【純烈ロングインタビュー】これからの純烈は“いい塩梅”でいく!「デビュー15年目の武道館ライブは結果的にこれまでのキャリアの集大成になった。」

アーティスト

国民的ムード歌謡グループ・純烈がデビュー15周年の今年、日本武道館でライブ「純烈魂」を11月25日(月)に開催する。今年は初のオリジナルアルバム「純烈魂 1」を発売し、2025年の年明けからは明治座、新歌舞伎座にて座長公演も開催、さらに2025年3月末には岩永洋昭の卒業も決定するなど、進取果敢な純烈からますます目が離せない。武道館でのコンサートが迫った数日前に、純烈の4人にインタビューを実施。いまの心境や座長公演、アルバムの制作秘話など……、さらに“これからの純烈”についても、たっぷりと語っていただきました。

日本武道館への夢を熱く秘めていた

── 武道館ライブへの意気込みや魅力、いまの心境を教えてください。

白川
純烈史上7000人という最大動員数で、日本武道館という最高のステージに立たせていただきます。約約2時間半、武道館でライブをすることを見据えて作った楽曲やこれまでの楽曲をお届けしながら、この日しか味わうことができない唯一無二のステージを作るので楽しみにしてくださいね。

岩永
僕は日本武道館に一度も行ったことがないんです。2023年1月に加入して、思い返せば大変なこともありましたが、それ以上に得たものは大きくて……。他の3人が15年間かけて培ってきた中に入れてもらって、1年目で紅白に出る事ができて、2年目は武道館ライブ。この上なく幸せなことだと思っています。そしてこのステージに立てるのは後にも先にもこれが最後だと思っているし、長崎からも親族や友人が応援に来てくれます。それゆえに気合は入っているのですが、気合を入れすぎず、できるだけ平常心で、人生最高の1日になるようステージからの景色を楽しみます!

後上
2018年に初めて紅白歌合戦に出場したのですが、あまりにも気合を入れて行ったので、本番2分間の記憶が全くないんです。その時の反省を生かして、今回はステージからの景色やお客さんの顔を記憶に残しておきたいので、余白と余力は残しつつ臨もうと思っています。これまでで一番規模の大きいイベントで、人生の大切な1ページになりますが、普段、温泉でライブをしているような感覚で挑みます。

酒井
純烈にとってもフェスみたいな感じで、お祭り騒ぎになるんじゃないかな。純烈を初めて見る方も、ずっと応援してくださっている方も、謝罪会見で知った方も、紅白で知った方も……、純烈が好きな人が皆集まって、7000人以上入る会場で大騒ぎできるのってこれが限界だと思うんです。最初は武道館を銭湯にするような演出も考えたのですが、武道館ルールがあるので、その中で別の演出の舵を切ったり、スタッフも知恵を絞ってくれています。とにかく、ここまで連れてきてくれたお客さんが喜んで、感動して帰ってくれるようなステージを考えていますので、一緒に楽しみましょう。

オリジナルアルバム「純烈魂 1」に込められた思い

── 武道館ライブのために制作された初のオリジナルアルバム「純烈魂 1」の10曲のうち6曲は書き下ろしとのこと。さまざまな作家陣が集結し、聴きごたえのある曲に仕上がっていますね。酒井さんが結成時から作家陣に協力要請をされていたとのことですが。

酒井
例えば「サヴァイヴァルダンサー」は、影山ヒロノブさんが作曲してくださったのですが、僕が純烈に入る前、新宿ロフトプラスワンで俳優しているときに出演していただいてからのご縁なんです。さらにコロナ禍に製作した初主演映画『スーパー戦闘純烈ジャー』で、主題歌もお願いして、そこで取引の履歴ができたのをイイ事に、「純烈魂 1」の一曲目も作っていただきました。

