方が多くて。いわば、 ZARDさんの力を借りている状態でもある……、 今後は私たちと同世代のSARD UNDERGROUNDのファンを増やして、 その方たちにZARDさんの歌を広めていきたいです。 その為にはオリジナル曲ももっと力を入れていきたいです。
3人でいろんな場所に行って、 もっと多くの人に歌を聴いてもらいたいです。 リリースイベントなどに行くと、 遠くから来てくださっている人も結構いらっしゃって。「 もっと来て欲しい」という声もいただきます。
北海道や沖縄から駆けつけてくださる方もいて、 本当に嬉しいですよね。私ももっといろんな場所に行って、 多くの人に会って曲を届けたい。 ファンの皆さんに来てもらうのではなくて、 私たちから会いに行けるようなバンドでありたいと思っています。
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インタビュー・文・撮影:ごとうまき