これは、ただのSF映画じゃない
彗星衝突という地球の危機を察知した落ちこぼれの天文学者と教え 子が、世界中にその事実を伝えようと奔走する姿を「マネー・ ショート 華麗なる大逆転」(15)でアカデミー監督賞・ 脚色賞に初ノミネートされ、脚色賞を受賞したアダム・ マッケイ監督がレオナルド・ディカプリオとジェニファー・ ローレンスを主演に製作したコメディドラマ。 12月24日からNetflixで配信開始されそれに先立つ12 月10日から一部劇場で公開されている。ロブ・モーガン、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、 ケイト・ブランシェット、メリル・ストリープなど、 この豪華な顔ぶれを聞くだけでも目眩がしそうだ。
あらすじ
巨大彗星が6か月後に地球に衝突することを見つけた、 ランドール博士(レオナルド・ディカプリオ)と教え子ケイト( ジェニファー・ローレンス)は、 世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと慌ててNASAに連絡 し、オグルソープ博士(ロブ・モーガン)の助けもあり、大統領( メリル・ストリープ)と会ったり、朝の人気TV番組に出演して危機を訴えるが、 結局その行動が逆効果となりケイトは世間から変人扱いされること に。日に日に惑星は地球へと近づいてくる中、事態は思わぬ方向に向かう・・・。果たして無事に地球衝突の危機を回避できるのだろうか?
シニカルで笑える現代社会への風刺作
本作に描かれているのはいま社会で起きている事。例えば陰謀、 エビデンスの有無よりも見たいものしか見ようとしない愚かな私たち・・。自身のスキャンダルへの対処と選挙で頭がいっぱいでまともに話を 聞こうとしない大統領、 真実よりも話題性に飛びつく下品なTVショー、 地球の危機が迫っているのにこの期に及んでさらに金儲けをしよう とする巨大企業のCEO…。
Don’t look up= 政治的信条に反する意見や現実から目を背ける人々のことを描いて いる。 本作で描かれるこの人たちの末路が笑えるようで笑えないけど、 その皮肉っぷりが実に気持ちよくて爽快。さすがはアダム・ マッケイ監督、権力者と大富豪を徹底的に茶化すところ、 大好きだ。
エスタブリッシュメントへの風刺に加えてSNS社会を皮肉った描 き方もお見事。もし現実に地球の終焉が起こったとしたら、 果たしてあなたは誰と何をしてどう過ごす? と自問自答せずにはいられない。 だけど本作に描かれているように死ぬ直前までTikTokや YouTubeしてる人っているんだろうなと思ったり。
それにしてもディカプリオは相変わらず素晴らしい演技を見せてくれて、 筆者推しの“プリンス ”ティモシー・シャラメの新たな顔が見れたところも良き良き。 年末、 是非とも本作をNetflixのマイリストに入れてチェックして 欲しい!絶対に面白いと筆者がお勧めしたい作品です。
ドント・ルック・アップ
監督・脚本:アダム・マッケイ
製作:アダム・マッケイ ケビン・メシック
製作総指揮:ジェフ・ワックスマン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、マーク・ライランス
製作:2021年製作/145分/PG12/アメリカ
原題:Don’t Look Up
オフィシャルサイト:ホーム – Netflix
文/ごとうまき