── 酒井さんが結成時からずっと温めておられたのですね。

酒井
そう。紅白歌合戦を目指す際も、今回の武道館の脚本、演出、舞台監督においても全て、かなり前から皆さんにお願いしているんですよ。メンバーそれぞれには「夢叶えようぜ」って言って口説いて、スタッフにもこの人だ!っていう人には「いつか力を貸してください」と言って頼んでいる。その積み重なったものが、今回の人事となっているんです。僕もその時々で目標や夢を持って歩んできたと思うのですが、結果的にこの武道館が“皆集まる場所”になっているのかなって。今回招待する人も、学校の先生やクラスメイト、役者として関わってきた時代の人たちとチームごとに呼んでいます。はじめはそんなつもりは無かったのだけど、結果的にこのライブがキャリアの集大成となった。紅白歌合戦ほど叫んではいなかったけれど、日本武道館というものは自分にとってそういう位置付けで、熱く胸に秘めていたんだと思います。

──「キミとボク」は後上さんのコーラスワークが光る爽やかな一曲。武道館ライブで初披露されるのですね!

後上
僕が20代の頃に聴いていたような聴き馴染みのある曲です。純烈らしさを残しつつも爽やかさも感じられますよね。まだ一度もお客さんの前で披露していないので、武道館当日、目と耳で楽しんでいただけたら嬉しいです。僕自身、お客さんがどんな風に味わってくれるのだろうと楽しみにしているんですよ。武道館はもちろんのこと、武道館後のいつもの健康センターで披露するのも楽しみです。

後上翔太

──「ミラクル太陽」では、車掌役で徳永ゆうきさんの声が収録されていますが、武道館ライブの当日は、徳永さんの参加も期待していいのでしょうか?

酒井
「兄さん、もしスケジュール空いていたら、前日でも行きたいって言ったら参加できますか?」というような、やりとりはしています(笑)。

酒井
“この電車は特急純烈4号“紅白”行きです。……”の部分も彼のアドリブ。最初は銀河鉄道999的なイメージだったのが電車の歌になってしまって、急遽、彼に車掌役で出て欲しいから音ちょうだいと言っただけ。そしたら、ボイスメモに録音して、びっくりするくらいの量を送ってきてくれて。その中には、新幹線のトイレの音“ゴォ〜”っていうのまで入っていたり(笑)。徳永のネタを全部詰め合わせて送ってくれた。ほんとに凄い!

岩永洋昭が加わる事で格段に純烈はかっこよくなった

── 11月6日に発売されたアルバム「純烈NOW」は純烈の名曲シングルを現メンバー4人で収録したもの。2024年の純烈がギュッと詰まった一枚になっていますね。

岩永
僕が加入する前の曲では小田井さんのパートを担ってきました。こうして改めて収録し直し、自分の声がCDになったって嬉しいし、特別な感じがしますよね。

岩永洋昭

── 岩永さんが加入することでどのような化学反応が起こりましたか?

酒井
格段にカッコ良さが上がったよね。小田井さんって白くて膨張していて、僕寄りのジャンルで、お喋りな2人だったんですよ。一方の岩永は、寡黙なEXILEと石原プロが合体したような感じで、彼が入る事でキュッと締まった感じがする。絶頂期の純烈に入るからには、コーラスから始めるのではなく、真ん中にドーンと白川とダブルで入ってもらった。そういうのも含めてプロデュースしていてすごく面白かったし、刺激的でした。岩永を見て、最初はお客さん達フリーズしていたものね(笑)。すごい悪者が入ってきたかのような感覚で(笑)。

白川
そうそう、岩永がこういう風貌だから、最初は皆取っ付きにくい感じだったけど、2年近くいると近づきやすいキャラクターだと認識してくれて。酒好きキャラも定着しているしね(笑)。

白川裕二郎

若い力を借りて、座長公演をブラッシュアップ

── そして年明けには明治座、2月には新歌舞伎座での座長公演が開催されます。今回もお芝居と歌謡ショーと盛り沢山!期待しています。

白川
1部のお芝居の舞台は1950年代のアメリカ、僕は詐欺師のパイロット役を演じます。まだ台本ももらっておらず、お稽古にも入っていないので、僕たちも想像がつかないのですが、今回も期待してくださいね。

