2026年4月10日(金)から19日(日)まで、大阪・新歌舞伎座にて「氷川きよし特別公演」が上演中だ。2024年8月に活動を再開した氷川きよしが満を持して臨む座長公演で、ヒット曲『白雲の城』をモチーフにした時代劇と、劇場ならではのコンサートの豪華二本立て。芝居で魅せ、歌でも魅せる。その両方を一度に体感できる贅沢な舞台となっている。
第一部「白雲の城」心優しき武士を、天真爛漫に体現
戦国時代、「白雲の城」と呼ばれた上宮城。城主の弟・荒木吉継(氷川きよし)は、武勇を重んじる兄とは対照的に戦を嫌い、民の暮らしを第一に考える人物だ。自ら城下へ足を運び治水事業の重要性を訴え、平和な日々をもたらすも、やがて隣国の武将が戦の準備を始め、上宮城に暗雲が立ちこめる。
氷川きよしが演じる吉継は、天真爛漫で自由奔放、そして心の底から平和を望む。劇中では「深山天女」の二役もこなし、随所に挟まれるアドリブが客席に笑いをもたらすなど、色気とユーモアが共存する。武士としての凛々しさと、氷川きよし自身の持つやさしさや包容力が自然と溶け合った演技は、明るく朗らかでありながら確かな存在感を放っていた。美しい衣裳も舞台に華を添え、目を奪う場面が随所にある。
戦を嫌い民の命を守ろうとする吉継の精神は、争いの絶えない現在の世界情勢とも静かに重なる。時代劇でありながら、今この時代に問いかけてくるものがある作品だ。共演には丸山智己、石倉三郎、山崎樹範、上野なつひ、そしてWキャストで中島唱子・島崎和歌子が名を連ね、舞台を重厚に彩る。

左から 中島唱子(Wキャスト)、氷川きよし、山崎樹範
第二部「氷川きよしコンサート2026 in 新歌舞伎座~人あるがまま~」——四年ぶりの新歌舞伎座、熱狂のステージ
新歌舞伎座の舞台に立つのは四年ぶりとなる氷川きよし。MCでは時折関西弁を交えながら会場を笑いと温かさで包み、客席との距離をぐっと縮める。劇場ならではの親密な一体感が、そこには生まれていた。
着流し姿でステージに登場し、その後スーツへと衣裳チェンジ。ゆったりとした色気とシャープな華やかさの対比も、見どころのひとつだ。セットリストはデビューからの代表曲に加え、美空ひばり(※)のカバー曲も披露。演歌の王道を受け継ぎながらも、ポップスやロックへとジャンルを越えていく。(※北島三郎と日替わり)
フィナーレは華やかな祭りの演出で客席全体を巻き込み、笑顔のうちに幕を閉じた。芝居で感動を届け、コンサートで高揚させる——。この二本立てという構成が、表現者・氷川きよしの豊かさを最大限に引き出す舞台となっている。劇場でしか味わえない氷川きよしの世界が、大阪から福岡へと続く。ぜひ足を運んでほしい。
公演情報
大阪・新歌舞伎座
4月10日(金)〜19日(日)/S席 16,500円、A席 10,000円ほか
福岡・博多座
4月25日(土)〜30日(木)/A席 16,500円、B席 10,000円ほか
写真:明治座公演より
文:ごとうまき






