【観劇レポート】藤あや子、姿月あさと、浅香 唯、三倉茉奈 四人姉妹が奏でる美しいハーモニーに 桜咲く

舞台

 3月17日(日)まで大阪・新歌舞伎座にて『花盛り四人姉妹〜吉野まほろば物語〜』が上演されている。新歌舞伎座開場65周年記念作品として再々演となる本作は、奈良県吉野を舞台に、華やかで美しい四人姉妹がお宝騒動を巡り“すったもんだ”を繰り広げる。

四人姉妹を演じるのは、藤あや子、姿月あさと、浅香 唯、三倉茉奈。それぞれ異なるジャンルであるものの、芸能界の第一線で活躍する多彩な顔ぶれが揃う。さらに、四人姉妹の夫や共同経営者を松村雄基、前田耕陽、酒井敏也、賀集利樹らが演じる。グランドフィナーレの歌謡ショーでは、約1時間にわたり四人それぞれの歌も披露。お芝居に歌、個性豊かな四人姉妹の織りなす物語が新歌舞伎座に咲き誇る!

見どころ、解説

 『若草物語』『阿修羅のごとく』『細雪』、最近でいうと『海街diary』など……四人姉妹を描いた作品は古今東西、数多あるが、なぜこうも人々を惹きつけるのだろうか。『花盛り四人姉妹〜吉野まほろば物語〜』も“家族愛”“人間愛”といった普遍的なテーマを織り交ぜながら、春の訪れを感じられるような温かな作品となっている。

 本作は古くから修験道の聖地、歴史の舞台、一目千本と讃えられる桜の名所として有名な奈良県吉野が舞台。老舗旅館「吉野花苑」には美しい四人姉妹がいた。萩乃(藤あや子)、ふじ子(姿月あさと)、梅子(浅香唯)、あやめ(三倉茉奈)と、それぞれ生まれた季節の花の名を持っている。次女のふじ子が旅館を継ぎ、女将として切り盛りし、あとの3人は吉野を離れてそれぞれの人生を歩んでいた。ある日、蔵の中から“お宝”が発見され、それがテレビ番組で大々的に取り上げられ、萩乃、梅子、あやめの3人は同じタイミングで「吉野花苑」に戻ってきた。それぞれの思惑が交差し、さらに彼女たちの夫や恋人も加わり、“お宝騒動”が勃発!そしてその先に“ある真実”が明らかになるのだが……。

 人の数だけ、悩みや小競り合いが起こるもの。本作も、人間の持つちょっとした欲望や勘違いによって家族の混乱を招き、一悶着が起きる……。そして、その騒動の先に新たな“絆”と“家族愛” が生まれる── 。いろいろ問題が起こっても「やっぱり家族、きょうだい っていいよね」と思わせてくれる。そんなメッセージがユーモラスに軽やかなタッチで描かれている。四人姉妹の個性や生き方を、自身や周りの人と重ね合わせて観てみるのも面白いかもしれない。

 三幕のグランドフィナーレ・歌謡ショーも見逃せない!三倉茉奈は「いい日旅立ち」など昭和の名曲を。浅香唯は「C-Girl」など自身のヒット曲、姿月あさとは「愛の讃歌」などジャズやシャンソンの世界を届ける。そして藤あや子は「雪 深深」など演歌歌謡の世界をたっぷりと披露。様々なジャンルの歌、個性豊かな四人姉妹の歌声に胸が踊り、酔いしれ、懐かしいあの曲に心が震えるはず。そして、本公演でしか聴けないであろう、四人姉妹の歌声で奏でられる名曲「川の流れのように」は必聴だ。

 また、劇中には吉野の名所や魅力が散りばめられていて、吉野をイメージした演出にも注目したい。ちなみに吉野へは、新歌舞伎座がある近鉄上本町から1時間余りで行くことができる。今年の桜の開花は平年より早いのだそう。

『花盛り四人姉妹〜吉野まほろば物語〜』は、3月17日まで上演中。約1か月かけて山の麓から頂上へと順に開花していく吉野の桜のように、公演を重ねるごとに「一目千本」のようになって、観客を感動で包むことだろう。

公演概要・チケット

新歌舞伎座開場65周年記念
花盛り四人姉妹~吉野まほろば物語~
出演:藤あや子・姿月あさと・浅香唯・三倉茉奈
公演期間 2024年3月3日(日)~3月17日(日)
料金 (税込)
●昼の部
1階席 12,500円
2階席 6,000 円
3階席 3,500円
特別席 13,000円●夜の部
1階席 11,000円
2階席 5,000 円
3階席 3,500円
特別席 12,000円

チケット花盛り四人姉妹~吉野まほろば物語~ ○一般発売 | 新歌舞伎座ネットチケット[演劇 演劇のチケット購入・予約] (pia.jp)

新歌舞伎座テレホン予約センター:06-7730-2222(午前10時~午後4時)

撮影:髙村直希

文:ごとうまき