【チョン・テフ ロングインタビュー】デビュー10周年目 「人間死ぬまで勉強、常に挑戦し続けたい」

チョン・テフ
アーティスト
韓国ソウル出身の歌手のチョン・テフが2023年1月4日に日本デビュー10周年記念シングル『止まない雨』をリリースする。
テフさんは韓国の男性5人組ダンスグループ「shadow」で活躍の後、2006年に来日。2013年に日本メジャーデビューを果たしてから10年目を迎えた。新曲『止まない雨』は、前前作『冷たい雨』、前作『銀のロザリオ』に続く、叶わぬ恋を切なく熱く歌った歌謡曲。本記事では、新曲のことやテフさんのこれまでやプライベートを深掘り。彼の魅力をたっぷりと感じていただける内容となっています。

新曲『止まない雨』について

——9枚目のシングル曲『止まない雨』は、7作目『冷たい雨』、8作目『銀のロザリオ』に続き″雨”がキーワードなんですね。
テフさん
実はたまたまなんです。はじめは、カップリング曲の『一秒の薔薇』が表題曲になる予定でしたが、レコーディングした後に『止まない雨』を表題曲にすることになりました。今、僕の髪の毛がピンク色なのも、『一秒の薔薇』がタイトルになると思い、バラ色に合わせてピンク色に染めたんですよ。カップリング曲の『一秒の薔薇』も、これまで歌ってきたような情熱的な曲です。
——『止まない雨』のメロディーや歌詞についてどのように感じておられますか?
テフさん
作曲して下さった徳久先生には、昭和の歌謡テイストの曲を3作続けて書いていただいています。これまではポップやバラード曲を多く歌ってきたので、演歌・歌謡曲に対して最初は戸惑いもありました。韓国には3連のリズムを使用した曲がないのでそこが難しかった。だけど、以前から徳久先生の曲やメロディーが大好きでよく聴いていたこともありすぐに馴染めました。コンサートやライブでも先生の曲をカバー曲として歌っています。情景が浮かび上がる歌詞も深みがあって魅力的。作詞をしてくださった円香乃先生にも、詞に込められた意味などを教えていただき、表現しました。

不思議なことに、これまでの作品全てに自身の状況や心情と重なる

——これまでに悲しい歌、叶わぬ恋の歌を多く歌ってこられていますが偶然ですか?
テフさん
不思議と僕の、その時の心情や状況を表した歌を歌っていることが多くて…。アーティスト自身が、自分の歌う歌に人生や状況が投影されてしまうと、韓国では言われているんです。例えば2ndシングル『ガラスの蟻地獄』を出した当時は、僕自身とても辛い時期でした。”もがけばもがくほど入り込んでいく”という歌詞が、まるで自分に言われているように感じましたね。作家の先生方は僕を見抜いているのではないかと。怖いくらいにこれまでの作品全てに、その時の僕の状況と重なっているんです。

幼少期や韓国で活動していた頃のエピソード

——幼少期の思い出を教えてください。
テフさん
僕が生まれた場所は、ソウルのチャムシルスタジアムや、ロッテワールドの近所でした。今は昔の面影はありませんが、当時、あの辺りは一面の畑で、川でも泳いでいたんですよ。子どもの頃はリーダーシップもあり目立つ方でした。昔の韓国では、バス停の近くに必ずレコードショップがあって、外のスピーカーから当時流行っている曲が流れていて、物心ついた頃からいつもバス停で歌い踊っていました。学校でも結構人気者だったと思います。猛暑の日は、体育の授業は中止になり、代わりに先生にみんなの前で歌ってほしいと頼まれたこともありました。
子どもの頃から歌の上手さが際立っていたというテフさん。歌手になりたいというより、歌が生活の中にあり、自然と歌手の道に進んだのだと話す。そして今のKーPOPの先駆けとなるダンスグループ「shadow」に加入し、韓国で活動してから2006年に来日した。
——2006年に来日されたきっかけは?
テフさん
在日韓国人のイベントがあり、そこで韓国のアーティストとして参加したのがきっかけです。来日する前から日本の文化や日本食にも興味がありました。初めて聴いたのが安全地帯の曲。玉置浩二さんの歌声に惚れ込み、そこから日本の音楽に興味を持ちましたね。日本語は来日してから独学で学びました。
——異国での新たな挑戦、きっと想像以上に大変だったと思います。
テフさん
デビュー曲の『サソリの涙』では、韓国語では表現できない単語などがあるので、当時は表現することに苦労しましたね。だけど、一つ一つ、課題を乗り越えて、僕も少しずつ成長させてもらっています。僕は好奇心旺盛だし、挑戦するのが好きなんです。座右の銘は”死ぬまで勉強”、誰しも1人では生きていけません。常に学ぶ姿勢を大切に、そして天狗にならず、腰を低くして生きていくことが大切だと思っています。

愛犬たちと過ごす日々に幸せを感じます

——最近ハマっていることはありますか?
テフさん
姉妹のシュナイザーを二匹飼っているんですが、あの子たちのドッグフードを手作りしてあげる時間が楽しいです。質の良いフードを与えたり、洋服を買いに行ったり、休日は二匹連れて、海や山、野原で走り回らせたりしているので、健康面ではお互いに相乗効果ですよね!これまでにも犬を飼ってきたんですが、ここまで愛情を感じるのは今回初めてなんです。きっと歳のせいなのかな(笑)、この子たちが愛おしくてしょうがないし、僕の支えになっていますね。そういえば、仲良しのこおり健太くんも犬(ずんだ君)を飼っていて、溺愛しているけど、きっと僕の影響もあるのだと思います(笑)。
——1月13日(金)には、京橋ベロニカでテフさんの誕生日パーティーが開催されますね。
テフさん
デビューしてから毎年開催してきましたが昨年は開催できず、2年ぶりの開催をとても楽しみにしています。自分の誕生日を祝ってもらうことは恥ずかしさもありますが、ファンの皆さまに祝っていただく貴重な機会です。感謝の気持ちと真心を込めて、一曲一曲を大切に歌い、皆さまに届けたいですね。
——来年7月で10周年、これまでの歌手生活を振り返って、そしてこれからの意気込みもお願いします。
テフさん
日本でメジャーデビューして、5年、10年と活動できるなんて思っていませんでした。だけど今があるのは、ファンの方、スタッフの方、いろんな人達のお陰。”テフ君の歌を生で聴きたい!”と思ってもらえるような歌手でありたいです。まだまだ沖縄から北海道まで行けていない場所も沢山ありますので、もっと自分の存在と歌を知ってもらうためにも、全国を駆け回りたいです。
取材・文・撮影/ごとうまき