酒井
公演を重ねていく度に「前回を上回るにはどうしたらいいのかな」と思い、悩みます。ただそこは、気心知れた演出家や脚本家をはじめとする制作陣と手を組んで超えていこうと。そして今回は特に他のキャストが若いので、彼らに躍動してもらうことで、最後に純烈がアンカーとしてバトンをいただけるのかな、と。稽古場から皆で様々なアイディアを出し合って、チャレンジしていけるような空気を作っていきたいです。

── 今回で岩永さんは最後の座長公演となりますが、特別な演出もあるのでしょうか?

酒井
もうラストだから、ふんどし一丁ぐらいはするんじゃない(笑)?身ぐるみ剥がされて(笑)。最高のカラダというアクセサリーがあるしね。そして明治座から少しずつブラッシュアップして、新歌舞伎座にいきます。今回もこだわりの男・曽我廼家寛太郎さんがいらっしゃるので、東京バージョンと大阪バージョンでアドリブが入って変化すると思います。

── “ファンファースト”な2部の歌謡ショー、今回特にセットリストも迷われるのでは?

酒井
武道館ライブ後だからその時に歌った曲も入るし、来年予定している新曲やカップリング曲も入るでしょう。紅白曲はもちろん歌いますが、全部歌っていると時間が足りなくなるし……。前回の公演とは内容がガラリと変わると思いますよ。基本的には演出家に任せているので、皆が聴きたい曲が聴けるショーになると思います。

これまでと違った働き方も視野に……

── デビューされて来年で15周年を迎えます。パフォーマーでもあり、プロデューサーでもある酒井さん、今後どんな純烈を描き、どんなことを仕掛けようと考えておられますか?

酒井
仕掛けるというより、できるだけお客さんと純烈がハッピーな感じを続けていく方法にフォーカスしたい。どの塩梅が適温なんだろうと、ずっと考え続けているんですよ。いまのスケジュールは「紅白歌合戦に出るぞ!」という時代の勢いで、そのまま7年間同じことをしてきています。体力的なことや持続的な面から見るとアクセルを踏みすぎなんですよ。それゆえ、断っている仕事も山程ありすぎていて……。今後はバランス良くメディアに出て、純烈を知っていただき、またご来場いただく。そして昼夜ともにそれぞれの公演を満員にして安定させられたら、メンバーは家族とのバランスも取れる。もちろん、稼げれば稼げるほどいいという考えもあるし、そこは人それぞれなんだけど、そこは今後、キッチリ決断を下したい。これ、初めて紅白に出てからずっと考えていたことなんですよ。

酒井
とはいえ、次から次へといろんな事が勝手に起こるグループだから……。来た球を打つだけということになってしまうのかもしれないけれど。15周年というのも、いいタイミングになりそうな気がします。

酒井一圭

── 今年もあと1ヶ月ちょっと……。皆さんが今年やり残した事、またはもし出来るなら何をしたいですか?

白川
僕の母がいま91歳なんです。母のカラダが動いていた時は、一緒に旅行に行っていましたが、いまはベッドの上で過ごしている状態。なのでもし叶うのなら、母と一緒に旅行に行きたい。「夢は紅白!親孝行!」親孝行したいですね。

岩永
娘がずっと「ディズニーランドに行きたい」って言っていて……。ずっと連れて行くタイミングがなく、だけど年内に行くのは難しいから卒業してからになるかな。それまでは純烈に集中します!

後上
今年ジャイアンツがセリーグ優勝しましたが、クライマックスで敗退してしまい、悔しい思いをしました。来季こそはリーグ優勝、CS制覇、そしてシリーズ制覇を目指して応援していきたいです!

酒井
自分としては、もうやり切っているので、無いんですよ。やり残したこと……、というより、やらなあかん事をやっている感じです(笑)。“何歳まで生きれるか”でプランも変わるしね。いまは目一杯、毎日を全力で生きています!

インタビュー・文・撮影:ごとうまき