劇団☆新感線『髑髏城の七人 LAST STAND』——36年の歴史に幕、いのうえひでのりが語る”最後”の理由

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劇団☆新感線46周年興行・冬公演、いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』が、2027年2月25日(木)から3月11日(木)まで、大阪・フェスティバルホールにて上演される。1990年の初演から36年、これまで11バージョンが上演されてきた同劇団を代表する演目が、今回で劇団☆新感線としては最後の再演となる。会見には、主演・捨之介役の早乙女太一、天魔王役の早乙女友貴、極楽太夫役の柚香光、そして演出のいのうえひでのりが出席。それぞれの想いを語った。

なぜ今、そしてなぜプロセニアムなのか

いのうえは、今回を”最後”と決めた理由について、まず前作にあたる公演が「ステージアラウンド」という特殊な劇場形態だったことを挙げる。「お客様には楽しんでいただけた一方で、髑髏城といえばああいう特殊な劇場でやるものだ、という印象がついてしまった面もある」と振り返り、本来はオーソドックスな額縁舞台(プロセニアム)でこそ成立する物語であることを、きちんと示したいという思いがあったという。
併せて、自身や共演者たちの年齢も大きな理由のひとつだと明かす。「ドクロ城は、演じる側に相当な体力を要求する作品。自分たちの年齢を考えても、もう一度やるなら今しかない」。
花道の使用へのこだわりも印象的だった。1997年、大阪・中座で初めてこの作品を上演した際、劇場の道具方から「花道は走るものじゃない」と言われながらも全力疾走で登場する演出を貫いたエピソードを紹介。それを客席で見ていた歌舞伎役者・二代目中村鴈治郎(当時は八十助)から「こういう芝居をすると親が喜ぶよ」と声をかけられたことが、今も強く印象に残っているという。
今回のフェスティバルホール公演でも、花道に加え客席通路や脇花道も使い、客席を巻き込む芝居を目指す。
再演にあたっての作劇方針については、「これが古典として残っていけるように、むしろオーセンティックに作りたい」と明言。キャストの半数以上が若手であることから生まれる新しい化学反応にも期待を寄せつつ、根本は骨太な物語の力に立ち返る作りを目指すとした。

早乙女太一——満を持しての捨之介

主演・捨之介を演じる早乙女太一は、20歳の頃から『髑髏城の七人』に関わり続けてきた。過去には2011年”ワカドクロ”、2017年”鳥髑髏”で蘭兵衛を、2017〜18年”月髑髏”では天魔王を演じており、今回ついに物語の中心である捨之介役に挑む。
太一自身にとって、この作品は自身が初めて劇団☆新感線の舞台を観た演目であり、新感線での初仕事でもあった。「憧れていた役を演じられることは光栄。この作品を大切に思ってくださる方々の想いをしっかり受け止め、舞台に立ちたい」と語った。自身が最初に目にした捨之介は、俳優・松本幸四郎(当時・市川染五郎)によるもので、「かっこよさの中に抜け感がある」印象を受けたと振り返る。その後、古田新太が演じた捨之介にも触れ、演じ手によって大きく表情を変える役どころだからこそ、これまでの集大成となるような舞台にしたいと意気込みを見せた。
いのうえは太一への期待について、「捨之介は、いろいろなものを受け止めながらも抗い、自分なりのけじめをつける人物。度量の広さが必要な役」とし、近年の太一の芝居における成長ぶりを見て、この節目の舞台を託すことを決めたと語った。

早乙女友貴——”天魔王”という狂気と弱さ

天魔王を演じる早乙女友貴は、これまで新感線ではやんちゃな役柄を重ねてきたが、いのうえは「役者として成長し、変わっていく姿を最近の舞台で感じてきた」と評価。単なる支配者・破壊者ではなく、狂気の裏にある人間的な弱さを、友貴なら丁寧な芝居で表現できると期待を寄せる。
友貴自身も、天魔王というキャラクターに初めて正面から向き合ったことで、新たな発見があったと語る。「表面的には支配者であり破壊者だが、なぜそうなったのか、その根底にある人間の弱さを掘り下げていくと、役の幅がとても広いことに気づいた」。狂気そのものよりも、その狂気を形作った弱さを丁寧に描いていきたいという。
兄・太一との共演については、「以前は自分から兄を挑発しに行っていたが、最近は自分がサボっても兄が助けてくれるような心強さがある」と関係性の変化を明かし、今回はこれまでとは異なる兄弟の芝居を作りたいと語った。

柚香光——宝塚を経て見せる”極楽太夫”

極楽太夫を演じるのは、宝塚歌劇団退団後、2025年の『紅鬼物語』で新感線初参加・主演を務めた柚香光。今作が新感線2度目の出演となる。
いのうえは柚香について、「これほど身体能力の高い女優が来てくれた」と驚きを語り、宝塚時代には触れる機会の少なかった観客にも、その魅力を存分に発見してもらいたいと期待を寄せる。極楽太夫という役については、中島かずきが手がける新感線本丸の脚本らしく、立ち回りの魅力に加え、色香や儚さを漂わせる場面から、銃を撃ち放つ荒々しい場面までを併せ持つ役柄だとし、思い切り暴れてほしいと語った。
柚香自身は、艶やかで華やかでありながら、芯の強い女性として極楽太夫を捉えているという。かつて村を焼かれ、裏切られた過去を持つ人物であり、常に命を懸けて戦ってきた背景がある。「なぜ強くならざるを得なかったのか、彼女が背負ってきたもの、失ってきたもの、そして今、何を大切にしたいのかを、華やかさの中に丁寧に描いていきたい」と抱負を語った。

アクションへの意気込み

太一は、今回の捨之介役について「稽古場でいのうえさんに何を言われるかわからないので、あまり先入観を持たずに臨みたい」としつつ、共演者との芝居を通じて役を作り上げていきたいと語った。友貴は、前作『紅鬼物語』でのアクションを経て「もっとできたはず」という悔しさを糧に、今作ではさらに全力でぶつかっていきたいと意欲を見せた。
最後に、それぞれがファンへメッセージを寄せた。太一は「これまでのさまざまな髑髏城の集大成として、しっかりつなげたい」、友貴は「劇団員の皆にも、これが最後で良かったと思ってもらえる舞台にしたい」、柚香は「思いを最後に結集する舞台として、幕を閉じたい」と語った。いのうえは、「毎回キャスティングが変わるたびに新しい髑髏城が生まれてきた。今回はラストにふさわしい、新たな熱量を生み出したい」と締めくくった。
公演情報
『髑髏城の七人 LAST STAND』
■日時:2027年2月25日(木)〜3月11日(木)
■会場:フェスティバルホール(大阪)
■作:中島かずき
■演出:いのうえひでのり
■出演:早乙女太一/塩野瑛久・藤岡真威人(Wキャスト)/早乙女友貴/柚香光/片岡千之助/桜井日奈子/近藤頌利/河野まさと/木村了/浜中文一/粟根まこと/山口馬木也
取材・文・撮影:ごとうまき
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